いきなり冒頭から心の痛むショッキングな画像を載せてしまったがこれは大阪南港野鳥園での顛末だ。ある程度経験の有る野鳥ファンなら誰しも釣糸の絡まった野鳥を一度は目にした事が有るだろう。都市部には釣り人が多いので海岸付近や河川敷などの環境に棲息する野鳥はどうしてもこういう被害を被るリスクが高い。この日いつもの様に展望塔に陣取った僕はシギチの姿を求めてファインダーに目を凝らしていた。朝早い段階で彼方の岩陰に野鳥の翼らしきものがチラチラと見え隠れしているのに気付いたが僕の席からは苦しい体勢でしか見えなかったうえ、なかなか姿を現さないので正体を確かめるのを一旦諦め他に目を向けて目の前の野鳥たちの撮影に夢中になっている内に僕の意識から消えてしまっていた。午後になって女性が異変に気付きようやく僕も何かおかしいと気付いた。こんなに長時間一箇所で羽ばたいているという事は何か絡まってもがいているのだろうと察しここを管理している大阪市港湾局に連絡を取り事情を説明し対処をお願いした。自然界で起きた事は自然の摂理だから人間が干渉すべきでないというのが僕の考えだが、それと同時に原因が明らかに人間に有る場合は人間の責任として(もちろん出来る範囲で)対応すべきだとも考えている。折よくレンジャーが到着し一般人が入れない干潟に立ち入りやっとの事で救助した(1枚目・2枚目、展望塔から撮影)。思った通り釣糸が足に絡まっていた。さすがプロだから手際よく一旦保護して処置したうえ再び干潟に放鳥した(3枚目)。ここまでわずか18分。通報してから数えても30分足らずだった。自由の身になったキアシシギはさすがに疲れ果てていたのか羽がズタボロでしばらくうずくまっていたがよほど空腹だったのか放鳥されてからものの30分程で採餌を始めていた。その回復力の強さに野鳥ファンたちも驚く程だったが僕はもう少し早く気付いてあげられなかったかなと反省。レンジャーによれば出血が酷かったのが気掛かりだが骨折は見られないので大丈夫だろうとの事だった。レジ袋やストローが問題視されている昨今、今後同様の事故を根本的に防ぐ為にも釣具メーカー各社には環境に優しい釣糸の開発など新しいビジネスモデルを開拓して欲しい。それはメーカーにとっても他社と差別化出来る事になるから決して悪い話ではないはずだ。僕はあまり人の役に立つ事は出来ないが小さな命を救う事が出来て(僕が助けた訳ではないが)野鳥の役に立つ事は出来たかなと帰りの足取りが軽くなった。
分類:チドリ目 シギ科
全長:25.0cm
翼開長:60.0~65.0cm
分布:全国で旅鳥。
生息環境:海岸、干潟、河川、水田など。
食性:甲殻類、貝類、昆虫など。
フォトギャラリー:第578回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
キアシシギ
Grey-tailed Tattler
Heteroscelus brevipes
撮影日:2020年9月3日
撮影時間:14時25分07秒
シャッタースピード:1/400秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
撮影日:2020年9月3日
撮影時間:14時08分10秒
シャッタースピード:1/250秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
撮影日:2020年9月3日
撮影時間:14時07分19秒
シャッタースピード:1/250秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
キアシシギ
第583回 2020年9月15日