野鳥は予告無しに突然姿を現し、あっと言う間に飛び去る事が多い。
この日、大阪は明け方までの雨で空気が澄み、絶好の撮影コンディションになった。しかし大阪南港野鳥園には肝心の野鳥が少なく、カメラを構える野鳥ファン達を失望させていた。こんな日は意気消沈して思わず油断してしまうもので、とっさの反応が鈍りがちだ。そんな失敗を何度か経験している僕は、気持を奮い立たせる様にカメラを握り締め空を見上げていた。そんな矢先だった。
上空をいつものミサゴが飛び回っているなあという意識の片隅に、何やら様子の異なる何者かが舞い上がるのを感じた。見た事の無い雰囲気を感じ、とっさにカメラを構え闇雲にシャッターを切った。猛禽類らしき鳥が数回ソアリングして沖に向かって飛び去る。すかさずカラスの群れがモビングを仕掛ける。カラスよりひと回り小さいその猛禽は逃れる様に飛び去ってしまった。
終ってみれば一瞬の出来事だった。結局どうにかピントが合っていたのはこの1枚だけだった。その正体はコミミズクで、真っ昼間に夜行性のミミズクが飛ぶという珍しい瞬間を捉えた貴重な1枚となった。子供の頃、闇の中でフクロウの鳴き声を聞いた事は有ったが、フクロウ科の姿を見たのも撮影出来たのもこれが初めてだ。物の本によればコミミズクは夕方頃から飛ぶ事は有るようで、雪国では昼間でも飛ぶらしい。この個体はどうやら干潟と池に囲まれたブッシュの中に潜んでいたらしく、何かに反応して飛び立ったものの様だ。
外観上の特徴で目立つのは目の周りが黒い所だが、羽色にはかなりの個体変異が有る。ミミズクには耳の様な形の羽角が有るが、コミミズクのそれは小さく、その大きさにも個体変異が有るとされる。フクロウには羽角が無いが、フクロウとミミズクに分類上の違いは無い。またフクロウ科に共通する特徴としては、両が人間などと同様に顔の正面に並び獲物を立体視出来る様になっているが、眼球が奥に細長くてキョロキョロ動かす事が出来ない構造になっている。その代わり首が真後ろなどに180度動かせるのだ。有名なのは獲物に気付かれない様に羽音を立てずに飛べる事で、その原理は新幹線のパンタグラフにも応用されている。これらの特徴からも明らかな様に、フクロウ科はタカ科などと並び食物連鎖の頂点に立つ猛禽類だ。しかし、フクロウ科とタカ科は系統としては近縁とは言えず、フクロウはオウムに近く、タカは意外にもカモやコウノトリに近いとされる。
さて、今年も数々の野鳥が僕を虜にした。この2年ほどの間に大阪府下で撮影出来た野鳥は120種に達した。来年もまた様々な野鳥が予告無しに姿を見せてくれる事だろう。
分類:フクロウ目 フクロウ科
全長:38.0cm
翼開長:99.0cm
分布:全国で冬鳥。
生息環境:平地~山地の草原、農地、川原など。
食性:小型哺乳類、鳥類、両生類、昆虫など。
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★★☆
コミミズク
Short-eared Owl
Asio Flammeus
撮影日:2010年12月14日
撮影時間:11時51分36秒
シャッタースピード:1/80秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:200
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
コミミズク
第56回 2010年12月22日