さて今回から広角レンズを見て行く。時代は再び遡って1950年、前回連載企画で触れた通り広角系は焦点距離が短いので普通につくるとバックフォーカスも短くなってしまう。レンジファインダー機ではそれで良くても一眼レフには通用しない。そこで考案されたのがレトロフォーカス型だ。レトロフォーカス35mmF2.5は1950年にフランスのアンジェニュー社が一眼レフ用に開発したレンズでバックフォーカスS’ を焦点距離よりも長くする事に成功した最初のレンズだったのでこのタイプを総称してそう呼ばれる様になった。第1レンズ(左端のレンズ)を凹レンズ、後群に凸レンズと凹レンズを組み合わせて1群として凸レンズの働きをするレンズ群を配置し負正のパワー配置とした。初めに凹レンズで光を発散させているところがミソで図の通り主点H’がレンズ系の後方に飛び出し充分なバックフォーカスを確保する事が出来た。また第1レンズの凹レンズが広角レンズに有りがちな周辺光量の低下を防ぐと同時にペッツバール和を小さくする効果を持つ。後群に注目すると小さなテッサーの前に凸レンズを配置した様な形をしている(フォトギャラリー第625回連載企画参照)。しかしこのタイプは非対称形の配置なので収差の補正には不利で樽型収差やコマ収差が大き過ぎ後群で補正するのが難しいという短所も有ったからバックフォーカスの制約の無いレンジファインダー機などでは標準レンズとは逆の負正負のパワー配置の対称形レンズも有った。ところでこの光路図の光線は同じ光源からの光線を表していて中央の光軸を通る光線を主光線、レンズの上端を通る線を上光線(上線)、下端の線を下光線(下線)と呼ぶ。同じ光源からの線だから上光線と下光線を省略し主光線だけ表示する場合も有る。基本的な事だからもっと前の段階できちんと解説しておくべきだったが忘れていた。
参考文献:小倉敏布「写真レンズの基礎と発展」朝日ソノラマ社1998年
連載企画;レトロフォーカス
平年より暖かい日が続くのでミヤマホオジロは北帰してしまった様な気がしていたがまだ渡りのスイッチは入っていないらしく近所に滞在してくれている。証拠写真だが開花した梅と絡めて撮れた。地元では個人的に過去最も遅い終認は4月12日だし例年は3月中旬頃まで見られるからまだチャンスは有るはずだ。
翌週同じ木にメジロが来ていた。こちらはたまたまではなく梅の密を吸いに来ていた訳だが梅の方は1週間弱でここまで開花していた。
分類:スズメ目 メジロ科
全長:12.0cm
翼開長:17.5cm
分布:全国で留鳥または漂鳥。
生息環境:平地~山地の林、農地など。
食性:昆虫、蜘蛛、木の実、花蜜など。
フォトギャラリー:第613回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
メジロ
Japanese White-eye
Zosterops japonicus
撮影日:2021年3月10日
撮影時間:09時38分35秒
シャッタースピード:1/4000秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:スズメ目 ホオジロ科
全長:16.0cm
翼開長:21.0cm
分布:全国で冬鳥。
生息地:山地の林など。
食性:昆虫、蜘蛛、草木の種子。
フォトギャラリー:第623回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
ミヤマホオジロ(雄)
Yellow-throated Bunting
Emberiza elegans
撮影日:2021年3月4日
撮影時間:08時49分04秒
シャッタースピード:1/400秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
ミヤマホオジロ メジロ レトロフォーカス
第629回 2021年3月18日