前回紹介した写真はノイズが酷かったので、今回はノイズの少ない写真を選んだ。とは言えISOを1600に設定していたので褒められた画質ではない。NX2のノイズリダクションで多少補正したが余り極端な補正を避けたのと、これでもかなり引き伸ばしているので粗さは残った。しかしアイリングなどの特徴を明瞭に捉えており、アマチュアの僕としては満足しておくべきだろう。
近縁のオオハシシギとの違いは足が灰黒色、嘴が長くて先端が少し太く、後頭部が出っ張った様になっている事などで、冬羽は上面が灰色で羽縁やからが白く、ほとんど鳴かないが「ケッ」と鳴くそうだ。図鑑によっては旅鳥ではなく迷鳥としている物もあるが、ほとんどの図鑑には掲載すらされていない。全国的にも年に1羽単位でしか見つからない程の珍鳥らしい。マニアの人達が一生掛かっても撮れない様な憧れの野鳥を、絵に描いた様な超ビギナーズラックだけで撮影してしまった訳だ。
この唯一のシャッターチャンスの時の距離は数十メートル程だったが、その後は四日間も連続して観察したものの100メートル以内には寄って来ず、望遠レンズでも豆粒の様にしか見えなかった。どうやら警戒心はかなり強いようだ。
二日目からは数十人の野鳥ファンが詰めかけて、ずらりと望遠レンズが並んだ。そういう人達に接した事で、プロやハイアマチュアの求めるクオリティの高さを実感した。また中途半端な知識ではなく、もっと野鳥やカメラの勉強をしなければならないと思った。この様な決定的なシャッターチャンスに会いながら、この程度の写真では勿体無いと思う。しかも大勢の中で三脚を使ってないのは僕だけだった。僕が三脚を使わないのは飛翔時に追いやすいからだが、今回の干潟の様に動きの少ない撮影条件では、やはり三脚を使ってカメラを固定した方が手ブレを抑えやすく有利だと感じた。また機動力は劣るがフィールドスコープの倍率の高さにも驚いた。この四日間は本当に良い刺激になった。
余談だが、もともとこの日は仕事の予定だった。それが会社の都合により連休を前倒しにした結果、たまたま休日となり今回の撮影につながった。しかも初めて訪れた野鳥園での邂逅だ。何たる偶然の悪戯か、引き寄せられる様に出会った一人と一羽。僕もシベリアオオハシシギも何かを持っているのかも知れない。またいつか奇跡の再会が出来るのだろうか。

類似種の識別:オオハシシギとシベリアオオハシシギ参照
分類:チドリ目 シギ科
全長:35.0cm
翼開長:不詳
分布:極めて稀な旅鳥。
生息環境:水田、干潟など。
食性:昆虫、甲殻類、貝類、ミミズなど。
レッドリスト:
情報不足(DD)
フォトギャラリー:第46回参照
撮影難易度:★★★★★
シベリアオオハシシギ(夏羽)つづき
Asian Dowitcher
Limnodromus semipalmatus
撮影日:2010年4月23日
撮影時間:13時21分25秒
シャッタースピード:1/1000秒
絞り値:F11.2
撮影モード:マニュアル
焦点距離:600mm(換算900mm)
ISO感度:1600
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon ED AF NIKKOR 70-300mm1:4-5.6D
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
シベリアオオハシシギ
第47回 2010年4月29日