1本の倒木を二つのレイヤーに分けミヤコショウビンより手前に表示させる事によりを隠したところ。もう一方のレイヤーはミヤコショウビンの足指が手前に来るので二つに分けた。一つのレイヤーだと尾も木の手前に来てしまうなど前後関係に不具合が生じる。
この後、更に手前に雑草を加えて遠近感を強調し、一度完成したと思ってからミヤコショウビンに木漏れ日を差し込ませてリアリティを出した。もっと上の世界の芸術や職人技に「これで良い」という終りは無いだろうから、たかがこんなイラスト1枚と言えどどこで筆を置くか難しい所だ。ダ・ヴィンチは生涯モナリザに筆を加え続けた。究極の芸術に完成は無いという事だろうか。
背景だけを加えたもの。この絵にはカワセミの時とは異なるいろんな遠近法のテクニックが生かされている。緑色は橙色の対色ではないが経験的に引き立つ色関係だと分かっていたのでこの背景を選択した。
イラストギャラリー第1号のカワセミから色を塗り替えた。従ってこれの下書は存在しない。嘴はカワセミより太めに、尾はカワセミよりも長めに修正した。眼窩など見えない骨格を無意識的にイメージして仕上げた。カワセミ編で触れた通りには特にこだわった。眼は小さいから細かいディテールは見えにくいが虹彩瞳孔も描き込んだ。細部は鑑賞者に見えなくても細かく描く事で眼に光が宿りリアリティが格段に増す。子供の頃に展覧会で入口付近に飾られていたルノワールの自画像の瞳の美しさにいきなり釘付けになって一歩も先へ進めなくなった事が有る。印象派の絵でも眼は黒一色ではない。眼には不思議な力が有る。
イラストの制作過程の舞台裏を段階を追ってお見せするメイキング・ミヤコショウビン編。
メイキング編Ⅲ ミヤコショウビン