前回幼鳥のクロハラアジサシはが白かったが、今回は成鳥夏羽だから名前の通り腹が黒い。もちろん性格が腹黒い訳ではない。前回、プロはパッと見た瞬間の印象で同定している様な事を書いてしまったが、もちろん緻密な同定もしている。レンジャーによると、この時季、換羽途中のクロハラアジサシの年齢別特徴は成鳥の場合は腹に黒っぽい羽、嘴に赤味が残る場合が有り、幼鳥の場合は一様に白く、側胸に薄い暗色斑、背面に褐色斑が残る場合が多いとの事。しかしそう言われて見ても素人の僕には図鑑と首っ引きでもよく分からない。アジサシ類の同定は上級者にも困難だろう。海岸沿いを群れで往復していたが、こういう時は風下から風上に向かって飛んでいる時が撮影のチャンスだ。今年はクロハラアジサシの当たり年の様で、この秋は内陸の公園の池などにも飛来している様だ。
海洋性の野鳥は普段目にする機会が少ない。何かの拍子に沿岸付近にやって来てくれた時がチャンスだ。オオミズナギドリは沖合に出れば珍しくないのだろうが、カメラを持って船に乗る機会は少ない。これは2年前に撮影した在庫だが大阪南港野鳥園に入り込んだ個体に運良く巡り会えた時の写真だ。外洋で水を薙ぐ様に海面すれすれを飛ぶからこの名が付いたのだろう。
オオミズナギドリは留鳥だが厳冬期には極めて稀だとされ、全く季節移動しない訳ではないから、同時季に同じ場所に現れる確率は低くないと思う。2年前とは言え11月だったから、そろそろ飛来しても不思議ではない季節が巡って来た。因みに過去の「フォトギャラリー」を紐解いてみるとこの時季はハイタカ属やハヤブサの仲間が現れる可能性も高い様に思う。過去オオタカを撮影した時間帯の統計を取ってみると午前11時頃の確率が高い事が分かった。陽が昇って上昇気流が生じるとタカ科が飛ぶ確率が高まると言うから理に適っている訳だ。最新情報を収集して後追いするだけでは他人と同じ写真しか撮れない。過去のデータから類推して先回りするのも面白いかも知れない。

初歩のバードウォッチング:色彩・斑紋参照
分類:ミズナギドリ目 ミズナギドリ科
全長:49.0cm
翼開長:120.0cm
分布:全国で漂鳥。
生息環境:海上、沿岸、沖合など。
食性:魚類、イカなど。
フォトギャラリー:初登場(携帯電話待受画面サイズを除く)
撮影難易度:★★★☆☆
オオミズナギドリ
Streaked Shearwater
Calonectris leucomelas
撮影日:2010年11月16日
撮影時間:12時32分34秒
シャッタースピード:1/400秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:400
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:チドリ目 カモメ科
全長:26.0cm
翼開長:76.0cm
分布:全国で旅鳥。
生息環境:湖沼、河川、干潟など。
食性:魚類、昆虫など。
フォトギャラリー:第90回参照
撮影難易度:★★★★☆
クロハラアジサシ(成鳥)
Whiskered Tern
Chlidonias hybrida
撮影日:2012年10月2日
撮影時間:14時28分12秒
シャッタースピード:1/320秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:200
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
クロハラアジサシ オオミズナギドリ
第91回 2012年10月9日