2018年11月3日訂正;レンジャーによれば日本海航路で見られるのは恐らくオットセイだろうとの事でした。
小樽運河
フォトギャラリー・レイアウト編
小樽駅
5月31日21:34
宿を取った札幌市内へJRで移動。朝食付きのビジネスホテルに1泊し¥5,300。ここまで満足に野鳥が撮れていない。いよいよ明日から本腰を入れなければならない。

動画ギャラリー:新日本海フェリー参照
5月31日21:19
団体客が行く様な観光名所はあまり好きではないがせっかくなので小樽運河まで歩いた。
小樽フェリーターミナル
5月31日20:45
個人的には約15年ぶりの北海道上陸。
5月31日20:21
出港から約21時間の航海で小樽港に入港。片道の航海で7万キロリットルの燃料を消費するとのこと。
辛うじて日没前にようやく普段見慣れない海鳥が見られた。数羽単位でかなりの数がフェリーを追い越す様に海面すれすれを飛んでいた。しかし光線が弱く同定が困難だ。ウトウの可能性が高く、そういうことにしたが断定は出来ない。
分類:チドリ目 ウミスズメ科
全長:38.0cm
翼開長:63.0cm
分布:東北地方南部以北で留鳥または夏鳥、それ以南で冬鳥。
生息環境:繁殖期は沿岸、冬季は沖合。
食性:魚類など。
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★☆☆
ウトウ(?)
Hornbilled (Rhinoceros) Auklet
Cerorhinca monocerata
撮影日:2018年5月31日
撮影時間:18時59分33秒
シャッタースピード:1/200秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:北海道
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
5月31日18:53
霧が晴れて日本海に夕陽が沈んで行く。島の様に見えるのは雲の塊。この方向に島は無いとの事。
5月31日18:53
夕方になってカムイ岬も見えた。
オットセイ(?)
5月31日18:27
北海道沖に至ってフォワードサロンから前方を見ていると頻繁にしぶきを上げる動物が見えた。乗員の人に聞くところによると魚の背ビレの様に見えるのはアシカの前足だそうだ。航路上ではよく見られるとのこと。
5月31日17:35
フォワードサロン
船長気分が味わえる。
5月31日06:04
外の空気が吸える唯一のオープンデッキは後方と両側の眺望が有る。ここから海鳥を狙っているとあっと言う間に時間が経った。陸地から離れると海鳥はめっきりと減る。午後から霧が出てバードウォッチングも中断せざるを得なかった。沖を航行中は計器で確認しているので霧で遅れる事は無いとのこと。また漁網の目印(ボンデンと言うそうだ)も参考にして位置を確認しているとのこと。このフェリーはスクリューの後ろにスクリューの渦でモーターを回すポッドが付いていてスピードアップに役立てているそうだ。航海速力30.5ノットでこのクラスでは世界有数の高速フェリーとのこと。ちなみに1ノットは1時間に1海里(1.852km)進む速さだから時速約56.5kmということになる。乗員の人に聞いた雑学によるとノットとは元々ロープの結び目の事でロープの結び目を幾つ繰り出したかで船の速度を測っていた事に由来するのだそうな。そう言えばネクタイの結び方にもウィンザーノットとかあったっけ。
5月31日06:00
翌朝も船内探索。エントランスやカフェには大型モニターが有って現在地や天気予報などが表示される。
5月30日23:41
右側が大浴場。100円返却式のコインロッカーも有る。奥がレストラン。他にプロムナードやグリル、ゲームコーナー、売店、自動販売機、コインランドリー、給湯室なども有る。23時50分に出港して僕も就寝。寝床に入ると朝からの出来事が走馬灯の様に蘇って来たがいつの間にかストンと眠りに落ちた。
5月30日23:36
カフェは飲食しなくても出入り自由な感じだった。奥から船尾のオープンデッキに出られる。沖に出ると携帯電話の電波がほとんど届かないので退屈な時はここにテレビも有る(チャンネルは変えられない)。因みに携帯電話は電波が届かないと電波を探そうとするのでバッテリーの減りが早いとのこと。
5月30日23:33
船内を探索してみた。乗船するとまずこのエントランスに入る。
5月30日23:19
23時を回って乗船開始。僕の寝床は最も安価なツーリストAのベッド。2段ベッドだが上の段と顔を合わさない様に互い違いに仕切られている。窓側は向かい合わせのベッドも無いので一人旅には良い。各ベッドにはコンセントも有る。充電には延長コードが有ると便利。施錠は出来ないので貴重品は肌身離さず持っておくか100円返却式のコインロッカーを利用。乗客は全員身元が割れているし目的地まで下船は出来ないのであまり神経質に心配する必要は無い様に思う。
夜になってフェリー「はまなす」が港に入って来た。見上げる様な全長224.5mの巨体がゆっくりと接岸する様はなかなかの迫力だ。ピタリと位置を合わせる操船技術はさすがプロだと感心する。
5月30日21:20
5月30日21:05
新日本海フェリー舞鶴フェリーターミナル
5月30日18:01
夕方になって晴れ間が広がって来た。乗船手続きを済ませて乗船券を受け取ってから待合室で出港までの長い時間を読書しながら過ごした。車無しの乗客はまばら。観光客の他に長距離トラックの運転手など乗客は様々。近畿圏と北海道とを結ぶ物流にも重要な役割を担っている事が分かった。
北吸トンネル 登録有形文化財
5月30日17:35
市内をぐるっと回ってフェリーターミナルへ向かう途中でたまたま見つけた赤レンガの北吸トンネル。国の登録有形文化財。かつては鉄道トンネルだった様だが今は歩行者用。
5月30日15:09
探鳥で登ろうと思っていた五老ヶ岳への登山道。雨は上がっていたが雨滴が酷くて途中で引き返したので野鳥は見られなかった。
舞鶴赤レンガ倉庫群 重要文化財
5月30日14:26
国道沿いに倉庫群が有った。道路から外観だけ見学。
東舞鶴駅
5月30日13:22
東舞鶴駅から舞鶴フェリーターミナルまでは歩いて行けない距離ではない。フェリーの出港までだいぶ時間が有るので舞鶴でも探鳥したかったがあいにくの小雨模様。体力温存の為あまり無理をしないことにして少しだけ観光がてら歩いてみた。
更に綾部駅にて東舞鶴行きの列車に乗り換え。40分以上の待ち合わせ時間を持て余す。ここまで来ると都会の時間感覚とはだいぶ違う。郷に入っては郷に従えではないがこのペースに自分を合わせるしかない。
5月30日12:26
そんなこんなで迎えた当日。まず京都駅発のJR山陰本線の快速列車で園部方面へ向かい園部で鈍行列車に乗り換え福知山方面へ向かう。単線のため特急の通過待ちとか反対行きとの待ち合わせとかでなかなか進まない。
大阪から北海道まで昔なら夜行列車という手段も有ったが今はブルートレインが無くなってしまったし新幹線や飛行機も安くない。貯金を切り崩しながら切り詰めた生活をしている今の僕には北海道旅行など夢のまた夢で端から諦めていたが徒歩でフェリーとバスを使えば思ったより安価に行けそうなことが分かり1年も前から計画を練り始めた。どうせなら本格的な野鳥スポットまで行きたいと考え無謀にも天売島を目標にした。二つ目のテーマはウミガラスなど天売島ならではの海鳥、島嶼部特有の野鳥を撮影する事。天売島は北海道北部の西側沖合約30kmに位置し島全体が天売島海鳥繁殖地として国の天然記念物に指定されている離島だ。舳倉島ほど小さくはないが徒歩で一巡可能な規模の有人島で北海道本土側の羽幌町から定期航路が有る。
今回の撮影旅行のもう一つのテーマは経費削減。どこまで必要最小限の出費を貫けるかという挑戦でもあった。とは言えコストパフォーマンスも考えて天売島には3泊することにした。大阪から鈍行列車でまず舞鶴へ行きそこから新日本海フェリーで丸1日かけて小樽まで行く。小樽から札幌まではJRですぐだが札幌付近でどうしても1泊せねばならず、どうせ1泊するなら札幌でも探鳥しようと考え翌朝の円山公園を予定に入れた。計画ではレンタカーなどは借りず札幌から沿岸バスを利用して道央自動車道からオロロンラインを経由して羽幌町まで移動しそこから羽幌沿海フェリーで天売島へ渡る。帰りは同じルートを逆に進み舞鶴で1泊してJRで大阪に戻る。せっかく北海道まで行くのだからついでにいろんな所へ足を伸ばしたいと考えがちだが一口に北海道と言ってもやはり広い。交通の便も良いとは言えない。地図上では近い様に見えてもけっこう遠いからついでに行ける範囲は限られている。例えば天売島の有る羽幌町から北の宗谷岬までは道路距離で約155km、大阪から岡山県の備前や福井県の敦賀までの距離よりも遠い(東京からなら静岡県富士宮や栃木県那須塩原などに匹敵)。ついでに行けるスケールではない。結局天売島と途中の経由地以外へ行くのは計画段階で断念した。天売島での海鳥の繁殖期は5月から7月頃、フェリーの運賃や宿泊費が安い期間の中で台風シーズンを避け梅雨入り前(北海道に梅雨は無いが航路の日本海も好天であるに越した事は無い)という諸条件を考慮し天売島の探鳥を6月上旬に設定し混雑を避け移動は平日という日程を組んでアポロ計画と同じく逆算して準備を進めた。最も予約の取りにくそうな島での宿泊は4ヶ月以上前、新日本海フェリーは2ヶ月前、沿岸バスは1ヶ月前に予約した(それより早くは予約出来ない)。天売島へ渡る手段には羽幌港から高速船かフェリーか2通り有るが高速船は割高だしフェリーの方が海鳥を狙い易いのではないかと考え迷わずフェリー「おろろん2」を選ぶ(予約不要)。
旅慣れたつもりの僕でも荷物をリュック一つにまとめたら重さが8kgにもなった。三脚とレンズが重く着替えと朝昼食用のバランス栄養食がかさばる。これを担いでの長旅は体力を消耗するに違いない。綿密に計画を立てたつもりだが頭で思い描いた世界と現実とは違う。天候も気になる。地図や写真を見てイメージを膨らませても現地へ行ってみると全然違ったりするものだ。果たしてそううまく行くのか一抹の不安が付きまとう。何しろ北海道は遠い。近い外国よりも遠い。どこか一ヶ所でも段取りが狂うと挽回が難しい。期待に胸を膨らませながら準備を進めて来たがXデーが近付くにつれて次第に不安の方が大きくなって来る。しかし気持ちを奮い立たせて行くしかない。新日本海フェリーは予約してすぐに料金の払い込みを済ませてある(電話で予約すると9桁のお客様番号、収納機関番号、確認番号を伝えられ、それから3日以内にATMへ行き上記の番号を入力して払い込むと予約完了)。この時期は最も安いツーリストAで往復¥19,203(往復割引)。ツーリストAはカプセルホテルの様なベッドで完全な個室ではなく施錠は出来ない。夜は寝るだけだから僕にとってはこれで充分だろう。とにかく贅沢は出来ない。
何年も前に仕事などで北海道を何度か訪れているとは言え僕にとって北の大地には特別な憧れが有る。北海道の人に聞けば逆に本州以南に憧れが有り九州などは同じ日本とは思えないと言う。考えてみれば北海道より本州の方が遥かに大きい。しかし北海道は面的な広がりが大きいので大陸的なスケールの大きさを感じる。また野鳥ファン目線で見ると北海道と本州以南とでは野鳥の分布が大きく異なる。野鳥だけではなく生物全般についても異なる種が分布している。日本列島は特に南北に長く亜寒帯、温帯、亜熱帯にまたがっている。地球的規模で動物地理区を見れば鳥類の地理的分布区分は北海道と本州付近が旧北亜区、南西諸島が東洋区に属するなどとされる。旧北亜区の中で北海道は南シベリア、本州側は中国に近い。そして大陸から離れて5万年以上経っている本州側には日本固有種が多い。北海道が大陸から離れたのは本州が離れたのより遅く一説によるとおよそ1万2千年前と考えられており、従って生物種の分布が大陸に近い傾向が有る。本州側の野鳥ファンが見慣れている野鳥とは異なる種(亜種)が多く分布しているのはこの為だ。上記の通り北海道は津軽海峡を隔てて本州とは異なるエリアに属しており津軽海峡にはブラキストン線という見えない境界線が引かれている(フォトギャラリー第146回参照)。津軽海峡は10万年以上前から北海道と本州を隔てている(異説も有る)。狭い海峡の様で生物種にとっては高い障壁となっており空を自由に飛べる野鳥にとってさえ少なからず障壁になっている、あるいは敢えて越えようとしない壁になっていると考えられる。だからこの線を越えて行かなければ見られない野鳥も多い。今回の撮影旅行の大きなテーマの一つはブラキストン線を越えて北海道ならではの野鳥を撮影する事だ。因みに奄美諸島(東洋区)と本州側の種子島・屋久島(旧北亜区)との間には渡瀬線が設定されている。
第386回 2018年6月28日