2018年9月20日追記;
上記ツツドリの託卵相手の卵を排除する行動はレンジャーによれば卵の数合わせであり通常の行動なのだそうです。1つ産んだら1つ排除するそうです。
ウグイス:フォトギャラリー第344回他参照
カッコウ:フォトギャラリー第297回他参照
ホトトギス:フォトギャラリー第297回他参照
初歩のバードウォッチング:足(脚)の形色彩・斑紋参照
類似種の識別:カッコウとツツドリ参照

ドキュメンタリー・レイアウト編
デコイ
6月3日12:43
海鳥観察舎
6月3日12:19
ゴマフアザラシ
6月3日10:16
撮影地風景:
まだ天売島3日目の朝だ。また懲りもせず坂道を登って赤岩へ向かった。
相変わらず暴風が吹き荒れる断崖絶壁の赤岩展望台から身を乗り出して見下ろすとすぐ足元の岩肌にケイマフリの姿が有った。今まで気付かなかったのは高い所が苦手で崖の下を見下ろす勇気が無かったからだが、だんだん慣れて来てようやく冷静に下を覗き見る事が出来る様になってきた。慣れというのは恐ろしい。どうやらここの岩の隙間で営巣しているらしくこちらを全く警戒する様子も無く絶壁の間際で平然としていた。もちろん彼らは高い所も平気だ(ちょっと尊敬・・・)。この画像では分かりにくいが足が赤い。
赤岩展望台から遥か下を見下ろすと波打ち際でゴマフアザラシ(もちろん野生)数匹が日向ぼっこしていた。小さな幼獣の姿も有った。重たい思いをして持って行った三脚とレフレックスレンズがようやく役立った。
もうアマツバメは前の日に散々撮っていた(実は初日の夕方にも赤岩付近で撮れていた)が海鳥観察舎から観音岬にかけての道をうろついていると頭上を「ほれほれ撮れるもんなら撮ってみれ~」と言わんばかりに挑発的な猛スピードで飛び回るものだからついついその挑発に乗って撮影した。最も近いところを飛んだ時はシュッと風切り音が聞こえるほど低空を飛んでいた。前日に撮ったものはほとんど側(体下面)ばかりだったが今回は面(体上面)が撮れた。飛ぶ事に特化し極限まで洗練されたフォルムに惚れ惚れする。考えてみれば背面は腹側よりも撮影難度が高い。上空を飛んでいるところを下から見上げれば当然腹が見えるし同じ目線の高さであってもアマツバメに狙いを定めやすいのはこちらに向かって来る時だからその後どちらへ旋回しても腹がこちらに向く。たまたまその後すぐ逆向きに旋回してくれれば背面が見えるはずだがなかなかそうは行かない。より確実に背面を撮るためには最も狙いにくい側面からファインダーに捉えなくてはならない。しかし猛烈なスピードで突っ切って行くアマツバメを側面から捕捉し合焦するのは容易ではない。しかもそのタイミングで手前側へ旋回行動を起こしてくれないと背面は撮れない。
じゃあこちらに向かって来ている2枚目は簡単に撮れたのかと言えば必ずしもそうではない。何しろずっと直線的に飛んでいる訳ではなく頻繁に旋回して方向転換してしまうし、もし仮に後ろから矢で撃たれても振り切ってしまうのではないかとさえ思えるほど余りにも高速で飛んでいるからアマツバメがフォーカスポイントで合焦可能な大きさに見えたと思った次の瞬間にはもう通り過ぎていると言っても過言ではない。かと言ってシャッターボタンの半押しが少しでも早過ぎるとAFが空に持って行かれてピントリングが迷子になってしまう。単に撮るだけならAFを諦めて置きピンで狙っても良かったかも知れないが挑発(?)に乗ったてまえ敢えてAFにこだわった。それにしてもこれが撮れたらそれこそ矢の写真も撮れるのではないかと思えるほどとんでもなく厄介だが撮り甲斐の有る被写体であり、それを何とか捉えた渾身の画像となった。
もう何度か来た海鳥観察舎にまた足を運んだ。島には野鳥ファンを含めて観光客が少なからず来ていてこの観察舎などでも何人かの野鳥ファンと出会った。聞いた範囲では地元(と言うには遠いけど)札幌から来たという小グループの人たちや同じ民宿にはドイツ人男性も来ていた。
海鳥観察舎から向かいの崖に見えるデコイ(模型)はウミガラスの営巣を誘引するために設置されているが赤岩周辺が現在日本唯一の営巣地でここには残念ながら本物の姿はまだ無い。
その海鳥観察舎から見えるウミウの営巣地(デコイの近く)に雛の姿が見てとれた。それぞれの巣に巣立ち間際と思われる雛が数羽づつ居て親鳥が帰って来ると首を振って餌をねだっていた。
またこの付近の岸壁にはアマツバメの巣も有るらしく死角に向かって飛び込んで行く姿が頻繁に見られた。
島をぐるっと半周して反対側の海岸沿い(黒崎海岸付近)に差し掛かったとき道路脇の樹木でツツドリの声がした。立ち止まって見ると至近距離に普通型の姿が有った。好物の毛虫らしきものをくわえている。こんな近い所にツツドリが止まっている事に驚いた。ツツドリの腹の横斑は9~11本に見える。カッコウの脇腹の横斑は11~13本、ホトトギスは11本(静止時は7本くらいしか見えないとされる)。ツツドリの下尾筒は白っぽく横斑は羽先に有る。普通型が逃げた後もしばらく立ち尽くしているとわずか数分後に今度は赤色型が現れたので二度びっくり(赤色型ということは雌と思われる)。更に驚いたことに何とくわえているのはどうやらウグイスの卵の様だ。託卵相手の卵を排除しているのだろうか?巣の中のウグイスの卵は少し早く孵ったツツドリの雛が排除するので親鳥がこういう事をする必要は無い筈だ。聞いたことも無い謎の行動だ。
この日は夕食を18時にしてもらったのでぎりぎりまで頑張ったがこの後はこれと言った野鳥は撮れなかった。
分類:カッコウ目 カッコウ科
全長:32.0cm
翼開長:56.0cm
分布:全国で夏鳥。
生息環境:林など。
食性:蛾の幼虫など。
フォトギャラリー:第389回参照
撮影難易度:★★★☆☆
ツツドリ(上=普通型、下=赤色型)
Oriental Cuckoo
Cuculus optatus
撮影日:2018年6月3日
撮影時間:14時13分56秒
シャッタースピード:1/640秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:北海道
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
撮影日:2018年6月3日
撮影時間:14時13分56秒
シャッタースピード:1/640秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:北海道
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:カツオドリ目 ウ科
全長:84.0cm
翼開長:133.0cm
分布:東北北部以北の太平洋側、九州北部以北の日本海側で留鳥、その他で冬鳥。
生息環境:海岸など。
食性:魚類。
フォトギャラリー:第389回他参照
撮影難易度:★★★☆☆
ウミウ(営巣)
Japanese Cormorant
Phalacrocorax capillatus
撮影日:2018年6月3日
撮影時間:12時53分59秒
シャッタースピード:1/200秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:400
撮影地:北海道
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:アマツバメ目 アマツバメ科
全長:19.5cm
翼開長:42.0cm
分布:全国で夏鳥。
生息環境:山地、海岸など。
食性:昆虫。
フォトギャラリー:第389回他参照
撮影難易度:★★★☆☆
アマツバメ
Pacific Swift
Apus pacificus
撮影日:2018年6月3日
撮影時間:11時40分29秒
シャッタースピード:1/1600秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:北海道
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
撮影日:2018年6月3日
撮影時間:11時12分20秒
シャッタースピード:1/1600秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:北海道
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:チドリ目 ウミスズメ科
全長:37.0cm
翼開長:58.5cm
分布:東北地方北部以北で留鳥、それ以南で冬鳥。
生息環境:沿岸海域から沖合。
食性:魚類、軟体動物、甲殻類など。
レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類(VU)
フォトギャラリー:第387回参照
撮影難易度:★★★★☆
ケイマフリ(夏羽)
Spectacled Guillemot
Cepphus carbo
撮影日:2018年6月3日
撮影時間:09時22分48秒
シャッタースピード:1/640秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:北海道
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
ケイマフリ アマツバメ ウミウ ツツドリ ゴマフアザラシ
第391回 2018年7月11日