コロナ禍の影響で去年の秋以来10ヶ月ぶりの大阪南港野鳥園となった。シギチの春の渡りを観察していないので感覚がおかしくなっている。秋だから幼鳥が居てもおかしくないはずだが春の感覚で幼鳥は居ないはずだという見方になってしまっている。しかし気付けばもう8月でありシギチの秋の渡りが始まっていて幼鳥も混ざっていてもおかしくない。掲載順は前後するがこの日久々に大阪南港野鳥園を訪れてから最初に撮影したのはシギチではないが幼鳥と思われるチョウゲンボウだった。上尾筒に灰色味が無いので幼鳥と判断した。猛禽の中では小さくて目立たないがシギチがざわついたので飛んでいるのに気付いた。
この日の主役はダイゼンだった。主に土中からゴカイを捕まえて食べていたが途中でちぎれない様にそろーりとゆっくり引っ張り出してから食べる仕草が面白い。ムナグロとの決定的な識別点を確めたくて干潟の彼方に発見した後は他のシギチには目もくれずずっとファインダーの中に捉え続けた。最所は遠かったが1度飛んで比較的近い所へ来てくれた。実は飛んだ時に見える腋羽がムナグロとの識別点でダイゼンは黒くムナグロは淡灰色だが、それを捉える為にずっと狙っていたにも関わらず飛びものは遂にマトモに撮れなかった。何時間もひたすらそれを狙っていたのにわずか数秒目を離した隙に飛ばれてしまいロストしてしまった。画像の解像度次第では第1趾が有ればダイゼン、無ければムナグロという判断材料になるが僕のカメラではなかなかそこまでの解像度は得られない(チドリ科は基本的に三趾足だがダイゼンだけが例外※)。但しダイゼンの中には第1趾が無い個体も有るという話も有って第1趾が有ればダイゼンだが無ければ決定的な識別点ではない様だ。
ダイゼンに注目しつつもアオアシシギの中に興味深い個体を見つけていたのでダイゼンをロストした後はそちらにターゲットを移した。本種2枚目の個体がそれで1枚目の個体と比べると明らかに足が黄色っぽい。1枚目の個体が見慣れたアオアシシギの足の色で2枚目の個体のそれには強い違和感が有る。去年2度撮影したカラフトアオアシシギも足が黄色っぽかったのでもしやと思ったがレンジャーによればアオアシシギの中にもそういう個体が居るとの事だった。個人的に識別点を確かめる事は出来ずアオアシシギという結論で納得せざるを得なかった。
レンジャー曰く「もしかしたら別の野鳥ではないか」と観察するのは上達にとってプラスになり良い事だそうだ。たとえその結果が違っても無駄にはならない。シギチの秋の渡りはまだまだこれからだ。春の渡りをパスして久々に大阪南港野鳥園を訪れた今年初回としては楽しくバードウォッチングが出来たうえに新しい知識も得られ上々の成果だった。

ムナグロ:フォトギャラリー第197回他参照
カラフトアオアシシギ:フォトギャラリー第494回他参照
初歩のバードウォッチング:足(脚)の形参照
類似種の識別:ダイゼンとムナグロアオアシシギとカラフトアオアシシギ参照
YouTube動画:ダイゼン参照

2020年9月16日訂正;
(※)本文中「チドリ科は基本的に三趾足だがダイゼンだけが例外」との記載は誤りでケリ、タゲリにも第1趾が有ります。
分類:ハヤブサ目 ハヤブサ科
全長:雄33.0cm 雌38.5cm
翼開長:68.5~76.0cm
分布:全国で留鳥または冬鳥。
生息環境:平地~山地の草原、農耕地、河川など。
食性:鳥類、小型哺乳類、昆虫など。
指定:天然記念物(長野県十三崖のチョウゲンボウ繁殖地)
フォトギャラリー:第503回他参照
撮影難易度:★★★☆☆
チョウゲンボウ(幼鳥と思われる)
Common Kestrel
Falco tinnunculus
撮影日:2020年8月3日
撮影時間:09時08分48秒
シャッタースピード:1/320秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:チドリ目 シギ科
全長:32.0cm
翼開長:68.0~70.0cm
分布:全国で旅鳥。局地的に越冬。
生息環境:水田、河川、干潟など。
食性:甲殻類、昆虫、魚類など。
フォトギャラリー:第498回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
アオアシシギ
Common Greenshank
Tringa nebularia
撮影日:2020年8月3日
撮影時間:12時13分17秒
シャッタースピード:1/400秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
撮影日:2020年8月3日
撮影時間:11時38分59秒
シャッタースピード:1/400秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:チドリ目 チドリ科
全長:29.0cm
翼開長:59.0cm
分布:全国で旅鳥または冬鳥。
生息環境:干潟、河口など。
食性:ゴカイ、甲殻類、昆虫など。
フォトギャラリー:第493回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
ダイゼン(冬羽に移行中)
Grey Plover
Pluvialis squatarola
撮影日:2020年8月3日
撮影時間:11時33分31秒
シャッタースピード:1/400秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
撮影日:2020年8月3日
撮影時間:10時15分17秒
シャッタースピード:1/320秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
ダイゼン アオアシシギ チョウゲンボウ
第574回 2020年8月10日