春の到来と共に夏鳥の飛来だ。ヒタキ科は夏鳥が多いから立て続けに撮影出来た。こういうカラフルな小鳥は女性にもウケが良い。全国的に分布する有名な野鳥だが滅多矢鱈と飛び回っている訳ではなく、両者とも初めて見る野鳥だ。どちらも小枝の多い薄暗い林の中で、しかも短時間のシャッターチャンスだったから写りは良くない。この程度の写真を公表する事には気が引けるが、これはこれで図鑑のように完璧な写真よりも臨場感が伝わるのではないかと思う。
オオルリは時々歩く山道の途中で見かけた。青と白のツートンカラーが美しい。知らないうちに縄張りを作っていたのか、警戒しつつも逃げ去る訳でもなく遠巻きにしていた。気付かずにテリトリーを侵してしまったのかも知れない。雌らしき個体もいたが、両者とも間もなく視界から隠れてしまった。数日後行ってみたら、並行する用水路のドブさらいの為に機械力で下草刈りや枝打ちをした跡があり、オオルリの姿は無かった。因果関係は不明だし地元農家の生活もあるから一概に非難は出来ないが、どこへ行ってしまったのかちょっと心配である。なお、付近でモトクロスに来たバイクを見かけたが、困った遊びが流行っているものだ。静寂の支配する山道では、我々が落葉を踏む音にさえ敏感に反応する野鳥がいる。車道を走るのは自由だが、自然界に存在しない2気筒エンジンの轟音を撒き散らし、わざわざ里道(りどう)にまで入り込んで蹂躙して回る無神経さには呆れる。銃猟禁止区域ではこのような車両も規制しなければ意味がないと思う。
オオルリを見た翌日にはキビタキを初めて見たが、その時はたった3秒間で3枚しか撮らせてもらえなかった。あまりにも早過ぎる出会いと別れ、レンズを向けるだけで精一杯だったから露出アンダーで黒ツブレ。数日後別の場所で美しいさえずりが聞こえるばかりで姿の見えない鳥がいて、ずっと気になっていたのだが、今回ようやく声の主を突き止めてみたらキビタキだった。鬱蒼とした林に縄張りを持つのが習性の様で、なかなか姿を見せてくれなかったが、辛抱強く待っているとたまたま障害物のないアングルで視界に入った。とは言え明るい林の様に写っているが肉眼ではかなり暗い林だったので、限界ぎりぎりのスローシャッターで写した。
暗い林でのマニュアル撮影は難しい。明るい所から急に暗い林に入ると目が慣れるまでに時間が掛かるし、その点ではカメラの方も同様の問題を抱えている。木漏れ日の漏れる様な条件だと、明るい所と暗い所の明暗差が3段以上、およそ10倍もの開きがある。つまりシャッター速度か絞りを瞬時に3段も操作しなければならないのだ。RAWで撮影して現像ソフトで補正すれば対応出来るかも知れないが、限界はあるし速写性が劣り撮影可能枚数も減る。となると、やはり撮影段階で的確に適正露出で撮るのが理想だが、山地の野鳥は人里の野鳥よりも警戒心の強いものが多いから、陰に隠れて滅多に姿を見せないし、もたついているとすぐに飛び去る。かと言って慌ててカメラを振り回してもいけない。気配を消して冷静に、なおかつ速やかに、正確な操作で撮影に集中する事が求められる。
分類:スズメ目 ヒタキ科
全長:14.0cm
翼開長:22.0cm
分布:九州以北で夏鳥。
生息環境:平地~山地の林など。
食性:昆虫、蜘蛛、木の実など。
フォトギャラリー:初登場
キビタキ(雄)
Narcissus Flycatcher
Ficedula narcissina
撮影日:2009年5月13日
撮影時間:10時57分10秒
シャッタースピード:1/100秒
絞り値:F11.2
撮影モード:マニュアル
焦点距離:600mm(換算900mm)
ISO感度:1600
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon ED AF NIKKOR 70-300mm1:4-5.6D
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:スズメ目 ヒタキ科
全長:16.0cm
翼開長:27.0cm
分布:九州以北で夏鳥。
生息環境:平地~山地の川沿の林など。
食性:昆虫、蜘蛛、木の実など。
フォトギャラリー:初登場
オオルリ(雄)
Blue-and-white Flycatcher
Cyanoptila cyanomelana
撮影日:2009年4月29日
撮影時間:15時08分51秒
シャッタースピード:1/200秒
絞り値:F11.2
撮影モード:マニュアル
焦点距離:600mm(換算900mm)
ISO感度:3200
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon ED AF NIKKOR 70-300mm1:4-5.6D
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
オオルリ キビタキ
第9回 2009年5月17日