日本最大のワシタカ類、オオワシ。2011年の「フォトギャラリー」はオジロワシに始まってオオワシで締める事となった(フォトギャラリー第57回参照)。翼開長は2メートル超、雌は全長1メートル以上という超大型のワシだ。屍肉も食うが魚類や野鳥などのハンティングもするし、繁殖地ではウサギなども捕食するとされる。よく比較されるオジロワシの方が日本では稀少とされるが、世界的には北半球の広範囲に分布するオジロワシよりも、極東のごく限られた範囲にしか分布しないオオワシの方が遥かに稀少だ。にもかかわらず撮影難易度を星5個ではなく4個としたのは、人気が有るうえに珍しい事から却って情報が得やすく、しかも大きくて目立ち動作もゆったりしている事と、春になるまで一度定着したエリアから余り移動しない事による。
普段は偶然の出会いを期待してほとんど事前に情報収集しない僕も、今回はネットで得た情報を元に最初から狙って琵琶湖へ出掛けた。夜明け前に家を出て車を走らせ、まだ薄暗い早朝から「湖北野鳥センター」に近い小さな漁港でカメラをセットし、ひたすら待ち続けた。ところが待てど暮らせどオオワシの姿は見えず、カモたちがこちらを警戒しつつ行ったり来たりしているだけだった。上空では雷鳴がくぐもった唸りを上げて、今にも降り出しそうな曇り空だ。結局、昼前近くになって1隻の漁船がやって来てカモたちも一斉に飛び立ってしまった。獲物になる可能性の有る野鳥が居なくなったので、オオワシはここには来ないと見てその場所を諦め「湖北野鳥センター」へ行って聞いたところ、近くの山本山という小高い丘の中腹に止まっているとの情報を得て、ようやく居場所が分かった。この様な経緯があって、今回の写真となった訳だ。この日は一日中でも漁港で待つつもりだったから、もし漁船が来なければこの写真は撮れなかっただろう。雪の似合うイメージが強いオオワシだが、この日は丘の麓からも良く見通せる朽木の枝に止まっていて、背景に紅葉が映えるロケーションに恵まれた。いつも僕は被写体を真ん中に持って来る「日の丸型」のトリミングをするが、そんな訳でこの写真は背景も意識して敢えて右に寄せてみた。
撮影開始から約40分後には突然湖面に向かって飛び立ち、画面からはみ出すほど間近の頭上を通過して行った。それまで三脚にカメラを据えて撮影していたが、三脚に固定したままではその様な角度での撮影は無理な事を予め想定していた僕は、真上に来た時には素早く手持ちに切り替え、真下からの撮影にも成功した。その後「湖北野鳥センター」へ戻ってみると、正面の遥か沖合で何かを捕食している様子が見え、だいぶ経ってからすぐ脇を通ってまた山本山方向へ飛んで行ったのだが、その様なチャンスに恵まれながら今度は余り良い写真は撮れなかった。そういうイメージが出来ていなかったので、カメラを構えていなかったのだ。こういう時はいかに想像力を働かせて野鳥の次の行動を予測するかが撮影の成否を分けるのだと思う。
それにしても不思議なのは、なぜ広大な琵琶湖の中でこの個体が「湖北野鳥センター」の間近を越冬地に選んだのかという事だ。まるで野鳥ファンが観察している事を意識しているかの様に、カメラの前に姿を見せてくれている。しかもこの日は一時崩れかけた天候も回復し、薄日が差すまでになった。様々な要素が重なって撮影出来た今回の一枚。ツキに恵まれた一日だった。
分類:タカ目 タカ科
全長:雄88.0cm 雌102.0cm
翼開長:220.0~245.0cm
分布:北海道、東北、日本海側などで冬鳥。
生息環境:海岸、湖沼、河川など。
食性:魚類、鳥類、両生類、哺乳類など。
レッドリスト:
絶滅危惧Ⅱ類(VU)
指定:
天然記念物
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★★☆
オオワシ
Steller’s Sea Eagle
Haliaeetus pelagicus
撮影日:2011年12月7日
撮影時間:11時57分18秒
シャッタースピード:1/160秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:400
撮影地:滋賀県
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
オオワシ
第73回 2011年12月27日