琵琶湖の湖岸道路を走っていると、思わず脇見運転してしまいそうになるくらい無数の水鳥が広大な湖面に浮かんでいる。もしかしたらその中には珍しいものが混ざっているかも知れないと思うと、車を走らせつつも気が気でない。このところ毎週の様に「湖北野鳥センター」を訪れているが、付近を探索するだけでも多くの水鳥を撮影する事が出来る。という訳で、前回に続き今回も琵琶湖の野鳥たちを紹介する。
マガンは宮城県や石川県などへ局地的に渡来し、琵琶湖が南限とされる渡り鳥だ。この日はちょうど「湖北野鳥センター」の正面で数羽が越冬中だったので、こういう機会を狙って行けば撮影は割と易しい。ただ、他の地域ではなかなか撮影のチャンスが無いので、撮影難易度は星4個とした。
ホオジロガモは北日本に多く、西日本まで南下して来るものは少ないとされる。この個体はが雄の様に白くないのと嘴の先が黄色い事から雌の成鳥と思われる。この辺りでは幼鳥も見かけたので何羽かが群れている様だが、これまでのところ雄の姿は見えない。比較的警戒心が薄い様で、ここで見られるカモ科の中では最も近くまで寄って来る。
ミコアイサも中部以北に多いとされる。雄は目の周りが黒いので通称パンダガモと呼ばれる。白と黒のコントラストが強いので白飛びと黒ツブレの両方に気を付けねばならない。「湖北野鳥センター」近くの港の中にいたところを撮影出来た。カモ科の採食方法には水面採食と潜水採食とが有り、ホオジロガモやミコアイサなどは潜水ガモだ。水面採食には水面に浮いた餌を採食する方法と、水底に首を突っ込んで逆立ちしながら採食する方法が有り、潜水採食には翼を半開きにして羽ばたく様に泳ぐ方法と、翼をたたんで足だけで泳ぐ方法が有る。潜水採食するカモは水面採食するカモと比べると足が後方に付いており、泳ぐのは得意だが陸を歩くのは苦手で、飛び立つ時も直接には飛び立てず水面を蹴って助走してから離陸する。一度潜ると暫く経ってから別の場所に浮いて来るので、そのたびにファインダー内に捉えなければならない。
ヨシガモは大阪の河川敷や住宅地の池でも何度か撮影した事があり、時折見掛けるカモだが分布は局地的で、北海道で少数が繁殖する他は中部以南の本州に多く、その他の地域では少ないとされる。世界的にもシベリア東部から中国東部、極東の限られた範囲にしか分布しない。
ここに紹介したカモは、琵琶湖全体に飛来しているカモたちのほんの一部でしかない。この他にも撮影出来ないくらい沖に無数のカモらしき姿が見えるし、珍鳥の情報も有る。1993年にはラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)にも登録されている琵琶湖。言うまでもなく日本最大の湖だけあって懐の深さは桁外れだ。

初歩のバードウォッチング:カモ科における採食方法参照
分類:カモ目 カモ科
全長:48.0cm
翼開長:75.0~88.0cm
分布:中部以南の本州で冬鳥。北海道で夏鳥。
生息環境:湖沼、河川、水田など。
食性:種子、根、海草、水生動物など。
フォトギャラリー:初登場(携帯電話待受画面サイズを除く)
撮影難易度:★★★☆☆
ヨシガモ(雄)
Falcated Duck
Anas falcata
撮影日:2011年11月22日
撮影時間:10時06分51秒
シャッタースピード:1/125秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:400
撮影地:滋賀県
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:カモ目 カモ科
全長:42.0cm
翼開長:61.0~70.0cm
分布:九州以北で冬鳥。北海道北部で夏鳥。
生息環境:湖沼、河川、港など。
食性:魚類、貝類、甲殻類など。
フォトギャラリー:初登場(携帯電話待受画面サイズを除く)
撮影難易度:★★★☆☆
ミコアイサ(雄)
Smew
Mergellus albellus
撮影日:2011年12月14日
撮影時間:09時53分13秒
シャッタースピード:1/400秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:400
撮影地:滋賀県
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:カモ目 カモ科
全長:45.0cm
翼開長:65.0~85.0cm
分布:東北以北で冬鳥。
生息環境:湖沼、河川、港など。
食性:貝類、甲殻類、魚類、海草など。
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★☆☆
ホオジロガモ(雌)
Common Goldeneye
Bucephala clangula
撮影日:2011年12月7日
撮影時間:10時46分20秒
シャッタースピード:1/100秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:400
撮影地:滋賀県
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:カモ目 カモ科
全長:72.0cm
翼開長:138.0cm
分布:本州以北で冬鳥。
生息環境:湖沼、水田、湿地、河川など。
食性:落ち穂、青草など。
レッドリスト
準絶滅危惧(NT)
指定:
天然記念物
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★★☆
マガン
Greater White-fronted Goose
Anser albifrons
撮影日:2011年11月22日
撮影時間:11時45分22秒
シャッタースピード:1/160秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:400
撮影地:滋賀県
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
マガン ホオジロガモ ミコアイサ ヨシガモ
第72回 2011年12月26日