サンコウチョウは異国情緒の有る鳥だと思う。水色のアイリング、特徴の有るさえずり、そして何よりその長い。いかにも南国の鳥というイメージ通り冬はスマトラ半島まで南下するが、嬉しい事に夏は多くが日本へ飛来する。さほど珍しい鳥ではないが、滅多に陽の当たる所へ出て来ないので撮影はなかなか困難だ。針葉樹林を好むので枝がかりにもなりやすい。のべ四日通い詰めてようやくこの苦しい写真だ。日本ではカササギヒタキ科はこのサンコウチョウとリュウキュウサンコウチョウの2亜種のみだ。
最近あまり行かなくなっていた近所の里山を歩いていたら、突然聞こえて来た特徴の有るさえずり。サンコウチョウは「三光鳥」と書き、そのさえずりが「月日星ホイホイホイ」と聞きなされる事からこの名が付いた。ただ実際に聞いてみると「ホイホイホイ」の部分は車の防犯サイレンでよく聞く連続音に似ていて「フィフィフィフィ・・・」と聞こえる。しばらく待っていると一瞬明るい所へ出て来た姿は紛れも無く雄のサンコウチョウだった。しかしファインダーに捉える事は出来ず、ヤブ蚊に刺されながらの持久戦となってしまった。サンコウチョウは縄張を作って営巣するが、移動の途中なら長居はしてくれない。しかしこの個体は1週間経っても動く気配が無いから、ここで営巣している様だ。しかしまだ雌の姿が見えないのが気掛かりだし、時季的にはもう巣立ちの季節だそうだから、もういつ居なくなってもおかしくない。
この写真は発見した翌週に撮影したもので、昼なお暗い林の中でさえずりだけを頼りに探し出して何とか撮れた。枝がかりで分かりにくいが下に真っ直ぐ伸びているのが尾で、雄は全長45cmのうち30cmが尾の長さだ。ただ、その長い尾も夏の間に落ちてしまうと言う。雌の尾はこれほど長くないので全長は18cmほどだ。ちなみに鳥の全長は仰向けに寝かせた時の嘴の先から尾の先までの長さで測る。この時、尾の先より足が長くても足の長さは考慮しない。
サンコウチョウは毎年同じ場所で営巣する傾向が有るものの、人間を警戒して翌年の営巣場所を変えてしまう事も有るので、余り深追いしない方が良いそうだ。そんな訳で、いつかもう少しちゃんとした写真を撮るのを宿題にして、今回はこの写真で満足する事とした。実はこの辺りは地元の墓所になっていて、鬱蒼とした樹林の中に墓石が散在している。何とも不謹慎な野鳥ファンが「安眠妨害」をしてしまったかも知れない。
分類:スズメ目 カササギヒタキ科
全長:雄45.0cm 雌18.0cm
翼開長:28.0cm
分布:本州以南で夏鳥。
生息環境:平地~山地の林。
食性:昆虫。
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★★☆
サンコウチョウ
Japanese Paradise Flycatcher
Terpsiphone atrocaudata
撮影日:2011年7月5日
撮影時間:16時35分02秒
シャッタースピード:1/30秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:1600
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
サンコウチョウ
第65回 2011年7月27日