前回カメラのレンズが複数のレンズで構成されている事に触れたので少し専門的な話になるが何故そうなっているのかについて簡単に触れておきたい。ピンホールカメラ以外のカメラは凸レンズで光を集めて結像させる様に出来ているが1枚の単レンズでは様々な収差を生じてしまいクリアな像が得られない。一例として色収差というものが有る。白色光をプリズムに通すと光の周波数(色)によって屈折率が異なる為にスペクトルという虹色に分散した光になる。それと同様にレンズ内を通った光も分散して撮像素子(フィルム)に到達した時に色ごとにズレた像を結んでしまう。これが色収差と呼ばれるもので縦色収差(軸上色収差)と横色収差(倍率色収差)に大別される(ざっくり言えば軸上色収差とは色ごとに屈折率が異なるので例えば赤が合焦している時は青がピンボケ、青が合焦している時は赤がピンボケになるという現象。倍率色収差とは結像の大きさが異なるので輪郭線が虹色にぼやける現象)。これらの収差を補正する為に考案されたのが凸レンズと凹レンズを組み合わせたレンズだ。凸レンズで集めた光を凹レンズに通す事によって一度色ごとに分散した光を結果的に概ね1点に集める。レンズ全体として凸レンズになっていれば結像させる事が出来る。ここでポイントとなるのが高分散ガラスだ。分散とは前述の様にスペクトルを生じる事だがその度合いの大きさは素材ごとに異なる。もし両方とも同じ素材で作ってしまうと単レンズと同じ事になり収差は無くならないが凸レンズとは性質の異なる素材で作り屈折率は低いが分散の大きい凹レンズを組み合わせる事で全体として凸レンズでありながら収差を打ち消す事を可能としている。以上が色収差補正の原理だが実際には他の理由も有って多くのレンズが組み合わされて出来ている。普段意識せずに使っているレンズだが実は膨大な演算を経て緻密に設計されている訳だ。なお僕は専門家ではないので不正確な箇所も有るかも知れないが大きく間違ってはいないはずだ。
参考文献:小倉敏布「写真レンズの基礎と発展」朝日ソノラマ社1998年
連載企画;レンズの色収差補正(概念図)
自宅近くの現場で一時はたくさん見られたミヤマホオジロがその後ぱったりと見られなくなっていた。通過して行ってしまったのかなぁと探し回っていたら以前見られたポイントに10羽ほどの群れが居た。前に見た群れが戻って来たのか或いはずっと居たけどたまたま視界から外れていたのか、はたまた全く別の群れなのかは謎だがともかく彼らは至近距離の木の枝に居た。しかしミヤマホオジロは小枝だらけの木が好きな様で止まりものはどうしてもこういう画になりがちだ。至近距離だけど枝被り。今季はまだこういう証拠写真しか撮れていない。しばらくじっとチャンスを待ったが死角の地面に降りたきりロストしてしまった。後で戻ってみたら今度は一斉に逃げてしまった。なおミヤマホオジロは今回でフォトギャラリーに累計40回目の掲載となりハイタカと並び最多となった。また撮影日の1月26日は本種の特異日で過去2回撮影し掲載していて今回で3回目となった(フォトギャラリー第273回第441回参照)。
その前日はノスリが見つかった。こちらも証拠写真でトビみたいに見えるがれっきとしたノスリだ。飛んでいるところを見つけた時もトビみたいに見えたが念の為撮影したら撮影中にノスリと判った。思えば長らく(トビ以外の)タカを見ていなかった。正確には最近目の前にハイタカらしきものが降りて来た事が有ったが撮り損ねていた。しかしタカの中では比較的撮影難度の低いノスリに手こずっている様では僕もまだまだだなぁ・・・ちなみにノスリもフォトギャラリーへの掲載が多く今回で37回目となった。

ハイタカ:フォトギャラリー第544回他参照
トビ:フォトギャラリー第585回他参照
分類:タカ目 タカ科
全長:雄52.0cm 雌57.0cm
翼開長:122.0~137.0cm
分布:北海道~四国で留鳥。その他で冬鳥。
生息環境:平地~亜高山の林。
食性:小型哺乳類など。
フォトギャラリー:第593回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
ノスリ
Common Buzzard
Buteo buteo
撮影日:2021年1月25日
撮影時間:08時42分56秒
シャッタースピード:1/4000秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:スズメ目 ホオジロ科
全長:16.0cm
翼開長:21.0cm
分布:全国で冬鳥。
生息地:山地の林など。
食性:昆虫、蜘蛛、草木の種子。
フォトギャラリー:第614回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
ミヤマホオジロ(雄)
Yellow-throated Bunting
Emberiza elegans
撮影日:2021年1月26日
撮影時間:09時33分13秒
シャッタースピード:1/4000秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
ミヤマホオジロ ノスリ レンズの色収差補正
第618回 2021年2月2日