ジョウビタキほど人間のそばに寄って来る野鳥も珍しい。冬場、人家の庭などに縄張りを作るのだが、人間に対する警戒心が希薄なうえに縄張り意識が強いから、1メートルの至近距離でも逃げない事がある。そんな訳でこの鳥との縁は深い。10年ほど前に大分で事務所の敷地に縄張りを作った個体があり日常的に接していたが、ある日その個体と思われる1羽が窓に衝突し脳震盪を起こしたので、事務所内の観葉植物に止まらせて介抱した事がある。しばらくそのまま仕事をしていたら、電話中の僕の頭に飛び移って来た。ゆっくり手を添えると指に止まったまま逃げようともしない。実はそんな珍事も珍しくないほど、人の手に乗って餌を貰ったという話をよく聞く。2年前にも広島で至近距離から撮影したが、「大阪の野鳥」にこだわって敢えてこの写真を貼った。勿論その気になれば住宅地で縄張りを持つ個体に寄る事も出来たが、人様の庭にカメラを向けるのは気が引けたのでやめた。ジョウビタキやツバメの様に人間のそばで生活する野鳥は、そうする事で捕食者から身を守っているのだと言われる。猛禽類やヘビなどは、人間を警戒して縄張りや巣に寄って来ないという訳だ。また、餌を巡って競合する他の野鳥も寄り付きにくい。何しろ人間ほど無差別に危険な猛獣は居ないからだ。それにしても身近な鳥の代名詞のスズメなどよりも遥かに人間の近くに生息する。しかもジョウビタキはかなり狭い縄張りに固着するし雄はカラフルだから、冬季限定ながら初心者には打って付けの被写体だ。
ところでジョウビタキはスズメ大の小鳥だが、これでも立派な渡り鳥だ。陸上の哺乳類や爬虫類などと比べると鳥類の行動範囲の広さは想像を超えている。この小さな鳥が自分の翼で何千キロも飛んで行き来しているとは信じ難い。冬が近づくと渡って来て単独で縄張りを作り、春が来ると縄張りを解消して北へ渡って行く。その時期にはもう余り人間のそばには寄って来ない様だ。なお、名前や大きさからキビタキなどと同じヒタキ科と勘違いしやすいが、ツグミ科に分類されている。また、雌は地味だから近縁種と見間違いやすい。
シロハラも同じツグミ科の冬鳥だが、ジョウビタキよりもずっと大きい。野鳥など居そうもない道端の土手にふと目をやると、すぐ目の前に馴染みの無い鳥が居た。かなり近い距離だったが、逃げるでもなく地面で餌を探しつつ林の中へ消えた。薄暗いうえに予想外だったのでピント合わせに手間取り、やや前ピンになってしまった。その後姿を見ないので、再会は秋冬までお預けだ。
なぜ渡り鳥はわざわざ長距離を移動するのだろうか。冬鳥は北から渡って来て北へ帰るから暑いのが苦手、夏鳥は南から渡って来て南へ帰るから寒いのが苦手、旅鳥は秋に北から渡って来て南へ渡り、春に南から渡って来て北へ渡るから暑いのも寒いのも苦手なのだろうか。それとも餌の季節変化に合わせているのだろうか。あるいは天敵を避けて止むを得ず移動しているのだろうか。夏鳥が日本で営巣し繁殖するのに対し、冬鳥や旅鳥は海外で繁殖する。人間界の国境を基準に考えると少しややこしいが、早い話が夏場に涼しい地方で繁殖し暖地で冬を越しているだけの事だ。たまたま国境を越えないのが漂鳥という訳だ。ほとんど移動しないのは留鳥だが、スズメでさえ数百キロ移動するらしいから分かってない事は多い。
分類:スズメ目 ツグミ科
全長:25.0cm
翼開長:39.0cm
分布:全国で冬鳥。
生息環境:平地~山地の林など。
食性:幼虫、ミミズ、木の実など。
フォトギャラリー:初登場
シロハラ
Pale Thrush
Turdus pallidus
撮影日:2009年3月29日
撮影時間:11時49分47秒
シャッタースピード:1/800秒
絞り値:F11.2
撮影モード:マニュアル
焦点距離:600mm(換算900mm)
ISO感度:1600
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon ED AF NIKKOR 70-300mm1:4-5.6D
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
Daurian Redstart
Phoenicurus auroreus
分類:スズメ目 ツグミ科
全長:14.0cm
翼開長:22.0cm
分布:全国で冬鳥。
生息環境:住宅地、農耕地、林など。
食性:昆虫、蜘蛛、木の実など。
フォトギャラリー:初登場
ジョウビタキ(雄)
撮影日:2009年1月16日
撮影時間:11時21分48秒
シャッタースピード:1/800秒
絞り値:F11.2
撮影モード:マニュアル
焦点距離:600mm(換算900mm)
ISO感度:1600
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon ED AF NIKKOR 70-300mm1:4-5.6D
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
ジョウビタキ シロハラ
第13回 2009年5月29日