去年暮れに幼鳥を撮影して以来、ずっと狙っていた成鳥の撮影にようやく成功した。成鳥は何度か見掛けていたにもかかわらず、ほとんどの写真がピンボケかアングルが悪くてハイタカとの同定が困難で、今回初めて同定の出来るレベルの写真が切り取れた。体全体を水平に保ち両翼だけを傾けて旋回しているところだ。オオタカの成鳥は体下面が白っぽく、白い眉斑が明瞭だ。この白眉がオオタカの眼光をいっそう鋭く精悍に見せている。実は普段のタカ撮影ポイントではなかったのでオオタカの飛来を想定しておらず、カメラの設定を変えていたので少々慌てた。しかも今回もゆっくりしてくれず、わずか20秒で視界から消えた。どんな状況でも可能性が有る限り想定しておくべきだという当り前の教訓を得た。ここ1ヶ月以上姿を見なかったので心配していたが、健在なのが分かっただけでもひと安心だ。タカ科の撮影はほとんどが飛翔中なので、カメラが仰角になってどうしても逆光になりがちだが、今回はほとんど仰角ではなく順光で薄曇りの条件だったので、オオタカの特徴を明瞭に捉える事が出来た。
日本では古来、このオオタカなどを鷹狩に使って来た。もともとハンティング成功率が高いと言われるオオタカ。若鳥を捕獲し訓練してキジやウサギなどを狩った。それだけ知能が高いという事だろう。勿論現在ではオオタカを捕獲する事も鷹狩に使う事も禁じられており、鷹匠は外国の近似種を輸入している。織田信長が鷹狩を嗜んだ話は有名で、真っ白なタカも愛用していたという。鷹狩をしながら、来たるべき合戦に備えて自国内の地勢を調査していたという説もある。徳川家が鷹狩を行った鷹場には当時の物見塚が残されている。横浜に現存する物見塚に登ってみた事があるが、高さ数メートルの小ぢんまりとした丘で大木が茂り、現在では全く見晴らしが利かない。
分類:タカ目 タカ科
全長:雄50.0cm 雌58.5cm
翼開長:105.0~130.0cm
分布:四国の一部、本州、北海道、九州で繁殖。留鳥。
生息環境:森林。都市植林。
食性:鳥類、両生類、小型哺乳類など。
レッドリスト:
準絶滅危惧(NT)
フォトギャラリー:第1回参照
オオタカ
Northern Goshawk
Accipiter gentilis
撮影日:2009年5月26日
撮影時間:11時35分47秒
シャッタースピード:1/1250秒
絞り値:F11.2
撮影モード:マニュアル
焦点距離:600mm(換算900mm)
ISO感度:1600
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon ED AF NIKKOR 70-300mm1:4-5.6D
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
オオタカ
第12回 2009年5月28日