この二枚は最近見つけた撮影ポイントで撮ったものだ。どちらも小さくて撮りづらい鳥だ。
エナガは2年前にD40購入後すぐに広島で撮影した事がある。全長の半分くらいがの長さだから、実質的にかなり小さい。大阪でも去年暮れから再三姿を見ていたが、小さいうえにすばしこいので、なかなかまともな写真が撮れない。警戒心は薄く数メートルの至近距離まで平気で寄って来るが、チャンスと思ってからシャッターボタンを押すと大抵振り遅れる。ほとんど1秒たりともじっとしていない。
デジカメ専用に設計されたレンズではないせいか、このような撮影条件の時には青い色収差が発生しやすいが、最近Photoshopで補正する裏技を編み出した。イメージ→色調補正→特定色域の選択→ブルー系とマゼンタ系のイエローをプラス側へシフトすれば、現像ソフトがなくても青い色収差だけを簡易補正出来る。RAWデータである必要もない。
ヒガラは日本でも屈指の小さい鳥で、遠目に一見するとシジュウカラに似ているが、のネクタイがなく黒い前掛けのような模様だ。分け入った山の中に居る事が多いらしく、狙って探し出すのは大変だ。この撮影ポイントも鹿を見掛けた事があるほど滅多に人の来ないような丘の頂上付近だ。この撮影時はたまたま採餌して頭上の広葉樹に止まったが、針葉樹のてっぺんでさえずる事が多い。
ところでこのヒガラ、人間の花粉症対策で思わぬとばっちりを受けそうだ。周知の通り花粉症の主要因とされる杉は、戦後大量に植林されたものの林業の衰退により放置され、多量の花粉の発生源となっている。そこで今、東京・大阪近郊の杉伐採などに国から補助金を出す政策が検討されているのだ(撮影日現在)。そうなると一度に大量の杉が伐採される事になるが、前述の様にヒガラは針葉樹を好む習性があるのだ。この辺りの針葉樹の多くが杉だから、もし一度に全部伐採してしまうと、ヒガラの居場所を大幅に狭める事になりかねない。新たに針葉樹を植林しても十分な高さに伸びるまでには数十年かかるから、伐採するなら長い年数をかけて段階的にするべきだと思うのだが、この国のやる事はいつも対症療法的、短絡的だから、そんな事は望むべくも無いだろう。
実はエナガを撮影した頃、のべ6日連続で初対面の野鳥撮影に成功した。1日目オオルリ、2日目キビタキ、3日目ヒガラ、4日目サシバ、5日目ハチクマ、6日目アオゲラだった。こうまで野鳥に出会うと憑かれた様になってしまう。勿論出会った野鳥全てを撮影出来る訳ではなく、半分くらいは撮り損ねたり、声だけ聞こえて姿を見せてくれなかったりする。つまり未確認の野鳥が未だ相当数にのぼるのだ。だからよけいに山歩きがやめられない。
分類:スズメ目 シジュウカラ科
全長:11.0cm
翼開長:17.0cm
分布:九州屋久島以北で留鳥または漂鳥。
生息環境:山地の林など。
食性:昆虫、蜘蛛、種子など。
フォトギャラリー:初登場
ヒガラ
Coal Tit
Periparus ater
撮影日:2009年5月11日
撮影時間:16時14分46秒
シャッタースピード:1/250秒
絞り値:F11.2
撮影モード:マニュアル
焦点距離:600mm(換算900mm)
ISO感度:1600
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon ED AF NIKKOR 70-300mm1:4-5.6D
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:スズメ目 エナガ科
全長:14.0cm
翼開長:16.0cm
分布:九州以北で留鳥または漂鳥。
生息環境:平地~山地の林など。
食性:昆虫、蜘蛛、木の実など。
フォトギャラリー:初登場
エナガ
Long-tailed Tit
Aegithalos caudatus
撮影日:2009年5月1日
撮影時間:13時28分58秒
シャッタースピード:1/1600秒
絞り値:F11.2
撮影モード:マニュアル
焦点距離:600mm(換算900mm)
ISO感度:1600
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon ED AF NIKKOR 70-300mm1:4-5.6D
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
エナガ ヒガラ
第8回 2009年5月16日