つい1週間前にサシバが飛来して驚いたばかりなのに、今度は準絶滅危惧ハチクマの登場だ。大阪の上空はどうなっているのだ。しかもサシバの時と同じ時刻だ。音もなく背後の死角に飛来したが目の前の地面を大きな影が横切り、振り返りざま見上げると上空を滑翔していた。強烈な逆光であり、もともと黒っぽい個体なのでディテールがはっきりしないが、首の長さや翼・尾の横斑などにハチクマの特徴が見て取れる。この写真では分からないが、初列風切の長い羽根は6枚だ。
ハチクマはその名が表すとおり蜂を好んで捕食する。地中の巣を探し出して掘り起こし巣ごと持って行くが、なぜか蜂に刺される事は無いという。実は某方面にハチクマ情報があったので、いずれは遠出したいと思っていたのだが、まさかこのポイントで、しかもこんなに早く出会えるとは思わなかった。
それにしても、である。「警報慣れ」という言葉があるが、こうもレッドリストに名を連ねる希少種のタカが縦横に飛び回ると、「希少慣れ」してしまいそうだ。しかも特定の種ではなく多種多様なタカの飛来は特筆すべきだろう。何せここ半年で、サシバ(絶滅危惧Ⅱ類)、オオタカ(準絶滅危惧)、ハチクマ(準絶滅危惧)、ハイタカ(準絶滅危惧)、ノスリ、トビを撮影したのだから(ハイタカは同定に自信が無いが)。
ところでオオタカのように音に敏感な鳥は、騒音を警戒して営巣に失敗したり巣を放棄したりする事があるらしい。オオタカの営巣時期は年度末の道路工事シーズンに重なるので、以前程ではないとは言え工事の騒音とオオタカの営巣失敗との因果関係は、日本のどこかで間違いなく有るはずだ。肉食獣は何者をも恐れないというイメージから警戒心が薄いと思われがちだが、決してそんな事はない。また、カラスからモビングという疑似攻撃を受けると逃げてしまう事が多い。「能ある鷹は爪を隠す」という諺は、この様なタカの振舞いから来ているのかも知れない。ただ、ハチクマは気性が激しいらしい。
この日は他にもコシアカツバメ、コサメビタキなどを撮影したので、この半年で「大阪の野鳥」は40種に達した。このところ山歩き5回連続で新顔を撮影しており、歩いていて楽しい。
分類:タカ目 タカ科
全長:雄57.0cm 雌61.0cm
翼開長:121~135cm
分布:北海道~九州で夏鳥。
生息環境:山地の森林。
食性:蜂などの昆虫、爬虫類、両生類、鳥類。
レッドリスト:
準絶滅危惧(NT)
フォトギャラリー:初登場
ハチクマ
Honey Buzzard
Pernis ptilorhynchus
撮影日:2009年5月9日
撮影時間:13時45分00秒
シャッタースピード:1/2000秒
絞り値:F11.2
撮影モード:マニュアル
焦点距離:600mm(換算900mm)
ISO感度:1600
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon ED AF NIKKOR 70-300mm1:4-5.6D
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
ハチクマ
第7回 2009年5月11日