ルリビタキは人気が仇になっている。ここは去年12月にルリビタキ撮影隊による餌付け作戦が遂行されていた現場の近くだ(フォトギャラリー第212回参照)。その後ルリビタキの姿が見えなくなっていたので何か食べ慣れない物でも食べ過ぎて体調を崩し最悪の場合もう既にこの世には居ないのではないかと心配していた。それだけにその元気な姿を認めた時は嬉しかった。もちろん全く別個体の可能性も有る。しかしこの人慣れした不自然な感じはまさしく例の個体だと確信した。撮れた写真も如何にも取って付けた様な整い過ぎた物になってしまった。テレビ番組などで野生動物の記録映像を観る機会は多いが、いつも思うのは「そんなに都合良くカメラの前に獲物が飛び出し、そこに都合良く主人公が登場して狩りなどしたりする訳が無い」という事だ。実際の自然界に日常的に接していると、そういう出来過ぎた映像には全てとは言わないが何かしら裏が有ると感じざるを得ない。常々言っている様に僕は餌に寄って来る様な鳥は好きにはなれない。だからもちろん僕は餌付けなどしないが、じっと座っていると彼(ルリビタキ)は明らかにそれを期待するかの様にアカメガシワの実を食べたりなどしつつ徐々に間合いを詰めて来て、とうとう約2mの超至近距離まで寄って来た。「早く餌ちょうだいよ」と督促せんばかりの表情だがこんな近くでポーズを取ってくれるならシャッターを切らない訳には行かない。余りにも警戒心希薄なので彼の今後の為に少し脅かして人間の怖さを認識させておいた方がいいかなと思った程だ。だが少なくとも誰でも餌をくれる訳ではないとは学習してくれただろう。アップで見ると眼(虹彩)も僅かに青味を帯びている様に見えるが気のせいだろうか。ちょっとメタボな様に見えなくもないが実に凛々しい男前の雄だ(寒い日だったから羽毛を膨らませているだけだろう)。しかしこんなコラムを載せるとまた餌付けを助長し撮影隊に情報を与える事にもなるので敢えて日にちを空けて掲載することにした。因みにお気付きの人もおられると思うが僕は僕なりに野鳥や周辺に与える影響を考慮し大勢のカメラマンが集まっても問題無いと判断出来る場合や既にネット上などで公開済みで広く知れ渡っている場合などを除き基本的に撮影地の詳細を公表する事は無い。過去ログの断片的な情報を繋ぎ合せて行けば有る程度類推する事は可能かも知れないが、そこまで手間を掛ける人は僕のコラムを読むまでもなく多分自分でも努力している人だろうし、そうであって欲しい。
分類:スズメ目 ヒタキ科
全長:14.0cm
翼開長:22.0cm
分布:全国で漂鳥。
生息環境:平地~山地の林など。
食性:昆虫、木の実など。
フォトギャラリー:
第171回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
ルリビタキ(雄)
Red-flanked Bluetail
Tarsiger cyanurus
撮影日:2016年2月10日
撮影時間:13時34分00秒
シャッタースピード:1/80秒
絞り値:F5.6
撮影モード:プログラムAE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
ルリビタキ
第219回 2016年3月10日