毎年同じ木で営巣して楽しませてくれるフクロウ、今年もお邪魔して早朝から撮影に臨んだ。実はこの前日も夜明け前から見に行ったが姿は確認出来ず、すっかり朝型人間の生活リズムになっていたので早起きして連日の観察となった。この日もなかなか姿が見えず今日も駄目かなぁと思った矢先、下の方でカラス(ハシボソガラスと思われる)が数羽騒ぎ出して暗がりに何か白っぽいものが羽ばたくのがぼんやりと見えた。上ばかり見上げていたが気付かぬうちに死角に止まっていたらしい。その白っぽいものは一度低い枝に止まったあと追い立てられる様に高い枝に飛び移りカラスを見下ろしたあと巣に飛び込んで難を逃れた。白っぽいものは勿論フクロウで、その一瞬の顛末を捉えた。1枚目は画面向かって左上の巣の方向を見上げている横顔で今まさに飛ぼうとしているところ、2枚目は巣に戻る際の飛び出しの瞬間だ。フォトギャラリー始まって以来の超高感度撮影でシャッタースピードを稼ぎ被写体ブレを抑えて何とか見られる画(?)になった。空は明るく写っているがこの時間はまだ星が見えるほど暗い。フクロウが巣に入ったと分かるとカラスたちはあっさり解散して飛び去った。カラスはよくタカ科などの猛禽類に集団でモビング(擬似攻撃)を加えるが恐らくそれは自分たちを防御するためのハッタリであり、フクロウなど体格の近い猛禽は成鳥であれば多勢に無勢でも何とか対抗出来るだろう。しかしこことは別の場所だがダイイングメッセージを残してアオバズクが落鳥しているのが発見された事が有るそうだ。と言うのもカラスの羽をくわえたままだったのでどうやらカラスにやられたらしい事が分かったと言う。アオバズクは小さいのでカラスに対抗出来なかった様だ。こうなるとあながち擬似攻撃とも言えない。もちろんそれも自然の摂理でありカラスも生き残る為に必死だから責める事は出来ない。
なお去年までキャプションを種名である「フクロウ」と表記していたが現地では亜種キュウシュウフクロウと説明されている事から今回はそれに従い亜種名で表記した。キャプションに書いた通りキュウシュウフクロウは主に本州中南西部、四国、九州などに分布するとされるが各亜種の分布域は明確ではない。
ところで以前コミミズクのコラムでフクロウ科の特徴として「羽音を立てずに飛べる」とか「耳は左右非対称の位置に有り、闇の中でも音源の位置を立体的に把握出来る構造になっている」とか記載したが(フォトギャラリー第56回第167回参照)調べた限りこれはフクロウなど一部の種に特有の特徴であってフクロウ科全てに共通の特徴ではない様だ。

アオバズク:フォトギャラリー第240回他参照
ハシボソガラス:類似種の識別ハシブトガラスとハシボソガラス参照
分類:フクロウ目 フクロウ科
全長:50.0cm
翼開長:93.5~102.0cm
分布:九州以北(主に本州中南西部、四国、九州など)で留鳥。
生息環境:平地~山地の林など。
食性:ネズミ、鳥類、両生類、爬虫類、昆虫など。
フォトギャラリー:第227回他参照
撮影難易度:★★★★☆
キュウシュウフクロウ(成鳥)
Ural Owl
Strix uralensis fuscescens
撮影日:2017年4月29日
撮影時間:05時05分00秒
シャッタースピード:1/160秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:260mm(換算390mm)
ISO感度:12800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
撮影日:2017年4月29日
撮影時間:05時05分00秒
シャッタースピード:1/160秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:260mm(換算390mm)
ISO感度:12800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
キュウシュウフクロウ
第291回 2017年5月7日