余録;キビタキ幼鳥(?)
朝っぱらからまた得体の知れないものを撮ってしまった。これがその問題の画像だ。タイトル無しでこの画像を見てキビタキと即答出来る人はかなりの上級者だろう。自宅近くで朝一発目いきなりの撮影だった。見た瞬間も何だかピンと来なかったし撮れた画を見ても「ハテナ?」としかならなかった。黄色味が強い印象で見慣れた野鳥ではないと感じた。記憶の引出しを探ってみるが出て来ない。「もしや珍鳥では?」とワクワクしながら帰宅後図鑑をめくったがやはり出て来ない。何かの幼鳥(※1)らしいと思いネット検索してみるがなかなかそれらしい画像にヒットしない。散々考えてようやく顔つきがオオルリっぽいと気付いた。オオルリの幼鳥かとも考えたがそうなるとキビタキの可能性も出て来る。しかしオオルリやキビタキの幼鳥は過去にもいろいろ見て来たがこんな感じではなかった。いずれにせよどうやら斑紋状の幼羽が抜けた若鳥らしいというところに落ち着いた。何年も野鳥ファンをやっていて未だにこんなところで悩む自分が歯痒い。最終的にキビタキ第1回夏羽(※2)の可能性が高いとのプロの助言が決め手となった。雄ならば一部に幼羽を残している程度で眉斑からなどが黄色くなっているはずなのでこの羽色ならば雌だろう。フォトギャラリー第182回に掲載している若鳥が雄の第1回夏羽と思われる。今年生まれの幼鳥ならこの時季キビタキやオオルリの幼鳥には斑紋状の幼羽が残っている場合が多い。今回の個体にはそういう幼羽が見当たらず全体に黄色味が強く見えた事が僕を惑わせた。下記余録は去年8月に撮ったキビタキの幼鳥と思われる画像だがこの個体には斑紋状の幼羽が残っている。つまりこの年生まれと思われる。
今回は本編、余録ともいずれも確定的な事が言えない画像だが野外観察している限りどんな場合でも(99.999・・・%確実だとしても)所詮100%という事が無いのが野鳥の世界だから、そこは割り切って考えるしかない。

(※1)幼鳥:特に定義は無いが一般に羽毛が生え揃ってから最初の換羽までの個体を幼羽幼鳥などという。成鳥羽に変わるまでの若い個体をまとめて幼鳥あるいは若鳥などと呼ぶ場合もある。
(※2)第1回夏羽:生まれた年に最初の換羽をしたものが第1回冬羽、生まれた翌年の夏季に換羽したものが第1回夏羽(夏羽への換羽が無い種もある)、その冬が第2回冬羽(この段階で成鳥羽になる種もある)、種によっては成鳥羽になるまで3年目以降に第2回夏羽、第3回冬羽、第3回夏羽などと続く。

オオルリ:フォトギャラリー第304回他参照
類似種の識別:オオルリ(雌)とキビタキ(雌)参照
初歩のバードウォッチング:色彩・斑紋参照
分類:スズメ目 ヒタキ科
全長:14.0cm
翼開長:22.0cm
分布:九州以北で夏鳥。
生息環境:平地~山地の林など。
食性:昆虫、蜘蛛、木の実など。
フォトギャラリー:第289回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
キビタキ(雌若鳥)
Narcissus Flycatcher
Ficedula narcissina
撮影日:2017年7月13日
撮影時間:07時56分25秒
シャッタースピード:1/250秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
キビタキ キビタキ幼鳥
第306回 2017年7月21日