余録;
ヤブサメの羽繕い
笹藪の中にヤブサメの姿が有ったがこういうシチュエーションではAFはマトモに働かないと思っておいた方が良い。メーカーの企業努力により廉価版のカメラとレンズにおいてもAF性能は昔とは比較にならないほど向上したとは言え万能ではない。特にこういうシーンは苦手としている。それは分かっていたので早い段階でMFに切り替えて撮影した。もちろんMFにしたとてヤブサメはその名の通りこういう藪の中を好み、しかもちょこまかと動き回るので撮影は簡単ではない。餌付けなどで藪の中からおびき出せば楽だろうけどそれじゃ作為的な画になってしまいこういう画にはならない。藪の中の野鳥を藪の中に在るがまま撮ってこそ本来の生態を捉えた姿になる。特に珍しい野鳥ではないので撮影難易度も星3個にしているがベテランのカメラマンでも野鳥を撮り慣れない人には撮影が難しい被写体だろう。だからこそ野鳥ファンの腕の見せ所であり地味な外見ながら撮れると嬉しい僕好みの野鳥だ(ちょっとブレ気味だけど・・・)。因みに望遠レンズを通して見ると肉眼で見るよりも手前に被る草などがぼやけて被写体が見やすい場合も有る。こういうのが撮れる様になるとバードウォッチングがいよいよやめられなくなるから初心者の人にも是非挑戦してみて欲しい。別カットではせっせと羽繕いしていた(下記余録参照)。ヤブサメがこういう藪の中が好きでリラックスしていた証拠だ。
ところで以前にも触れたがヤブサメの声は人間の聴力の限界ぎりぎりの高音で約8000~10000Hzとされ、ちょうど聴力検査の周波数(8000Hz)と同じくらいだ(フォトギャラリー第193回参照)。つまり野鳥ファンはヤブサメに聴力検査してもらっている様なものだ。しかし加齢とともにいつか僕もその声を聴く事が出来なくなる日が来るのだろうと思うと寂しい様な気がする。周波数を下げて再生する補聴器を開発してくれればけっこう人気商品になるのではないかと思ったりする。そういう補聴器を使えばヤブサメの声も聞こえやすくなるし誰も気付かないほど高音でさえずる野鳥の声を新発見出来るかも知れないなどと夢は勝手に膨らむ。

初歩のバードウォッチング:撮影参照
分類:スズメ目 ウグイス科
全長:11.0cm
翼開長:15.0cm
分布:九州屋久島以北で夏鳥。
生息環境:下草などの茂る林。
食性:昆虫、蜘蛛など。
フォトギャラリー:第314回他参照
撮影難易度:★★★☆☆
ヤブサメ
Asian Stubtail
Urosphena squameiceps
撮影日:2019年4月23日
撮影時間:06時56分23秒
シャッタースピード:1/40秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
ヤブサメ ヤブサメの羽繕い
第464回 2019年5月3日