堺市の百舌鳥古墳群は羽曳野市と藤井寺市にまたがる古市古墳群と共に世界文化遺産に登録が決まったがこれらはそのほんの一部。1500年という途方もない悠久の時の流れを感じる事が出来たが百舌鳥古墳群だけで44基も有り半日程度でその全てを網羅する事は出来なかった。
ところで水を差す様だが世界遺産についての私見を述べておきたい。ひとたび世界遺産に登録されるとそこが事実上観光地化してしまう事を覚悟しなければならない。その功罪を考えると登録は安易に喜ぶべき事ではないのかも知れない。世界遺産に登録されるか否かに関わらずこれらの古墳群の歴史的文化的価値は不変のものであるはずだ。ユネスコがその価値を認めると言うのなら国際的な知名度も上がるだろうしそれを否定するつもりは無いがマナーの悪い観光客が増えるだけという結果を招く恐れもある。今回周辺を散策してみて観光客を誘致してメリットの有る様な立地だとは思えなかったので賛否は有ると思うが飽くまで個人的な意見として敢えて警鐘を鳴らしておきたい。
銅亀山古墳
久保山古墳
反正天皇陵
大仙陵古墳(仁徳天皇陵)
世界最大の面積を誇る墳墓。
世界文化遺産(以下同じ)
撮影地風景;百舌鳥古墳群
余録;始祖鳥の化石(レプリカ)
出水市ツル観察センターにて撮影
図;カケスの羽
野鳥の羽は定期的に抜け換わるので時々地面にいろんな鳥の羽が落ちている。
実はこの日はバードウォッチングが目的ではなく堺市に用事が有って出掛けたついでにこの数日前に世界文化遺産に登録が決まったばかりの百舌鳥・古市古墳群を見学しに行ったのだった。用事はずっと前から予定していたから世界遺産とは関係無くここに来るつもりだった。その更についでに探鳥した結果が仁徳天皇陵の外堀に居たカルガモとアオサギだった訳だ。このカルガモが羽繕いしながら見せてくれている羽をよく見ると羽軸に対して左右非対称なのが分かる。飛翔力の有る鳥の風切羽は非対称になっていて外弁が細く内弁が広くなっている(下図参照)。ダチョウなどの無飛力種は左右対称になっているという。左右対称だと空気抵抗を受けた時に羽がバタついてしまうためほとんど飛べないとされる。始祖鳥(アーケオプテリクスなど)は化石で非対称なのが分かっていて飛力が有ったと推定される空気力学的な根拠となっている(下記余録参照)。
仁徳天皇陵の全長2850mに及ぶ外周を歩いていると野鳥を狙っているカメラマンの姿も有った。特にお勧めの野鳥撮影スポットという訳ではないしもちろん敷地の中には入れないからもし野鳥を狙うとしても外周から外堀にカメラを向ける程度の事しか出来ない。いかにもカワセミなどの居そうな環境ではあったがそこに時間を割く余裕は無かったので今回のところはアオサギで良しとした。因みに「百舌鳥(もず)」の名は付いているがモズの姿は見つからなかった。

カワセミ:フォトギャラリー第477回他参照
モズ:フォトギャラリー第463回他参照
分類:ペリカン目 サギ科
全長:93.0cm
翼開長:160.5cm
分布:全国で留鳥または漂鳥。
生息環境:海岸、湖沼、河川、水田など。
食性:魚類、両生類、爬虫類など。
フォトギャラリー:第463回他参照
撮影難易度:★☆☆☆☆
アオサギ
Grey Heron
Ardea cinerea
撮影日:2019年7月8日
撮影時間:13時07分00秒
シャッタースピード:1/640秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:カモ目 カモ科
全長:61.0cm
翼開長:91.0cm
分布:全国で留鳥または漂鳥。
生息環境:海、湖、池、河川、水田など。
食性:草、種子、昆虫、貝など。
フォトギャラリー:第312回他参照
撮影難易度:★☆☆☆☆
カルガモ
Eastern Spot-billed Duck
Anas zonorhyncha
撮影日:2019年7月8日
撮影時間:13時02分17秒
シャッタースピード:1/1600秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
カルガモ アオサギ カケスの羽 始祖鳥の化石 百舌鳥古墳群
第482回 2019年7月17日