今回の主役はアカガシラサギだ。なにしろ以前は日本で数例しか記録された事が無かったほど渡来数が少なかったとされる。近年は沖縄などで増加傾向にあるとされるが、米子水鳥公園で観察されたのは10年ぶりだそうで、とりわけ夏羽は珍しいとの事だ。しかも突如飛んで来て干潟に降り立ったのは一瞬で、すぐに飛び去ってしまった。現れてから見えなくなるまで何とわずか30秒。16枚しか撮影出来ず全てピンボケか手ブレ。実は着陸した瞬間、三脚の足が縮んでしまってカメラを固定出来ず、撮影に失敗するという痛恨のミスを犯した。悔しさの余り急遽一泊して翌日も訪れた程だったが、案の定、二度と姿を見せてくれずシャッターチャンスは来なかった。野鳥の行動半径は広いから一度見失うとなかなか見つかるものではない。日暮れ近くまで周辺の農耕地を歩き回って探したが無駄骨だった。それでも束の間とは言えこの目でその美しい姿を見られたのは幸運だった。
セイタカシギの雌は去年の夏に大阪でも観察したが、今回は雄と思われる。足は長いだけではなく鉛筆ほどの細さしかないそうで、いっそう華奢に見える。この公園は観察所の近くに浅瀬を作ってあり、野鳥が集まりやすい工夫がされている。この個体も一日中観察所の目の前で採餌してくれたので、近距離から存分に観察させてもらえた。しかしこの日の夕方に突如飛来したオオタカに驚いて飛び去り、二日目には遂に姿を見る事は出来なかった。
この公園の外縁部にある並木にはコムクドリの数羽の群れがいた。さほど珍しい鳥ではないはずなのに初めて見た。黒いムクドリのイメージと比べると結構カラフルだ。僕はどういう訳か珍しい野鳥と巡り会う事は多いのに、普通の野鳥とはなかなか出会えない。もう少し撮影ポイントのバリエーションを増やした方が良いかも知れない。
分類:スズメ目 ムクドリ科
全長:19.0cm
翼開長:32.0cm
分布:中部地方以北で夏鳥、それ以南で旅鳥。
生息環境:平地~山地の林。
食性:昆虫、木の実など。
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★☆☆
コムクドリ(雄)
Chestnut-cheeked Starling
Agropsar philippensis
撮影日:2011年5月3日
撮影時間:08時53分57秒
シャッタースピード:1/40秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:400
撮影地:鳥取県
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:チドリ目 セイタカシギ科
全長:37.0cm
翼開長:67.0~83.0cm
分布:全国で旅鳥。局地的に留鳥。
生息環境:干潟、河川、水田など。
食性:魚類、甲殻類、昆虫など。
レッドリスト
絶滅危惧Ⅱ類(VU)
フォトギャラリー:第52回参照
撮影難易度:★★★★☆
セイタカシギ(雄)
Black-winged Stilt
Himantopus himantopus
撮影日:2011年5月2日
撮影時間:13時38分19秒
シャッタースピード:1/100秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:200
撮影地:鳥取県
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:コウノトリ目 サギ科
全長:45.0cm
翼開長:75.0~90.0cm
分布:全国で稀な冬鳥または旅鳥。
生息環境:干潟、水田、河川など。
食性:魚類、甲殻類、昆虫など。
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★★★
アカガシラサギ(成鳥・夏羽)
Chinese Pond Heron
Ardeola bacchus
撮影日:2011年5月2日
撮影時間:16時08分57秒
シャッタースピード:1/80秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:200
撮影地:鳥取県
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
アカガシラサギ セイタカシギ コムクドリ
第62回 2011年5月11日