余録;シナガチョウ
1950年代頃までは定期的な渡来地に数百羽単位で飛来していたというサカツラガン。現在では迷鳥並みに渡来数が少なくなり、レッドリストでは情報不足に分類されるまでになってしまった。一生会えないかも知れないと思っていた鳥だが、幸運にも「湖北野鳥センター」にて撮影する事が出来た。日本のガン類の中で最大種だ。
実はサカツラガン飛来情報は事前にネットで入手していたので、出会いの感動もそれほどではなかった。もちろん嬉しいが、偶然出会った時の劇的な感動には及ばない。ライファーとの初めての出会いを偶然の出会いの感動の為に取っておきたいという気持ちと、折角のチャンスだからとりあえず会っておきたいという気持ちの間で揺れ動いた。しかしこのチャンスを逃したら、それこそ本当に一生会えないかも知れない。多少の葛藤は有ったが二日間の日程で、ともかく行ってみる事にした。とは言うものの初日はセンターの休館日で、湖岸の道路から一人で探したものの見当たらず、翌日もセンター開館前の早朝から探したが見つからず、半ば諦めつつ開館後にセンターで所在を尋ねてようやく発見出来たから、それなりの感動は有った。この個体は嘴の根元の羽毛が白い事から雄と思われる。
サカツラガンは中国の家禽シナガチョウの原種とされる。シナガチョウは琵琶湖周辺の公園などでも飼われているが嘴基部に大きなコブが有り、サカツラガンとは大きく外見が異なる。それ以前に、飼鳥には野生の緊張感や覇気、俊敏さが無いから野鳥とは雰囲気が全く違う。知人から「そんなに鳥が好きなら飼えばいいじゃないか」と言われる事が有るが、籠の中の鳥には全く興味が湧かない。餌に寄って来る様な鳥もあまり好きにはなれない。自然界で命を懸けてたくましく生きている野鳥にこそ魅力を感じるのだ。そして僕はそんな野鳥たちとの運命的な出会いを夢見て日々空を見上げている。
分類:カモ目 カモ科
全長:87.0cm
翼開長:153.0cm
分布:主に西日本で極めて稀な冬鳥または旅鳥。
生息環境:湖沼、河川、湿地など。
食性:植物の茎、葉、根、種子など。
レッドリスト:
情報不足(DD)
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★★☆
サカツラガン
Swan Goose
Anser cygnoides
撮影日:2013年10月23日
撮影時間:09時03分05秒
シャッタースピード:1/200秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:滋賀県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
サカツラガン シナガチョウ
第122回 2013年11月6日