2013年のフォトギャラリー新年は正月らしくツルで迎える事となった。去年の暮れ、4泊5日の日程で九州新幹線に乗り鹿児島県の出水市へツルを観に行って来た。初めての試みで不安と期待の入り混じる中、方位すら頭に入ってない僕は、1日目は無難に周遊バスで「ツル観察センター」に向かう事にした。田園風景の真っ只中を走るバスの車窓から、早くもナベヅルの一家が見えて来る。更に進み干拓地に出ると大きな群れが宙を舞っている。出水駅から30分ほど走って「ツル観察センター」に到着すると、正面には目を疑う様な1万羽を超える大群がひしめいていた。ナベヅルが全体の8割を占め、次いでマナヅルが2割、ナベヅルは世界の個体の約8割がここに集結しているとの事だった。端が見えないほど広大な水田の一角がツル休遊地として囲われているが、一番手前の個体との距離は近い。屋上に上がると、手を伸ばせば届きそうな間近を時々数羽の群れが飛翔する。ツルは家族単位で行動するが、1度に2個までしか卵を産まないので4羽を超える家族になる事は無い。
2日目も周遊バスを利用し3日目には道を覚えたので駅でレンタサイクルを借りて自力で「東干拓地」などを走り回ってみた。途中雨に祟られてずぶ濡れになりながらも干拓地の真ん中をツルに囲まれて走る爽快感を楽しんだ。ツル休遊地は特別天然記念物に指定されておりネットで囲われて立入禁止だが、鹿児島県ツル保護会と思しき人に通行可能な範囲を確認して、あまり観光客の行かないエリアまでゆっくりと走ってみた。道路脇近くにたむろしている個体は警戒心が弱いと見えて、10メートルほどの至近距離を通っても、驚かさない様にゆっくり走れば飛んで逃げる様な事は無かった。しかも僕とツルとの間には遮る物が何も無い。さすがに警戒の眼で周囲を取り囲む数千のツルがこちらを見ている。圧倒的なアウェー感を肌で感じた。
江戸時代からツルの保護活動と餌付が連綿と続けられて来たからだろう。ツルの人間に対する警戒心が思ったより弱く、距離感が近いと感じた。しかしそうは言っても相手は野鳥だ。不用意にテリトリーを犯すと警戒される。何かの拍子に1羽が飛び立つと、つられて1万羽が地鳴りの様な羽音と共に飛び立つ事になる。
ナベヅルは鍋の底の様に翼が黒い事からそう名付けられたという。マナヅルはこの写真では分かりにくいが光線の加減によっては光沢の有る翼のグラデーションが美しい。真のツルという意味だとか。他の地域では極めて稀だが、ここには毎冬必ずと言って良いほど集結するので、撮影難易度はどちらも星3個とした。なおツルは千年と言うが、勿論実際にはそんなに長生きする訳ではなく、自然界での寿命は精々2~30年だという。
分類:ツル目 ツル科
全長:120.0~153.0cm
翼開長:200.0~210.0cm
分布:主に鹿児島県で冬鳥。
生息環境:農耕地、湿地、河川など。
食性:穀類、種子、昆虫、魚類、貝類など。
レッドリスト:
絶滅危惧Ⅱ類(VU)
指定:
特別天然記念物(八代のツルおよびその渡来地・鹿児島県のツルおよびその渡来地)
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★☆☆
マナヅル
White-naped Crane
Grus vipio
撮影日:2012年12月29日
撮影時間:10時21分41秒
シャッタースピード:1/200秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:200
撮影地:鹿児島県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:ツル目 ツル科
全長:91.0~100.0cm
翼開長:160.0~180.0cm
分布:主に鹿児島県で冬鳥。
生息環境:農耕地、湿地、河川など。
食性:穀類、水生植物、種子、昆虫、魚類、両生類など。
レッドリスト
絶滅危惧Ⅱ類(VU)
指定:
特別天然記念物(八代のツルおよびその渡来地・鹿児島県のツルおよびその渡来地)
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★☆☆
ナベヅル
Hooded Crane
Grus monacha
撮影日:2012年12月29日
撮影時間:12時08分40秒
シャッタースピード:1/200秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:200
撮影地:鹿児島県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
ナベヅル マナヅル
第98回 2013年1月4日