余録;オスグロトモエ
ミミズクに擬態していると思われる蛾。
フォトギャラリーではコミミズク以来のフクロウ科だ。
この数日前、別の場所で出会った年配の人からこの情報を貰ってその足で行ってみた。ネット上では有名なアオバズクのケヤキの木らしく遠く名古屋や広島などから撮影に来る人もいるらしいのだが、ネットで検索しても感動が薄いので、僕はあまりネット情報は収集しない。だから初耳だった。大体の場所を聞いて移動したものの見当違いな方向へ向っていた。たまたまガソリンスタンドでケヤキの場所を聞いたら意外に近い所だった。ケヤキはすぐに見つかったが社寺林としては全国で2位というほど余りにも巨木なためアオバズクは探しても簡単には見つからない。地元のお百姓さんが親切に声を掛けてくれて、居場所を懇切丁寧に教えてくれた。高さ5メートル程の枝が定位置で、フクロウ科としては小型だが300ミリのレンズでも充分な近さだ。一般のハイカーの団体さんも珍しそうに見上げていた。一般人の注目を集めるとは中々の大物ぶりだ。少なくとも3人の人と出会わなければアオバズクとの出会いも無かったに違いない。こういう口コミ情報や地道な探索、偶然の出会いで野鳥が撮影出来た時は感動が有る。それから数回通って撮れた中の1枚がこの写真。雌雄不明だが、この木に巣が有って、こうして巣を見張っているのだという。フクロウ科は夜行性ゆえ昼間はじっと動かないので、何も情報の無い状態で見つけ出すのは至難の技だが、見つけてしまえば枝さえ被ってなければ撮影は易しい。幸い大きな目を見開いていた。他にもう1羽親鳥の姿が有った。雌が巣を離れ枝に止まっているという事は既に雛が大きくなっていて温める必要が無いからだとか。間もなく雛の巣立ちだろうとの事で、実際14日から相次いで4羽が巣立った。
なお、以前コミミズクのコメントでフクロウ科は「首が真後ろなどに180度動かせる」と記述したのは正確ではなかった。もっと動かせて、360度つまり1周回せるほど自由度が高い。また、フクロウ科の足指は獲物を掴み易い様に前2本後2本の対趾足で、鋭利な爪が付いている。嘴よりも爪が強力な武器で、安易に巣に近付くと人間の目や耳を攻撃し大怪我を負わせる事が有るそうだ。小型でも危険な猛禽類には違いない。

コミミズク:フォトギャラリー第56回参照
分類:フクロウ目 フクロウ科
全長:29.0cm
翼開長:66.0~76.5cm
分布:九州以北で夏鳥。
生息環境:平地~山地の林など。
食性:昆虫、鳥類、コウモリ、両生類など。
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★★☆
アオバズク
Brown Hawk-Owl
Ninox scutulata
撮影日:2012年7月13日
撮影時間:10時16分30秒
シャッタースピード:1/320秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:640
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
アオバズク オスグロトモエ
第87回 2012年8月7日