4年前には5月20日に撮影しているフクロウの巣立ち雛、そろそろ巣立ちの頃だったなぁと思い立ちケヤキのフクロウを見に行った(フォトギャラリー第145回参照)。朝5時半に行ったら一番乗りかと思いきや既に数十人のカメラマンがずらりと並んでいた。たまたまこの日に雛1羽が巣から出たそうだ。高い枝に止まって例の如くどこから見ても枝被りだったが事件は突然起きた。親鳥の目を盗んで接近したカラスにモビングされ驚いて地面に落ちてしまったのだ。まだまともに飛べないから自力で戻る事も出来ず茫然と立ちすくんで「どどどどうしよう・・・」という眼差しで見つめられた(2枚目)。見かねた誰かが抱えてケヤキの根元に戻してあげた(3枚目)。でなければ命を落としていたかも知れない。聞けば毎年の事らしい(落ちているのは別の雛だが)。自然界で起きた事は全て自然の摂理だから干渉すべきではないという意見(僕もその一人だが)と助けられるものは助ければ良いという意見との狭間で葛藤が無いと言えば嘘になる。雛が最初カラスにモビングされた時は親鳥がすっ飛んで来たが人間が接近しても親鳥の姿は無かった。どこかから見ているはずだがこの辺りの人間は無害だと認識しているのだろうか?それとも親鳥にも人間に助けられた覚えが有るのだろうか?最後の画像は別の雛が「きょうだいは大丈夫かなぁ?」と言わんばかりに巣から顔を出したところで「出るべきか出ざるべきか・・・」と逡巡している様に見えた。通常雛の巣立ちは夜間のはずだが今にも出て来そうな雰囲気を醸し出していた。このケヤキは最近ヤドリギを撤去したお陰か葉が元気に生い茂りフクロウが見辛くなった様に感じるがフクロウにとってはカラスなどから身を隠すには好都合という事になる。
フクロウを見に行った3日前、珍鳥三昧の遠征から戻って地元の探鳥に戻ったばかりの僕は田圃の真中でセグロセキレイの幼鳥を見つけた。珍鳥を追っ掛けるばかりがバードウォッチングではない。僕は身近な野鳥をどれだけ分かっているのだろうか。そこを疎かにして何が珍鳥かと思う。普通種有っての珍鳥だろう。セグロセキレイは日本固有種とされるが近年近隣国でも観察されているらしい。それはともかく世界的に見れば極東の異国へ行かなければ見られない珍鳥という事になる。そのセグロセキレイの幼鳥はハクセキレイの幼鳥と識別が意外に難しい。この画像を見て即座に識別出来る人が一体どれだけ居るだろうか?ハクセキレイの幼鳥は眉斑がはっきりしていて耳羽も白い(フォトギャラリー第245回参照)。図鑑によればセグロセキレイの幼鳥には眉斑が無く耳羽も白くないとされる。この個体には薄く眉斑らしきものが見え同定に悩んだがハクセキレイの眉斑ほどはっきりしない事と大雨覆の白色部が大きい事に加え横に成鳥が居た事も手伝ってセグロセキレイの幼鳥と判断した。
ようやくコシアカツバメの姿が見られる様になって来た5月下旬、巣材と思われる田圃の泥を集める姿が有った。時季的にはこれからいくらでも撮影するチャンスが有るはずだがこういうシーンは期間限定だろう。
なおどうでもいい話だが今回のセグロセキレイの掲載は2010年4月22日以来2987日ぶりとなり「最も間の空いたフォトギャラリー掲載」記録をまた更新した。これまでの記録はカワウの2981日だった(フォトギャラリー第367回参照)。

類似種の識別:セグロセキレイとハクセキレイ参照
動画ギャラリー:フクロウ参照
分類:スズメ目 ツバメ科
全長:19.0cm
翼開長:32.0cm
分布:九州以北で夏鳥。一部越冬。
生息環境:住宅地、農耕地、海岸など。
食性:昆虫。
フォトギャラリー:第315回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
コシアカツバメ
Red-rumped Swallow
Hirundo daurica
撮影日:2018年5月22日
撮影時間:10時13分52秒
シャッタースピード:1/4000秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:京都府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
撮影日:2018年5月22日
撮影時間:10時13分37秒
シャッタースピード:1/4000秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:京都府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:スズメ目 セキレイ科
全長:21.0cm
翼開長:30.0cm
分布:九州以北で留鳥または漂鳥。日本固有種。
生息環境:平地~山地の河川、農地など。
食性:昆虫など。
フォトギャラリー:第45回参照
撮影難易度:★☆☆☆☆
セグロセキレイ(幼鳥と思われる)
Japanese Wagtail
Motacilla grandis
撮影日:2018年5月17日
撮影時間:08時53分04秒
シャッタースピード:1/1250秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:フクロウ目 フクロウ科
全長:50.0cm
翼開長:93.5~102.0cm
分布:九州以北で留鳥。
生息環境:平地~山地の林など。
食性:ネズミ、鳥類、両生類、爬虫類、昆虫など。
フォトギャラリー:第291回他参照
撮影難易度:★★★★☆
キュウシュウフクロウ(巣立ち雛)
Kiusiu Ural Owl
Strix uralensis
fuscescens
撮影日:2018年5月21日
撮影時間:08時08分37秒
シャッタースピード:1/125秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:400
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
撮影日:2018年5月21日
撮影時間:07時48分44秒
シャッタースピード:1/200秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
撮影日:2018年5月21日
撮影時間:07時43分20秒
シャッタースピード:1/800秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
撮影日:2018年5月21日
撮影時間:07時02分46秒
シャッタースピード:1/100秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
キュウシュウフクロウ セグロセキレイ コシアカツバメ
第385回 2018年6月26日