70年代になるとキヤノンが2成分機械補正式の35~70mmの広角ズームを出す(1972年)。因みにこのレンズでは絞りが移動する成分に含まれているのでズーミングによってF値がF2.8から3.5の間で変動する。この頃から各社入り乱れて2成分機械補正式による広角化の波が一挙に訪れる。前成分が凹レンズとして負の屈折力、後成分が凸レンズとして正の屈折力を持ち両成分の間隔を変える事により焦点距離を調節する。前成分は3成分機械補正式(望遠ズームの模式図)におけるフォーカス系のⅠ、後成分は変倍をするバリエーターⅡとリレー系Ⅳに相当する(フォトギャラリー第633回連載企画参照)。凹レンズのⅠは前方に虚像を結像する。Ⅱで生じた像点移動は両成分をシフトさせる事で補正しコンペンセーターⅢを省きⅡがⅣを兼ねる事でⅣを省いた。3成分機械補正式の様に全長が長くならない事で第1レンズが巨大化する問題をクリアした。しかし言うまでも無くここで完成ではなくその後も様々なタイプが登場し5成分を複雑に前後させて広角から望遠までカバーする高倍率ズームなども実現している。
参考文献:小倉敏布「写真レンズの基礎と発展」朝日ソノラマ社1998年
キヤノン35~70mmF2.8~3.5
さて広角系のズームレンズは望遠系とは異なり2成分機械補正式で単焦点レンズと同様前成分が凹、後成分が凸の2群で出来ているのが一般的だ。しかしその形が登場する以前は広角系ズームは極端な歪曲収差と第1レンズが巨大化するという問題に直面し60年代には技術的に極めて難しいとされた。仮に試作出来ても価格との折り合いが付かず商品化を断念するケースも有った様だ。1963年のニッコール43~86mmF3.5はコンパクトだがやっと標準の50mmを切るのが精一杯だった。
ニッコール43~86mmF3.5
連載企画;ズームレンズ (広角系)
これを撮影したのは3月30日、もう4月という時季になってようやくタカの渡りが観察出来た。ツミは日本最小のタカで大きさはヒヨドリ大でしかないから遠くて高い所を飛んでいたら昆虫みたいに小さく見える。それでも何とか見つけ証拠だけは撮影する事が出来た。辛うじてツミと識別可能だ。ハイタカ族(※)のタカはよく逆渡りをするがこの個体はソアリングしながら順当に概ね北へ向かっていた。それにしてもタカの渡りの今季初認が少数派のツミとはちょっとした驚きだった(個人的に大阪では過去1回しか見た事が無かった)。
ところで別日にタカの渡りを観察しているとカワウが天高くソアリングしながらゆっくり移動して行った(画像は割愛)。レンジャーによればカワウもよくそういう飛び方で渡りをしているとの事だ。僕が注目していないだけかも知れないがあまり見た記憶が無い。
またこの日はヒヨドリが飛来してヒノキの枝に止まった時パッと花粉が飛散した。野鳥たちは花粉症にならないのだろうか?そう言えばくしゃみしている野鳥など見た事も無い。動物病院のブログにはオウムなどがくしゃみをするなどと記載されていたりするが・・・

※ハイタカ族:ハイタカ、ツミ、オオタカ、アカハラダカ

ハイタカ:フォトギャラリー第627回他参照
オオタカ:フォトギャラリー第333回他参照
カワウ:フォトギャラリー第451回他参照
ヒヨドリ:初歩のバードウォッチング大きさの指標となる野鳥参照
類似種の識別:オオタカとハイタカツミとハイタカ参照
初歩のバードウォッチング:飛び方参照
分類:タカ目 タカ科
全長:雄27.0cm 雌30.0cm
翼開長:51.0~63.0cm
分布:全国で漂鳥または夏鳥。
生息環境:平地~山地の林、農耕地など。
食性:鳥類、小型哺乳類、昆虫など。
フォトギャラリー:第475回他参照
撮影難易度:★★★☆☆
ツミ(?)
Japanese Lesser Sparrowhawk
Accipiter gularis
撮影日:2021年3月30日
撮影時間:10時07分50秒
シャッタースピード:1/3200秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
ツミ ズームレンズ (広角系)
第634回 2021年4月10日