もう何が来ても驚かないつもりでいた。しかしそんな決意など脆くも消し飛ぶ猛禽類が、またも大阪の空に飛来した。準絶滅危惧種のミサゴだ。広島で出会って以来2年半ぶりの再会だが、今回の撮影地はおよそミサゴが飛びそうもない山間部であり、全く予想外の邂逅だった(いつも予想外だが)。ミサゴは主に河口付近などで魚類を捕食し、崖の上や樹上に営巣するので生息地は海岸付近の筈である。多少内陸に入る事もあるにせよ、この撮影地近辺には大きな川は流れておらず海や湖からも遠い。ほとんど考えられない様な所に出現したという意味で、非常に驚いたのである。飛翔も直線的ではなく珍しく螺旋状に帆翔していた。実は直前に飛行機が低空飛行で通過したので、それに驚いて飛び立ったのかも知れない。その偶然が無ければ僕もミサゴに気付かなかっただろう。この1枚は幾つもの幸運が重なった結果なのだ。欲を言えば撮影条件が悪く、広島の時の様に鮮明ではない。だが初列風切の分離羽が5枚で、翼の先、翼角、過眼線などが黒褐色なので、どんなに我が目を疑っても紛れもなくミサゴだ。そして何より際立った特徴は長い翼で、翼開長は大人が両手を広げた程もある。
ミサゴは見つけさえすれば比較的撮影しやすい猛禽類だと思う。川の上空を一日に何往復もしてくれるし、基本的に同じコースだから待ち構えやすい。問題は「滅多にいない」という事で、撮影難易度は星4個とした。難度が高ければ高い程、撮影出来た時の喜びも大きい。一度挑戦してみては如何だろうか。
この10ヶ月足らずの間に、半径わずか2~3キロの徒歩圏内で50種の野鳥を撮影した。うち7種が猛禽類で5種がレッドリストに載っている。これらの希少種を含め多種多様な野鳥に身近に接していると、この環境全体が大きな財産だと肌で実感する。野鳥は嘘をつかない。人間目線ではなく上空から鳥瞰して、本当に良い環境かどうかを見抜いているのかも知れない。
分類:タカ目 タカ科
全長:雄54.0cm 雌64.0cm
翼開長:155.0~175.0cm
分布:北海道から沖縄で留鳥。
生息環境:河川、海岸、湖岸。
食性:魚類。
レッドリスト:
準絶滅危惧(NT)
フォトギャラリー:初登場
イラストギャラリー:第2号参照
撮影難易度:★★★★☆
ミサゴ
Osprey
Pandion haliaetus
撮影日:2009年8月4日
撮影時間:18時22分44秒
シャッタースピード:1/2000秒
絞り値:F11.2
撮影モード:マニュアル
焦点距離:600mm(換算900mm)
ISO感度:1600
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon ED AF NIKKOR 70-300mm1:4-5.6D
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
ミサゴ
第22回 2009年8月5日