ここにはカワセミが居そうだと、以前から目を付けていた。農業用水路の澱んだ水中に魚影が見え、草木が茂り条件が揃っている。自宅からわずか徒歩15分程のその場所に予想通りに居てくれた。しかも今回は雄も撮影出来た。先日山歩きをしていたら地元の年配者がカワセミの生息地を教えてくれたが、そこは少し遠いので躊躇していたところだった。折角だがこれで足を延ばす必要は無くなった。第一、他人から教えてもらった生息地や有名な撮影ポイントよりも、自分の足で見つけたポイントの方が価値があるし、場所取りに難儀する事もない。そしてオリジナリティの高い写真が撮れる。カワセミとは千葉で撮影して以来8ヶ月ぶりの再会だ。実は別の鳥を狙っていたところへ、透きとおった声とともに懐かしいコバルトブルーが視界に飛び込んで来た。この枝は水面の真上に張り出していて、恰好の見張り台らしい。あまり出来の良い写真ではないが、嬉しくてつい紹介した次第。結局本来狙っていた鳥には会えなかった。得てしてそういうものだ。
他の野鳥と同様、カワセミを撮影するなら習性を知るのが近道だ。生息地は探さなければならないが、さほど警戒心の強い野鳥ではないから、根気さえあれば初心者にも撮影は不可能ではない。縄張りの中を行き来して、水面を見下ろせる手頃な枝などに止まって餌を狙う。止まり木が確認出来たら、ピントを固定してじっと待つだけだ。止まり木が薄暗い所にある場合が多い様なので、スローシャッターになるのが難点だ。
余談だが、この撮影のあと「何となく」行った事のない場所に行きたくなって、移動中に痛恨のミスをしてしまった。何と手の届きそうな僕の脇1メートル程の至近距離を、オオタカが通り過ぎたのだ。突然の事にカメラを構える暇もなかったが、いきさつを考えれば撮影は可能だった。こんな所に野鳥なんか居ないだろうという先入観から、カメラをスタンバイせず地図を片手に漫然と歩いていたら、いきなり足元からキジが驚いて飛び立ち、そのキジを目掛けてオオタカが林の中から飛び出し、キジがこれをかわして逃げ、諦めたオオタカがあっと言う間に僕の脇をすり抜ける様にして飛び去ってしまったのだ。その間せいぜい数秒の出来事だったが、しばし呆然と立ち尽してしまった。込み上げる不甲斐無さにカワセミを撮影した喜びも半減してしまった。この日一日で予想通りの出来事と予想外の出来事の二つが起きた。いや厳密に言えば予想外ではなく、敗因は油断だ。「何となく」そちらに足が向いた時点では何かを感じていた筈だ。油断したから勘が鈍り、誤った先入観に惑わされたのではないか。どうしてこうも油断するのか自分に腹が立つ。と同時に自然界の底知れない舞台裏を垣間見る思いがした。何も分かっていないくせに変な先入観を持つのは愚か者のする事だ。
分類:ブッポウソウ目 カワセミ科
全長:17.0cm
翼開長:25.0cm
分布:北海道で夏鳥、本州以南で留鳥。
生息環境:全国の河川などの水辺。
食性:小魚、蛙、甲殻類、昆虫。
フォトギャラリー:第2回参照
イラストギャラリー:第1号参照
撮影難易度:★★★☆☆
カワセミ(雌)
Common Kingfisher
Alcedo atthis
撮影日:2009年6月19日
撮影時間:13時11分47秒
シャッタースピード:1/100秒
絞り値:F11.2
撮影モード:マニュアル
焦点距離:600mm(換算900mm)
ISO感度:1600
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon ED AF NIKKOR 70-300mm1:4-5.6D
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
カワセミ
第19回 2009年6月22日