大半のオオハクチョウは北日本で越冬し、西日本まで下って来るものは稀だ。多数のコハクチョウが飛来する琵琶湖全体でもオオハクチョウは数年に数羽程度しか確認出来ないという。北海道や東北地方では珍しくないかも知れないが、西日本では撮れそうで撮れない。この日は僅かな可能性に賭けて数十羽のコハクチョウの群れの中を探索していると、運良く探し始めて2羽目くらいでファインダーの中に捉える事が出来た。親子と思われる成長2羽と幼鳥2羽がくつろいでいた。コハクチョウとの見分け方のポイントは嘴の黄色部の形で、先端側が鋭角的に尖って見えるのがオオハクチョウ、欠けて見えるのがコハクチョウだ。日中は嘴を翼の中に埋めて休んでいる事も多いので、羽繕いをするなどのタイミングで辛抱強く見極めていかなければならない。勿論オオハクチョウの方が大きくて頸も長い。日本の野鳥全体の中でもオオハクチョウは超大型の部類で、タンチョウとほぼ同格だ。オオハクチョウより大きい鳥と言えばハイイイロペリカン、モモイロペリカン、クロハゲワシくらいだろうか。翼開長だけを見ればソデグロヅル、全長だけを見ればコブハクチョウが大きいが、これらの鳥は迷鳥もしくは飼鳥が野生化したものだ。通常観察可能な野鳥としてはオオハクチョウは日本最大級の野鳥のひとつだろう。
超大型の野鳥と言えば、この日たまたまオオワシが今シーズン初めていつもの琵琶湖畔の山本山に飛来した。カラスから身を隠す様に松の木の中に埋没していたが、とりあえず姿だけは押さえた。大きさで言えばオオハクチョウと比べて翼開長は同格以上だが、全長は頸の長いオオハクチョウの方が勝る。だがひとたび空を飛ぶと寸法で例えれば畳よりひと回り大きなものが飛んでいる訳だから大迫力だ。しかも体が大きい分、ゆったりと羽ばたいてもかなりスピードが出るからカラスなど簡単に振り切ってしまう。
この日の午前中は野鳥と出会えず全く空振りでどうなる事かと思ったが、昼過ぎから帳尻が合い、大きな琵琶湖で大きな鳥たちに魅了された午後だった。

コハクチョウ:フォトギャラリー第58回参照
類似種の識別:オオハクチョウとコハクチョウ参照
初歩のバードウォッチング:生息環境参照
分類:タカ目 タカ科
全長:雄88.0cm 雌102.0cm
翼開長:220.0~245.0cm
分布:北海道、東北、日本海側などで冬鳥。
生息環境:海岸、湖沼、河川など。
食性:魚類、鳥類、両生類、哺乳類など。
レッドリスト:
絶滅危惧Ⅱ類(VU)
指定:
天然記念物
フォトギャラリー:第73回第74回参照
撮影難易度:★★★★☆
オオワシ
Steller’s Sea Eagle
Haliaeetus pelagicus
撮影日:2012年11月21日
撮影時間:15時29分08秒
シャッタースピード:1/160秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:200
撮影地:滋賀県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:カモ目 カモ科
全長:140.0cm
翼開長:213.5~243.5cm
分布:本州以北で冬鳥。
生息環境:湖沼、池、水田、河川など。
食性:水草、落ち穂、青草など。
指定:
天然記念物(水原のハクチョウ渡来地、猪苗代湖のハクチョウおよびその渡来地)
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★★☆
オオハクチョウ
Whooper Swan
Cygnus cygnus
撮影日:2012年11月21日
撮影時間:14時39分34秒
シャッタースピード:1/250秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:200
撮影地:滋賀県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
オオハクチョウ オオワシ
第94回 2012年11月27日