シギ科には前回紹介のキアシシギだけではなくアカアシシギ、アオアシシギもいる。
この日、大阪南港野鳥園にはいつも以上に多くの珍鳥が訪れ、アカアシシギ(絶滅危惧Ⅱ類)の他にハヤブサ(絶滅危惧Ⅱ類)、ミサゴ(準絶滅危惧)、ハジロコチドリ、コチドリ、メダイチドリ、オバシギ、コオバシギ、タカブシギ、トウネン、ヒバリシギ、ソリハシシギ、オオソリハシシギ、カワセミなどが観察された。台風が日本海側を進んでいたので、渡り鳥が風に乗って集まって来るのも期待していなかった訳ではない。特に今回の台風は変則的な動きだったので、野鳥の渡りコースに何らかの影響を与えたのかも知れない。
アカアシシギは印象的な赤い足が名前の由来だ。前述のように絶滅危惧Ⅱ類だが、11羽が確認された。ここに飛来したのは5年ぶりくらいだそうで、トウネンの群れの中に割り込んで、しきりに何か採餌していた。意外に動きが速く若干ブレ気味だが、画質を優先してISO感度を最低の200に設定してシャッター速度を遅くした結果だから、撮影者としてはさほど失敗とは思っていない。いずれ高感度域でも高画質の機種に買い替えた暁には、この様な暗いレンズでもブレを抑えられるだろう。
この後一日中忙しく撮影して陽が陰って来た頃に、突如1羽のハヤブサが飛来してトウネンの群れに襲い掛かった。アカアシシギなど見える範囲の野鳥が一斉に飛び立ち、広い干潟はダイサギやカワウなど大型の鳥を除いて空っぽになり、この日は終わってしまった。
一方アオアシシギの足はさほど青い訳ではなく淡い黄緑色っぽい。むしろチュウシャクシギの足の方が青いくらいだ。もっとも、野鳥の名前に青が使われる時はアオゲラやアオバトなど緑色の場合が多い。ただでさえシギ科には地味な保護色のものが多いが、アオアシシギも羽色は全体的に地味な黒褐色と灰色だから、羽色だけで同定するのは困難を極める。だが嘴の形や長さは同じシギ科でも様々だから、遠くからでもある程度見分ける事が可能だ。アオアシシギの嘴は僅かに上向きに反っている。但し近縁の珍鳥の可能性も有るから早合点しない様に注意が必要だ。地味で近縁だけに非常によく似ているから、仮に目の前に居ても僕の様な素人には見分けがつかないかも知れない。アオアシシギは旅鳥だがもう1ヶ月以上数羽の群れを観察している。ただ、同一個体が居着いているのか入れ替わりがあるのかは分からない。
余談だが日本の野鳥を50音順に並べると682亜種の中でアオアシシギが1番前に来る(アイガモは野鳥ではない)。
これから本格的な渡りのシーズンを迎える。大阪南港野鳥園も慌ただしくなるに違いない。

キアシシギ:フォトギャラリー第52回参照
チュウシャクシギ:フォトギャラリー第50回参照
類似種の識別:アオアシシギとコアオアシシギ参照
初歩のバードウォッチング:季節移動参照
分類:チドリ目 シギ科
全長:32.0cm
翼開長:68.0~70.0cm
分布:全国で旅鳥。局地的に越冬。
生息環境:水田、河川、干潟など。
食性:甲殻類、昆虫、魚類など。
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★☆☆
アオアシシギ
Common Greenshank
Tringa nebularia
撮影日:2010年9月14日
撮影時間:11時21分39秒
シャッタースピード:1/100秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:200
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:チドリ目 シギ科
全長:28.0cm
翼開長:50.5cm
分布:全国で旅鳥。北海道で夏鳥。
生息環境:湿地、水田、干潟など。
食性:甲殻類、貝類、昆虫など。
レッドリスト:
絶滅危惧Ⅱ類(VU)
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★★☆
アカアシシギ
Common Redshank
Tringa totanus
撮影日:2010年9月7日
撮影時間:11時26分40秒
シャッタースピード:1/125秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:200
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
アカアシシギ アオアシシギ
第53回 2010年9月29日