レトロフォーカス型の短所は無限遠で収差が補正されていても近接では諸収差が増加するという点だった。基本的にピント調節はレンズ全体を繰り出したり引っ込めたりする事で焦点を移動させて行われるが1967年ニッコール24mmF2.8でレンズ群ごとに違った動きをするフローティングというフォーカシング方式でレンズ群とレンズ群の間の空気間隔dを変化させこの短所を克服した(図のBブロックはAブロックより何割か大きく動く)。図を見ると必ずしも負正のパワー配置ごとに動く訳ではない事が分かる。
参考文献:小倉敏布「写真レンズの基礎と発展」朝日ソノラマ社1998年
ニッコール24mmF2.8
コンピューターを駆使した設計の結果レトフォーカスの欠点を克服したレンズが各社から発売される。その一つが1958年のニッコール28mmF3.5で前群が負のパワーを持つところは同じだが後群に注目すると小さな凸凹凸のトリプレットの後ろに凸レンズを配置した形をしている(フォトギャラリー第623回連載企画参照)。この形でコマ収差などが改良された。このスタイルはこのまま現在の広角レンズにも見られるし後群の正負正正のパワー配置はほとんどの広角レンズに見られる。そして広角レンズはその後バックフォーカスの確保が更に難しい超広角、大口径へと発展して行く。
ニッコール28mmF3.5
連載企画;広角レンズ
5ヶ月前バードウォッチングに引きずり出した知人が一眼レフカメラを買うという事で緊急事態宣言が明けるのを待ってチャチャを入れにカメラ店まで付き合った(フォトギャラリー第595回参照)。あーでもないこーでもないと2時間ほども粘って僕と同じニコン製のキットを買わせその足で5ヶ月前と同じポイントへ試し撮りに出掛けた。まぁ試し撮りだからあまり期待せずに都市公園を探鳥しツグミやカワラヒワといった初心者向けの野鳥たちを撮り、パソコンへのダウンロードの話とかホームページの話とかをする為に彼の自宅へ向かった。その途上道路沿いの水路にオオバンが居たので助手席から撮影。友人宅で夕方まで雑談をしたあと駅まで歩いて向かおうとしたら頭上の電線にシジュウカラが止まった。わざわざ遠方へ出掛けなくても庭でカラ類が撮れそうだと分かって彼も喜んでいた。鳥仲間が増えれば僕も嬉しい。おこがましい言い方だが野鳥ファンへの第一歩を踏み出した彼を僕なりに何とか応援したい。

投稿ギャラリー参照
分類:スズメ目 シジュウカラ科
全長:15.0cm
翼開長:22.0cm
分布:全国で留鳥または漂鳥。
生息環境:平地~山地の林、公園など。
食性:昆虫、蜘蛛、木の実、種子など。
フォトギャラリー:第613回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
シジュウカラ
Japanese Tit
Parus minor
撮影日:2021年3月11日
撮影時間:17時46分01秒
シャッタースピード:1/1000秒
絞り値:F5.0
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:ツル目 クイナ科
全長:39.0cm
翼開長:74.0cm
分布:本州以南で留鳥または冬鳥、北海道で夏鳥。
生息環境:河川、湖沼、水田など。
食性:水草の根、葉、昆虫など。
フォトギャラリー:第604回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
オオバン
Eurasian Coot
Fulica atra
撮影日:2021年3月11日
撮影時間:16時00分35秒
シャッタースピード:1/1000秒
絞り値:F5.0
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:スズメ目 アトリ科
全長:15.0cm
翼開長:24.0cm
分布:九州以北で留鳥または漂鳥。
生息環境:平地~山地の林、農地など。
食性:種子、木の実など。
フォトギャラリー:第484回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
カワラヒワ
Oriental Greenfinch
Chloris sinica
撮影日:2021年3月11日
撮影時間:14時54分09秒
シャッタースピード:1/4000秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:スズメ目 ヒタキ科
全長:24.0cm
翼開長:39.0cm
分布:全国で冬鳥または旅鳥。
生息環境:平地~山地の林、農地など。
食性:昆虫、木の実など。
フォトギャラリー:第534回他参照
撮影難易度:★☆☆☆☆
ツグミ
Dusky Thrush
Turdus naumanni
撮影日:2021年3月11日
撮影時間:14時38分09秒
シャッタースピード:1/3200秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
ツグミ カワラヒワ オオバン シジュウカラ 広角レンズ
第630回 2021年3月22日