大多数の動物が保護色でカモフラージュしているという自然界にあって、不思議にも多くの野鳥がカラフルだ。スズメなどの様に雌雄とも地味な保護色の鳥もいるから、野鳥が派手である必要は無いとも思えるのだが、中にはカワセミなどの様に雌雄とも派手なものもいる。そんな中でも屈指の派手な鳥がベニマシコだ。何しろ雄の夏羽は赤く、冬羽もこの通り桃色だ。雌は少し地味だが、やはり十分に目立つ綺麗な羽色だ。なぜわざわざよりによって一番目立つ色なのか。少なくとも人間の目には最も目立つとされる色だ。アカゲラやキジなど部分的に鮮やかな赤をアレンジしたものもいるが、ベニマシコは自然界の法則を無視するかの様にほぼ全体的に赤い。鳴き声も分かりやすく、そこにいる事はすぐに分かる。冬場は一ヶ所に留まらずに移動する傾向があるとされるが、このあたりでは数ヶ月も居着いている様だ。この個体は僕の目の前の木に飛来し、桃色の羽を誇るかの様にポーズをとってくれた。あたかもカメラの意味を理解しているかの様な表情だ。
アトリはベニマシコとは対照的に地味な保護色だ。分類上カワラヒワ、シメ、イカル、ベニマシコなどアトリ科の仲間を代表している。実際この時は何の違和感もなくカワラヒワと同じ木に止まっていた。もしや仲間意識の様なものがあるのかも知れない。ベニマシコもカワラヒワの群れの近くにいる事が多い様だが、アトリもベニマシコも大阪では冬鳥だから、留鳥のカワラヒワは春になると置いてきぼりを食う事になる。この日は薄曇りだったが、こういう天気の時に仰角で撮影すると、意外にも青空より逆光が強く撮影条件は良くない。
マヒワは1年近く前に山地で撮影したもので、後ろ姿で写りの良くない写真だが、同じアトリ科という事で掲載する事にした。カワラヒワと似ており、うっかり同定を間違えるところだった。つがいで木に止まりじっとしていたが、雄の頭頂部は黒く、雌はの縦斑が目立つのでマヒワと分かった。
今回は恥ずかしながら枝がかりの写真ばかりだ。アトリ科が特に小枝の多い木を好む訳ではないと思うが、なかなか苦労させられる被写体だ。もしそれが正しい生態ならば枝がかりでも良いと思うのだが、ヘボ写真の言い訳に聞こえるので次回はもっとマシな写真を切り取りたい。

カワラヒワ:フォトギャラリー第14回参照
シメ:フォトギャラリー第14回参照
イカル:フォトギャラリー第25回参照
分類:スズメ目 アトリ科
全長:12.0cm
翼開長:21.0cm
分布:全国で冬鳥または漂鳥。
生息環境:平地~山地の草原、林など。
食性:種子など。
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★☆☆
マヒワ(雄)
Eurasian Siskin
Carduelis spinus
撮影日:2009年4月30日
撮影時間:16時23分09秒
シャッタースピード:1/1000秒
絞り値:F11.2
撮影モード:マニュアル
焦点距離:600mm(換算900mm)
ISO感度:1600
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon ED AF NIKKOR 70-300mm1:4-5.6D
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:スズメ目 アトリ科
全長:16.0cm
翼開長:25.5cm
分布:全国で冬鳥。
生息環境:平地~山地の草原、林など。
食性:木の実、種子など。
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★☆☆
アトリ(雌)
Brambling
Fringilla montifringilla
撮影日:2009年12月24日
撮影時間:11時27分08秒
シャッタースピード:1/800秒
絞り値:F11.2
撮影モード:マニュアル
焦点距離:600mm(換算900mm)
ISO感度:1600
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon ED AF NIKKOR 70-300mm1:4-5.6D
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:スズメ目 アトリ科
全長:15.0cm
翼開長:21.0cm
分布:北海道で繁殖。本州以南で冬鳥。
生息環境:平地~山地の草原、林など。
食性:木の実、種子、昆虫など。
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★☆☆
ベニマシコ(雄)
Long-tailed Rosefinch
Uragus sibiricus
撮影日:2009年12月16日
撮影時間:11時44分22秒
シャッタースピード:1/640秒
絞り値:F11.2
撮影モード:マニュアル
焦点距離:600mm(換算900mm)
ISO感度:1600
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon ED AF NIKKOR 70-300mm1:4-5.6D
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
ベニマシコ アトリ マヒワ
第41回 2010年2月10日