Eurasian Bullfinch
Pyrrhula pyrrhula griseiventris
撮影日:2014年5月6日
撮影時間:13時44分45秒
シャッタースピード:1/40秒
絞り値:F5.6
撮影モード:プログラムAE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:200
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR

日本列島の縮図の様な舳倉島。南の鳥も居れば北の鳥も居る。
アトリ科は冬鳥のイメージが強い。ベニヒワは北海道へ行けば珍しくないのかも知れないが僕は初見だった。この時は岩場の池の周辺で何やら歩き回っていた。僕は習性をよく知らないがそばに居たバーダーによればかなり場違いなのだそうだ。主に北海道で冬鳥という事は、通常その他の季節には北海道より北に分布するという事だし、林や農耕地に生息するはずの鳥がこんな海岸の岩場で歩き回っているとは誰も思わないだろう。中には気まぐれな個体が居るもので全てが図鑑通りとは行かない。それが野鳥だ。もっとも、図鑑によっては渡りの時期には島嶼部を通過するとしているものも有る。種の保存の観点からは習性にバラツキが有った方が有益だろう。全ての個体が全く同じ性格では、環境の激変などが有った時に壊滅的な打撃を被るリスクが有る。この個体は1羽でリスクヘッジをしている訳だ。
2日後、同じアトリ科のウソとアカウソが水場で撮影出来た。アカウソは種ウソの亜種だ。もうひとつの亜種ベニバラウソとの識別点は大雨覆の羽先の白さでベニバラウソならもっとはっきり白いはずだ。以前「亜種」について勉強した事があった(フォトギャラリー第88回参照)。ウソとアカウソは混群になる事もあるから、両亜種間のハイブリッドが生まれてもおかしくない。そして亜種間の交配が進めば、やがて一つの亜種に収斂していくはずだ。しかし、両亜種には今のところ形態に明確な差異が見られる。同じ種だから繁殖能力は有るはずなのに不思議だ。生息域はほぼ同じだから繁殖時期が異なるのだろうか。あるいは他に僕の知らない障壁が有るのだろうか。
難しい話はさておき、この水場では小鳥たちが至近距離で観察出来る様に観察舎が造られており、この様に300ミリレンズでも充分きれいな画が撮れる。野鳥撮影においては普通300ミリレンズではやや不足だから、こういう撮影ポイントは有り難い。300ミリを超えるレンズを持とうとすると高額な大口径の長玉になってしまいがちだ。僕が500ミリのレフレックスを持っているのは安価な事とコンパクトなレンズだからだ(今回はベニヒワに使用)。かなり年代物のレンズで現在は製造されていないから今から買おうと思ったら中古市場で探すしかない。ニコンはAF化のタイミングでもレンズマウントを変更しなかったので、かなり世代の異なる新旧のカメラとレンズを組み合わせる事が可能で、これがニコン一眼レフの大きな魅力の一つになっている。ただ、このレフレックスレンズはMF(マニュアルフォーカス)だし撮影モードもマニュアルに限定され、使いこなすにはそれなりの習熟が必要なので、これから野鳥撮影を始めようと思っている人はあまり真似をしない方がいいかも知れない。物足りないかも知れないが無難に300ミリくらいで手ぶれ補正機能のある小口径レンズなら軽量で扱い易く、手持ち撮影でも充分使用に耐えてくれる(今回はウソ、アカウソに使用)。ただカメラ本体は、初心者だからと言って入門機を選ぶ必要は無いと思う。入門機も最上級機も同じ様にカメラ任せでオート撮影も自分好みのマニュアル撮影も可能だが、入門機よりもむしろ中級機以上の方が野鳥ファンのシビアな要求に応えてくれ、カメラマンに力量不足な部分が有ってもカバーしてくれるだろう。

初歩のバードウォッチング:撮影参照
分類:スズメ目 アトリ科
全長:16.0cm
翼開長:25.5cm
分布:九州以北で留鳥または冬鳥。
生息環境:平地~山地の林など。
食性:種子、芽、昆虫、蜘蛛など。
フォトギャラリー:第96回参照
撮影難易度:★★★☆☆
ウソ(雄)
分類:スズメ目 アトリ科
全長:16.0cm
翼開長:25.5cm
分布:九州以北で留鳥または冬鳥。
生息環境:平地~山地の林など。
食性:種子、芽、昆虫、蜘蛛など。
フォトギャラリー:第99回参照
撮影難易度:★★★☆☆
Eurasian Bullfinch
Pyrrhula pyrrhula rosacea
アカウソ(雄)
撮影日:2014年5月6日
撮影時間:12時27分41秒
シャッタースピード:1/400秒
絞り値:F8
撮影モード:プログラムAE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR

分類:スズメ目 アトリ科
全長:12.0cm
翼開長:21.0cm
分布:主に北海道で冬鳥。
生息環境:平地~山地の林、草原、農耕地など。
食性:種子、昆虫など。
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★★☆
Common Redpoll
Carduelis flammea
ベニヒワ(雌)
撮影日:2014年5月4日
撮影時間:11時38分33秒
シャッタースピード:1/200秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:400
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
ベニヒワ アカウソ ウソ
第142回 2014年6月18日