拡大写真;キマユムシクイの三列風切
今回も舳倉島の野鳥たち。キマユホオジロもまた僕にとっては憧れの野鳥だった。迷鳥としている図鑑も有る。眉斑が黄色い他は比較的身近な野鳥の一つであるカシラダカなどとほとんど同じ様な外見なのにこれほど魅力的な野鳥が他に有るだろうか。似ているミヤマホオジロとの識別点は眉斑のみ黄色で胸から脇に縦斑が有る事などで胸にミヤマホオジロの様な黒色斑は無い。腰はミヤマホオジロが灰褐色なのに対し黒褐色。頭央線が有り耳羽に白斑が有る。滞在期間が短いと言われる通り初日に見たきりで翌日以降は渡去して姿を消してしまった。よほどタイミングが合わなければ見られないというのもキマユホオジロの撮影を難しくしている要素の一つだろう。
和名も英名も同じキマユというネーミングだがキマユムシクイの眉斑はそれほど黄色くない。むしろ目立つのは2本の翼帯で、ムシクイ科でこれがくっきりと目立つのは本種とカラフトムシクイくらいだから識別の難しいムシクイ科ウグイス科の中では分かりやすい特徴だ。更に図鑑によればキマユムシクイとカラフトムシクイは三列風切の外縁が白い(下記拡大写真参照)。2枚目の写真の様に三列風切の外縁が白くて頭央線が薄ければ本種、頭央線がはっきりしていればカラフトムシクイとされる(そのほかカラフトムシクイは眉斑が額で繋がり腰が黄色い)。2本の翼帯の間と次列風切の基部が暗色なのもキマユムシクイの特徴とされる。これらの特徴を1枚の写真で網羅しているのが2枚目の写真だ。日本では稀なうえ藪の中を好むので遭遇も撮影も容易ではないが個人的には4年前の大阪以来二度目の撮影となったうえ、今回別々のポイントで4日間のうち3日連続で撮影出来たので撮影難易度の星を1個減らした。大阪のキマユムシクイは自分で見つけた訳ではないが今回は自分で見つけ自分で識別出来た。自分の目で何度か見ている内に頭の中でイメージが出来て来たからだろうか。
メボソムシクイは比較の為に載せたが、声が全く聞こえなかったので普通種でありながらこれがメボソムシクイだという確証が無い(声が聞こえても識別出来る自信は無いが)。外見での野外識別が困難なものの画像を載せる事に何の意味が有るのかという根本的な問題は置いておくとして、オオムシクイやコムシクイの可能性も残しつつ下尾筒などの黄色っぽさが目立つ事から体上面下面とも羽色の黄色味が最も強い傾向(飽くまで傾向)が有るとされるメボソムシクイの可能性が高いであろうという事でご勘弁願いたい(※)。ただし3種とも第1回冬羽は黄色味が強い傾向が有るとされるうえ写真の色の出方は光線状態などにもよるから当てにはならない(この同定が間違いだとしてその間違いに気付く人は極めて少ないだろうけど)。
(※)メボソムシクイ、オオムシクイ、コムシクイの3種はかつては同じメボソムシクイの亜種として分類されていた(亜種メボソムシクイ、亜種オオムシクイ、亜種コメボソムシクイ)。地鳴きやさえずりの声の違いにより識別可能であるに過ぎず外見での野外識別は困難とされる。
カシラダカ:フォトギャラリー第181回他参照
ミヤマホオジロ:フォトギャラリー第213回他参照
コムシクイ:フォトギャラリー第186回参照
類似種の識別:キマユホオジロとミヤマホオジロ(雄)・キマユムシクイとヤナギムシクイ参照
分類:スズメ目 ムシクイ科
全長:13.0cm
翼開長:20.5cm
分布:本州、四国以北で夏鳥。九州以南で旅鳥。
生息環境:平地~亜高山帯の林など。
食性:昆虫、蜘蛛、木の実など。
フォトギャラリー:
第79回参照
撮影難易度:★★★☆☆
メボソムシクイ(?)
Japanese Leaf Warbler
Phylloscopus xanthodryas
撮影日:2016年5月12日
撮影時間:13時04分39秒
シャッタースピード:1/1600秒
絞り値:F5.6
撮影モード:プログラムAE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:スズメ目 ムシクイ科
全長:10.5cm
翼開長:不祥
分布:主に南西諸島で稀な旅鳥。
生息環境:林など。
食性:昆虫、蜘蛛。
フォトギャラリー:
第79回参照
撮影難易度:★★★★☆
キマユムシクイ
Yellow-browed Warbler
Phylloscopus inornatus
撮影日:2016年5月14日
撮影時間:14時01分44秒
シャッタースピード:1/2000秒
絞り値:F5.6
撮影モード:プログラムAE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
撮影日:2016年5月14日
撮影時間:14時01分49秒
シャッタースピード:1/2500秒
絞り値:F6.3
撮影モード:プログラムAE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:スズメ目 ホオジロ科
全長:15.5cm
翼開長:不詳
分布:主に日本海側の島嶼部で稀な旅鳥。
生息環境:平地の草地、農耕地、林など。
食性:草の種子、昆虫など。
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★★☆
キマユホオジロ(雄)
Yellow-browed Bunting
Emberiza chrysophrys
撮影日:2016年5月12日
撮影時間:13時40分26秒
シャッタースピード:1/400秒
絞り値:F5.6
撮影モード:プログラムAE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
キマユホオジロ キマユムシクイ メボソムシクイ キマユムシクイの三列風切
第234回 2016年6月5日