山間部に在る自宅から徒歩圏のこの撮影地は人通りがほとんど無く、他に野鳥ファンの姿も無いから、僕にとっては隠れ家みたいな所だ。秘密基地になぞらえて僕は勝手に「エリア2」と名付けた。ミヤマホオジロは西日本に多く分布するから東日本の野鳥ファンの憧れだそうだ。こちらを警戒しながらも幸い僅か数メートルの至近距離の枝に止まってくれた瞬間を撮影出来た。普段は頭の羽根が寝ているが、興奮状態の時はこうして黄色い羽根を逆立てる。こういうシャッターチャンスは大抵、僅か数秒しか無いからチャンスを逃して地団駄を踏む事が多いが、今回は辛うじてモノに出来た。
ルリビタキも同じ場所での撮影だ。山間部の鳥は公園などの鳥と比べると段違いに警戒心が強い。距離は数十メートルは有った。警戒されずにじっくり撮影するには、最低限これくらいの距離が必要だ。この焦点距離では画角が僅か1.5度ほどしか無いから、ちょこまかと動き回られるとファインダーに捉えるのも難しい。しかも雌または幼鳥だから部分的にカラフルだが全体的に保護色で、少しは動いてくれないと見つけにくい。四苦八苦しながらの撮影となったが、幸いこの撮影条件にしてはクリアに撮れた。
ベニマシコはこの色だが茂みの中に入り込むと意外に保護色だ。同じく「エリア2」での撮影だ。スズメ大の小鳥は少し距離が有ると光線の状態によっては黒っぽい塊にしか見えない。加えて藪の中でじっとしていたら風景に溶け込んでしまって発見するのは難しい。なかなかベニマシコが撮影出来ない人は、「目立つはずだ」という先入観で探していて見落としている可能性が有る。僕は特徴のある地鳴きを手掛かりにして探す事が多い。この日は曇り空の暗い日で距離も遠く、撮影条件に恵まれず被写体ブレの酷い絵になってしまった。
今回の写真が3枚とも背景がゴチャゴチャしているのは、この秘密基地が彼ら好みのカモフラージュの効いた藪だから仕方が無い。枝が被らない少ないチャンスを絵に出来ただけでも幸運だった。
分類:スズメ目 アトリ科
全長:15.0cm
翼開長:21.0cm
分布:北海道で繁殖。本州以南で冬鳥。
生息環境:平地~山地の草原、林など。
食性:木の実、種子、昆虫など。
フォトギャラリー:第41回参照
撮影難易度:★★★☆☆
ベニマシコ(雄)
Long-tailed Rosefinch
Uragus sibiricus
撮影日:2013年1月30日
撮影時間:12時45分51秒
シャッタースピード:1/40秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:640
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:スズメ目 ツグミ科
全長:14.0cm
翼開長:22.0cm
分布:全国で漂鳥。
生息環境:平地~山地の林など。
食性:昆虫、木の実など。
フォトギャラリー:第42回第96回参照
撮影難易度:★★★☆☆
ルリビタキ
Red-flanked Bluetail
Tarsiger cyanurus
撮影日:2013年2月20日
撮影時間:12時54分28秒
シャッタースピード:1/160秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:640
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:スズメ目 ホオジロ科
全長:16.0cm
翼開長:21.0cm
分布:全国で冬鳥。
生息環境:山地の林など。
食性:昆虫、蜘蛛、草木の種子。
フォトギャラリー:第16回参照
撮影難易度:★★★☆☆
ミヤマホオジロ(雄)
Yellow-throated Bunting
Emberiza elegans
撮影日:2013年3月12日
撮影時間:14時05分31秒
シャッタースピード:1/160秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:200
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
ミヤマホオジロ ルリビタキ ベニマシコ
第104回 2013年3月16日