撮影画像を見て声が突然聞こえなくなった訳が分かった。塒(ねぐら)らしき穴が開いているのが見える。ここに出入りしていたのだ。この個体を亜種コゲラと判断した根拠は外見ではなくその生息域であるに過ぎない。グローガーの法則通りならシコクコゲラよりわずかに淡色なはずだがそんなシビアな識別は僕には無理だ(フォトギャラリー第88回参照)。
何はともあれ狙い通りに野鳥が撮影出来たので幸先の良いスタートを切る事が出来て意気揚々と舳倉島へ向かう事が出来た。
シコクコゲラ:フォトギャラリー第292回他参照
キュウシュウコゲラ:フォトギャラリー第292回参照
分類:キツツキ目 キツツキ科
全長:15.0cm
翼開長:26.0cm
分布:本州中部以北で留鳥または漂鳥。
生息環境:平地~山地の林など。
食性:昆虫、蜘蛛、木の実など。
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★☆☆☆
コゲラ(亜種コゲラ?)
Japanese Pigmy Woodpecker
Dendrocopos kizuki nippon
撮影日:2018年5月8日
撮影時間:06時55分11秒
シャッタースピード:1/200秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
撮影日:2018年5月8日
撮影時間:06時54分27秒
シャッタースピード:1/80秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
今回は舳倉島撮影旅行記ということでドキュメンタリー・レイアウト編で公開。
毎年この時季は舳倉島へ探鳥に行くと決めている。ただ今回が例年と違うのは舳倉島で宿泊することにしたという点だ。だが舳倉島には民宿が2軒しか無くなかなか予約が取れない。だから去年までは本土側の輪島市内で宿を取りフェリーで毎日島へ往復するという日程を組んでいた。その方法のメリットは比較的宿が取りやすいことと航路上で海鳥を撮るチャンスが多い事だがフェリーのダイヤに合わせなければならないので島での撮影時間に制約が有る事と経費がかさむ事がデメリットだ。今回は1年も前から予定を組んでようやく宿の予約が出来たもののスケジュールの変更は利かない。去年までは3泊4日のスケジュールを組んでいたが島に泊まれば撮影時間に余裕が有るので2泊3日の予定にした(初日は日没まで撮影に没頭出来るし2日目は丸一日有効に使え3日目は早朝から動ける)。ともかく何であっても初めての試みをする時は大なり小なり不安が伴う。いつもと違う事をするので何か致命的な見落としをしているのではないかとかいろんな事を考えつつ準備を進めた。
今年の舳倉島撮影旅行については今回から何回かに分けてフォトギャラリーでリポートする事になるが今年は出来るだけ時間軸に沿って紹介することにした。今回は手始めとして島へ渡る前に亜種コゲラを狙って輪島港近くの裏山に登った顛末だ。大阪の野鳥ファンが普段見慣れているコゲラはほぼ亜種シコクコゲラであって亜種コゲラとは少し異なる。亜種コゲラとしてはフォトギャラリー初登場となる。両亜種の地理的境界線は琵琶湖辺りに有るとされ石川県はほぼ亜種コゲラの分布域のはずだから輪島に着いたらまず裏山に登って亜種コゲラを狙おうと初めから目星を付けていた。コゲラはありふれた普通種だから林に入ればきっと居るだろうと期待していたもののそう簡単に撮影出来るとは限らない。夜明けからフェリー出港までの限られた時間内に発見し撮影しなければならない。例年通り前夜に自宅を出発し深夜に車を走らせて夜明け前に輪島港に到着した僕は早速裏山に向かった。いくら普通種とは言え狙って撮影するとなると居そうで居ないものでかなり長時間探し続けた。だいぶ経ってドアがきしむ様なあの特徴の有る声が一瞬聞こえて「よし来た!」と思った途端それっきり急に声が聞こえなくなってしまった。気を取り直してまた来るだろうとその辺りで待っているとフェリーの時間が気になりだした頃また声がして同じ様に消えてしまった。おかしいなと思い声が聞こえなくなった辺りを探しているとようやくその姿が見えて何とか撮影する事が出来た。
第373回 2018年5月13日