2020年2月14日訂正;
オフィシャルサイトによれば上記チゴモズの天売島での観察記録は1986年となっており、それによれば10年ぶりではなく32年ぶりという事になります。
















































































































































































































































































































































































































































































2018年9月20日追記;
上記アオハライソヒヨドリと思われる画像をレンジャーに見てもらったところ正解でした。秋なら亜種イソヒヨドリの幼鳥もこんな色になる事が有るが季節が春だった事からその可能性は低いとの事です。
ドキュメンタリー・レイアウト編
6月4日10:12
もちろんチゴモズの撮り直しを狙って帰り道で観察ポイントに寄ってみたが空振り。
6月4日08:59
ニホンマムシ
6月4日08:20
天売島には普通にマムシが居るので要注意だ。気のせいか見慣れている地元のものより淡い色に見える。
6月4日06:29
6月4日03:59
撮影地風景:
旅も大詰め、天売島3泊4日目いよいよ最終日の朝になってやっと早起き出来た。明日の今頃はもう日本海の真ん中だろう。今回の撮影旅行で未だ達成されていない最後のテーマはウミガラスなど島嶼部に特有の珍鳥を撮る事だ。天売島ならではの海鳥がケイマフリだけという訳には行かない。次はいつここに来られるか分からない。この日は最後のチャンスだから何としてもその目的を果たさねばならない。漁船クルーズが出航出来るとしたら朝6時だとのことでそれまでの貴重な時間も島内の探鳥に充てたかった僕はさっそく民宿近くの神社へ足を運んだ。
前日までと同様にオオムシクイがさえずっていたが大阪ならまだ真っ暗な3時台だから光線が弱いうえに空抜けという悪条件。感覚的に「朝」の範疇ではない時間帯にしてはよく撮れたものだと我ながら感心(本頁3枚目の画像、フォトギャラリー史上最も早い時刻)。なおオオムシクイは去年の環境省レッドリスト2017から「情報不足」カテゴリーに入れられてしまった。その一方でレッドリスト2015まで絶滅したとされていたダイトウウグイスが実は生存していたことが確認され「情報不足」に載った(第4次レッドリストで「ウグイスの1亜種」として記載されていたものと同一)。因みにオオムシクイはまだマシな方でシマハヤブサとウスアカヒゲが直近のレッドリスト2018で絶滅と判断されてしまった。
まだ4時前なのに陽が昇った。すっかり明るくなったので反時計回りに歩いて坂道を登り、あまり遠くまで行く時間的余裕が無いので海岸の方には向かわず島の中ほどの林に入った。林の中は複雑に道が分岐している。漁船クルーズが出航出来るかどうかが決まれば女将さんが電話してくれる手筈になっているがそろそろ気になって宿へ戻ろうと思い帰り道をあれこれと迷ったあげく選んだ道の先に運命的な出会いが待っていた。どこかの分岐路で別の道を選んでいたら当然その出会いは無かった。
を抜けて海岸沿いの道へ下りる坂の途中で進行方向の木に止まる野鳥の姿が見えた。こういう時には感覚が研ぎ澄まされているのか見た瞬間にチゴモズと直感した。頭頂から上が灰色で過眼線が太く黒い。改めてよく見てもやはり紛れも無くチゴモズだ(本頁1枚目の画像)。順光側に回ってもっと撮りたかったがクルーズ船の事が気になって早めに切り上げて宿に戻った。しかし波が高く無情にも欠航が決まっていた。安全の為には仕方がない。痛恨の極みだがウミガラスは諦めなければならない。しかし補って余りあると言っても過言ではない珍鳥は撮れた。ある意味クルーズ船さえ出れば数が少ないとは言え確実に居る事が分かっているウミガラスの撮影はそれほど難しくないかも知れない。むしろチゴモズの方が難易度が高い様に思う。以前レンジャーに聞いた話によればモズとは習性が異なり茂みの中から滅多に出て来ないらしい。近年個体数が激減しておりウミガラスと同じ絶滅危惧ⅠA類だ。チゴモズが撮れるなんてさすが天売島だなぁと思ったが後で現地のガイドに聞いたところによると何とチゴモズの記録は天売島では過去に1度しか無く(2008年に記録)今回でわずか2例目なのだそうだ。キャプションに記載した通り確かに図鑑によれば本州北部までしか分布しないはずの野鳥だ。稀な野鳥の稀な行動を目撃した訳で、天売島で10年ぶりの貴重画像となった。ここ数日ずっと島の周辺で非常に強い風が吹いていたのが渡りに影響したのかも知れない。天売島初記録は逃したがガイドも目を丸くして「えっ!?」と驚く珍鳥が天売島最終日に撮れて幸運だった。
クルーズ船が出ないからと言ってウミガラスを完全に諦めた訳ではない。また坂道を登って赤岩を目指した。ガイドによればウミガラスが海上に浮かぶ時は1列に並び白い体下面が目立つので肉眼でも判るとの事だった。展望台から1時間ほど海上に目を凝らしてその姿を探し求めたが天売島の繁殖個体は僅かなうえにこの時季はその半数が抱卵しており海上に出る者が更に少ないとの言葉通り無駄足だった。しかし自分に出来る限りのベストを尽くして駄目なら悔いは無い。帰りのフェリーの時間が近くなり宿に向かった。負けず嫌いの僕が天売島に宿題を残したということは・・・I shall return.(いつか「必ずここに戻って来る」ということだ)こうしてリピーターがまた一人増えるのだろう。
海岸沿いにはイソヒヨドリの姿が多かったが(画像は割愛)その中ににわかには信じ難い画像が有った。毛虫の様なものをくわえたアオハライソヒヨドリと思われる野鳥だ(本頁2枚目の画像)。撮影時は亜種イソヒヨドリと思い込んでいた。帰宅後画像を整理していて気付いたので現地ガイドに確認してもらうことが出来なかった。アオハライソヒヨドリは4年前に舳倉島で撮影したことが有るが今回は肝心のが一部しか見えていないので自信が無い。亜種イソヒヨドリなら一部にせよレンガ色が見えるはずだからどう見てもアオハライソヒヨドリとしか思えないが、いずれレンジャーに見てもらう機会が有れば否定されるかも知れないのでそれまでは「?」付きで載せざるを得ない。僕の認識では南方の島嶼部で観察される傾向が有る様に思うので、もしアオハライソヒヨドリで正解ならばそれこそ天売島初記録かも知れない。気になるところだ。
宿に戻って荷物をまとめ女将さんに港まで送って頂いた。あっと言う間の楽し過ぎる4日間だったがもう帰らねばならない。
もちろんフェリーのデッキから海鳥の撮影。ほんのわずかな確率だが航路上にウミガラスが居る可能性も有る。繁殖個体群は赤岩周辺にしか居ないそうだがそれ以外の個体が外洋に居ないとは断言出来ない。またウミガラスの陰で目立たないがウミスズメも天売島で繁殖しているはずなので忘れてはならない。しかし10時30分の出港後最初に見えたのはすっかりお馴染みとなったウトウだった。名残りを惜しむ様に見送りに来てくれた。もちろんそんなふうに見えたのは僕の心境なんだけど。今更ながら嘴基部の突起はどんな役に立っているのだろうか?
焼尻島に寄港した時テトラポットの上にヒメウが止まっていた。フェリーが接近しても逃げないので港に出入りする時が近距離から撮影するチャンスだ。ウミウと並んでいると明らかに小さいのですぐ判った。頭の羽が逆立っているのは生殖羽であって寝癖ではない。
鵜飼の鵜にはウミウが使われる。カワウと比べて体が大きいので深く潜れ性質が大人しいかららしい。似ている様で中身は違う野鳥なのだろう。ここには沢山いたが近畿圏では冬の海岸へ行かなければなかなか見られないので撮れる時に撮っておこうと思った。
画像は割愛するがこの他ケイマフリが見られたほか数羽のアオサギの隊列が海上を渡っていた。留鳥あるいは漂鳥とされる野鳥たちも渡りをしていて何の不思議も無い。

イソヒヨドリ:フォトギャラリー第312回他参照
ウミスズメ:フォトギャラリー第183回参照
カワウ:フォトギャラリー第367回他参照
ケイマフリ:フォトギャラリー第391回他参照
アオサギ:フォトギャラリー第365回他参照
モズ:初歩のバードウォッチング大きさの指標となる野鳥参照
類似種の識別:タカサゴモズとチゴモズ参照
分類:カツオドリ目 ウ科
全長:84.0cm
翼開長:133.0cm
分布:東北北部以北の太平洋側、九州北部以北の日本海側で留鳥、その他で冬鳥。
生息環境:海岸など。
食性:魚類。
フォトギャラリー:第391回他参照
撮影難易度:★★★☆☆
ウミウ
Japanese Cormorant
Phalacrocorax capillatus
撮影日:2018年6月4日
撮影時間:11時12分07秒
シャッタースピード:1/2500秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:北海道
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:カツオドリ目 ウ科
全長:73.0cm
翼開長:98.0cm
分布:本州以南で冬鳥、北海道で留鳥。
生息環境:沿岸、河川など。
食性:魚類など。
レッドリスト:絶滅危惧ⅠB類(EN)
フォトギャラリー:第110回参照
撮影難易度:★★★★☆
ヒメウ(生殖羽)
Pelagic Cormorant
Phalacrocorax pelagicus
撮影日:2018年6月4日
撮影時間:10時53分22秒
シャッタースピード:1/4000秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:北海道
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:チドリ目 ウミスズメ科
全長:38.0cm
翼開長:63.0cm
分布:東北地方南部以北で留鳥または夏鳥、それ以南で冬鳥。
生息環境:繁殖期は沿岸、冬季は沖合。
食性:魚類など。
フォトギャラリー:第388回参照
撮影難易度:★★★☆☆
ウトウ
Hornbilled (Rhinoceros) Auklet
Cerorhinca monocerata
撮影日:2018年6月4日
撮影時間:11時24分02秒
シャッタースピード:1/2500秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:北海道
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
撮影日:2018年6月4日
撮影時間:10時47分11秒
シャッタースピード:1/2000秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:北海道
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:スズメ目 ムシクイ科
全長:10.0~13.0cm
翼開長:20.5cm
分布:北海道で夏鳥、それ以外で旅鳥。
生息環境:平地~亜高山帯の林など。
食性:昆虫、蜘蛛、木の実など。
レッドリスト:情報不足(DD)
フォトギャラリー:第390回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
オオムシクイ
Kamchatka Leaf Warbler
Phylloscopus examinandus
撮影日:2018年6月4日
撮影時間:03時48分05秒
シャッタースピード:1/60秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:北海道
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:スズメ目 ヒタキ科
全長:21.0cm
翼開長:35.0cm
分布:迷鳥。
生息環境:海岸や河川の岩場、農地など。
食性:昆虫、爬虫類など。
フォトギャラリー:第301回参照
撮影難易度:★★★★★
アオハライソヒヨドリ(雄)
Blue Rock Thrush
Monticola solitaries pandoo
撮影日:2018年6月4日
撮影時間:06時42分11秒
シャッタースピード:1/1600秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:北海道
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:スズメ目 モズ科
全長:18.0cm
翼開長:25.0cm
分布:本州北中部などで稀な夏鳥。
生息環境:平地~山地の林など。
食性:昆虫など。
レッドリスト:絶滅危惧ⅠA類(CR)
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★★★
チゴモズ(雄)
Tiger Shrike
Lanius tigrinus
撮影日:2018年6月4日
撮影時間:05時09分01秒
シャッタースピード:1/800秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:北海道
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
チゴモズ アオハライソヒヨドリ オオムシクイ ウトウ ヒメウ ウミウ
第392回 2018年7月15日