大阪南港野鳥園での猛禽類2コマ。
ミサゴは数羽がすっかりここに居付いてしまい、シャッターチャンスには事欠かない。観察所からわずか数十メートルの所に止まって、長時間生態を見せてくれる事もある。この日も何匹かボラを捕まえて来ては空腹を満たしていた。めったに魚類以外を捕食しないミサゴの習性を知らない他の鳥たちが、警戒して寄り付かなくなるのではないかと、逆に勝手な心配をしないでもない。もっとも、最近この場所でカイツブリが捕食されたらしいので、自然界は計り知れない。しかも生きた獲物しか食べないと思っていたが、魚の屍肉を持ち去ろうとする姿も見られた。
この画は写真としても特徴的で、超望遠で被写界深度が極端に浅いため、翼開長の広いミサゴの両翼がその範囲外に出てしまっている。また、背景にはレフレックスレンズ特有のリング状のボケ味が出ている。その事で却って印象派の絵画の様な味が出た様に思う。
チュウヒは正月2日にここで撮影して以来、大阪では2度目の撮影となった。羽色の特徴から同一個体と判断した。低空をひらひらと舞う様に飛ぶチュウヒだが、この日はソアリングしながら数十メートルもの高さまで舞い上がった。タカ科には食べた物を一時的に蓄える「そのう」という器官が有り、獲物を食べた直後にはこの写真の様にが大きく膨らんで見える。このショットの1時間ほど前には、まだ「そのう」が膨らんでいない所を撮影したが、茂みの中に舞い降りて姿が見えなくなった後この様に膨らませて再び姿を見せたので、その時に地上付近にいた何かを捕食したのに違いない。
さりげなく去年の暮れには米子でも撮影できたチュウヒだが、絶滅危惧ⅠB類の希少な種だ。大阪では繁殖地だった埋立地に最近大きな工場が出来てしまい、生息域が狭められたと言われている。もともと工場用地だったのだろうが、せっかくの生息環境が奪われて複雑な気持ちだ。現に米子水鳥公園の場合は、農業団地として造成された所に野鳥が集まった事から、予定を変更して出来た公園だと聞いた。経済活動も大事だが、結果を見れば大英断だったと思う。まして大阪の場合は米子より都市化が激しいので、大阪南港野鳥園だけでは野鳥たちに充分な広さとは言えない。そういう視点で都市計画をもう少し見直せないものだろうか。
分類:タカ目 タカ科
全長:52.0cm
翼開長:113.0cm~137.0cm
分布:全国で冬鳥。
生息環境:草原、農耕地など。
食性:小型哺乳類、両生類、鳥類など。
レッドリスト:
絶滅危惧ⅠB類(EN)
フォトギャラリー:第57回
撮影難易度:★★★★☆
チュウヒ
Eastern Marsh Harrier
Circus spilonotus
撮影日:2011年2月16日
撮影時間:12時46分55秒
シャッタースピード:1/320秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:400
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:タカ目 タカ科
全長:雄54.0cm 雌64.0cm
翼開長:155.0~175.0cm
分布:北海道から沖縄で留鳥。
生息環境:河川、海岸、湖岸。
食性:魚類。
レッドリスト:
準絶滅危惧(NT)
フォトギャラリー:第22回第33回第34回参照
イラストギャラリー:第2号参照
撮影難易度:★★★★☆
ミサゴ
Osprey
Pandion haliaetus
撮影日:2010年10月19日
撮影時間:14時11分19秒
シャッタースピード:1/80秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:200
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
ミサゴ チュウヒ
第59回 2011年2月28日