特に望遠レンズは色収差が目立つ傾向が有る。これを軽減させる手段の一つとしてレンズの素材も開発されて来た歴史が有る。既に述べて来た様に低屈折率高分散ガラスは色収差を打ち消すレンズの素材として利用価値が高い。高分散な素材としては蛍石が有るが高価なうえに柔らかくて傷付きやすいなどの難点が有るから保護ガラス無しには最前部のレンズとしては使えないし研磨も難しい。異常分散ガラスは蛍石ほどではないが高分散で比較的安価で蛍石の様な難点も無い。上のグラフは通常の高分散ガラスや低分散ガラスと異常分散ガラスの波長ごとの屈折率の変化を(横軸に波長、縦軸に屈折率を取って)比較したもので通常の高分散ガラスと低分散ガラスを白線、異常分散ガラスを黄線で表している(高分散側をクルツ、低分散側をラングと言う)。F線とは青い光の波長(486.1nm)、C線とは赤い光の波長(656.3nm)を表している。
素材ごとの分散の生じる程度はアッベ数νd で表される。
νd=(nd ―1)÷(nF ―nC )
nd:黄色光の屈折率 nF:青色光の屈折率 nC:赤色光の屈折率
レンズの計算や測定では主に波長が真ん中付近の黄色光(d)や緑色光(e)が用いられる。そしてアッベ数では分散の程度が青色光(F)と赤色光(C)の屈折率の差で数量化されそれが分母にあるので屈折率差(グラフの曲線のF~C間の傾斜)の大きい素材ほどアッベ数νd が小さくなる。これを高分散と呼ぶ。波長(色)による屈折率の変化が大きいものは高分散、変化の小さなものは低分散だから例えば通常の低分散ガラス(L)を正レンズ、高分散ガラス(H)を負レンズとして色収差を補正しようとするとF線(青)とC線(赤)の2色で色収差がゼロになってもその中間や外側の波長(色)では収差(2次スペクトル)が残ってしまう。なぜなら高分散ガラス(H)がF線より短波長域(グラフでは左側)の屈折率変化のカーブがきつくなるため色消し作用が過剰になりC線より長波長域(右側)では緩やかになるため補正不足になるからだ。つまり屈折率の変化と波長との相関関係に違いが有る(曲線のきつさに差が有る)ために補正しきれない2次スペクトルが生じる訳だ。異常分散ガラスや蛍石は通常のガラスとは異なる傾向を持つので負レンズに使用すると波長域による正レンズとの差が生じにくい。従って上の例で言えば通常の低分散ガラス(L)を正レンズにするなら高分散側の異常分散ガラス(K)を負レンズとすれば変化の曲線が近いので概ね波長の全域にわたって収差を補正する事が可能になるはずだ。逆に低分散側の異常分散ガラス(A)を正レンズ、通常の高分散ガラス(H)を負レンズとしても同じ理屈だろう。最近の超望遠レンズでは蛍石を正レンズとしているものが有るが蛍石はνd が非常に高くnd が非常に低くてラング(A)の傾向を示す。ニコンのEDレンズなどは低分散なので異常分散ガラス(A)の一種と思われる(異常という言葉の響きが良くないからなのかカタログでは特殊低分散ガラスと説明されている)。
参考文献:小倉敏布「写真レンズの基礎と発展」朝日ソノラマ社1998年
連載企画;異常分散ガラス
繁殖期が近いせいかアカゲラの雌雄が追い掛けっこの様な行動を見せていた。追い掛けていたのは雄の方で雌は逃げ回っていた。あまりしつこくすると却って嫌われそうなものだが人間界の常識がそのまま野鳥に当てはまるかどうかは分からない。
上空ではトビ1羽が別の1羽に対してディスプレイの様な飛び方をしていてそれをまた別の1羽(画角外)がちょっと遅れて追い掛けていた。3羽の関係は雌雄も含めて不明だ。
足元ではベニマシコが1羽だけ残っていた。個人的には過去最も遅い終認は3月31日だからまだ居ても驚かないがめっきり数が減ったとは感じる。
そのすぐ後ヒガラの群れが異常に近い所にやって来た。逆光ながらわずか数メートルの至近距離だ。最近よくこういう嬉しい事が有るが仲間だと思ってくれているのかどんくさそうな奴だから大丈夫だと馬鹿にされているのかは分からない。
そしてその翌日は日頃警戒心の強いソウシチョウの群れが割と見える所に止まってくれた。外来種だが完全に野生化しておりビジュアル的には映えるので撮らない手は無い。
分類:スズメ目 チメドリ科
全長:15.0cm
翼開長:21.0~24.0cm
分布:本州、四国、九州などで留鳥。外来種。
生息環境:高山~低山の林、藪など。
食性:昆虫、果実、種子など。
指定:
特定外来生物
フォトギャラリー:
第612回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
ソウシチョウ
Red-billed Leiothrix
Leiothrix lutea
撮影日:2021年3月19日
撮影時間:09時27分33秒
シャッタースピード:1/500秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:スズメ目 シジュウカラ科
全長:11.0cm
翼開長:17.0cm
分布:九州屋久島以北で留鳥または漂鳥。
生息環境:山地の林など。
食性:昆虫、蜘蛛、種子など。
フォトギャラリー:
第625回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
ヒガラ
Coal Tit
Periparus ater
撮影日:2021年3月18日
撮影時間:09時46分52秒
シャッタースピード:1/1250秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:スズメ目 アトリ科
全長:15.0cm
翼開長:21.0cm
分布:北海道で繁殖。本州以南で冬鳥。
生息環境:平地~山地の草原、林など。
食性:木の実、種子、昆虫など。
フォトギャラリー:
第623回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
ベニマシコ(雌タイプ)
Long-tailed Rosefinch
Uragus sibiricus
撮影日:2021年3月18日
撮影時間:09時28分06秒
シャッタースピード:1/640秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:タカ目 タカ科
全長:雄58.5cm 雌68.5cm
翼開長:157.0~162.0cm
分布:九州以北で留鳥。
生息環境:海岸~山地の農地など。
食性:魚類、爬虫類、両生類、昆虫などの主に屍肉。
フォトギャラリー:
第585回他参照
撮影難易度:★☆☆☆☆
トビ
Black Kite
Milvus migrans
撮影日:2021年3月18日
撮影時間:09時38分02秒
シャッタースピード:1/4000秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:キツツキ目 キツツキ科
全長:24.0cm
翼開長:38.5cm
分布:九州以北で留鳥。
生息環境:平地~山地の林。
食性:昆虫、幼虫、木の実など。
フォトギャラリー:
第605回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
アカゲラ(上=亜種アカゲラ・雌、下=同雄)
Great Spotted Woodpecker
Dendrocopos major hondoensis
撮影日:2021年3月18日
撮影時間:08時53分03秒
シャッタースピード:1/3200秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
アカゲラ トビ ベニマシコ ヒガラ ソウシチョウ 異常分散ガラス
第632回 2021年4月1日