秋の渡りと言えば大阪南港野鳥園は小まめにチェックしておかねばならない。先日識別の難しい写真を撮ってしまったので野鳥ガイドに画像を見てもらう目的も有ったし、丁度いろんな所用が重なったので大阪市内に出掛ける事にした。例によって干潮と台風一過が重なったタイミングも良かった。お陰でシギチの姿は少なくなかったが猛禽が飛ぶと一気に蹴散らされてしまう。チュウヒが飛んだ時も多くのシギチが一斉に飛び立ったが死角に隠れていたものまで姿を現してくれて却って都合が良かった。そして何よりチュウヒ自体も僕にとっては大事な被写体だ。キャプションの通り冬鳥だがごく少数が大阪などでも繁殖しているらしくこの時季でも見られる事が有る。もっともこの個体が日本の繁殖個体か大陸から渡来したものかはチュウヒに聞いてみた訳ではないので不明だ。
チュウヒが飛んでからしばらくして干潟の野鳥たちが落ち付いて来るとオオソリハシシギが近くにやって来た。近くと言っても100mくらいの距離が有ったし逆光だったから画質は良くない。しかし水面のグラデーションが綺麗で絵になった。こうして見ると奥のアオアシシギも嘴の長さを無視すればオオソリハシシギと大きさがさほど変わらない様に見える。
この日はソリハシシギの小さな群れも居て干潟が賑わっていた。画面右の個体は肩羽の辺りに黒線が有る様に見えるので夏羽、左の個体はその線がはっきりしないので冬羽に移行中か幼鳥と思われる。
この日はヨーロッパトウネンも居たそうだが僕は確認出来なかった。個人的には過去2度撮影しているので特に強いこだわりは無く他に所用が有ったので今回は撮影を諦めて早々に切り上げた。
実はこの日最初に見たのは河川敷のイカルチドリだった。コチドリ幼鳥との識別が難しいが羽を広げた他のカットで翼帯状の紋様が写っていたし、この川では過去に度々イカルチドリを撮影しているのでイカルチドリ幼鳥と判断した(フォトギャラリー第158回他参照)。この保護色だから砂利の中でじっとしていたら見つけられなかった筈だがもう1羽別のチドリらしき(イカルチドリかどうかは不明)が居てこの個体が追い払っていたので見つける事が出来た。折角見つけてもうっかりするとすぐに見失ってしまうほど完璧無比な保護色だ。いつも悩まされるが保護色だから絵的にも輪郭のはっきりしないものになりがちだ。

ヨーロッパトウネン:フォトギャラリー第89回他参照
コチドリ:フォトギャラリー第54回参照
初歩のバードウォッチング:色彩・斑紋参照
類似種の識別:イカルチドリとコチドリ参照
分類:チドリ目 チドリ科
全長:21.0cm
翼開長:45.0cm
分布:九州以北で留鳥または漂鳥。
生息環境:河川、水田など。
食性:昆虫など。
フォトギャラリー:第158回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
イカルチドリ(幼鳥?)
Long-billed Plover
Charadrius placidus
撮影日:2017年9月18日
撮影時間:07時17分25秒
シャッタースピード:1/200秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:チドリ目 シギ科
全長:23.0cm
翼開長:57.0~59.0cm
分布:全国で旅鳥。
生息環境:水田、河川、干潟など。
食性:甲殻類、昆虫など。
フォトギャラリー:第249回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
ソリハシシギ
Terek Sandpiper
Xenus cinereus
撮影日:2017年9月18日
撮影時間:13時07分36秒
シャッタースピード:1/320秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:チドリ目 シギ科
全長:39.0cm
翼開長:70.0~80.0cm
分布:全国で旅鳥。
生息環境:海岸、干潟、河口など。
食性:ゴカイ、貝類、甲殻類など。
レッドリスト:絶滅危惧Ⅱ類(VU)
フォトギャラリー:第249回他参照
撮影難易度:★★★☆☆
オオソリハシシギ(手前)
Bar-tailed Godwit
Limosa lapponica
撮影日:2017年9月18日
撮影時間:13時46分37秒
シャッタースピード:1/400秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:タカ目 タカ科
全長:52.0cm
翼開長:113.0cm~137.0cm
分布:全国で冬鳥。
生息環境:草原、農耕地など。
食性:小型哺乳類、両生類、鳥類など。
レッドリスト:絶滅危惧ⅠB類(EN)
フォトギャラリー:第256回他参照
撮影難易度:★★★☆☆
チュウヒ
Eastern Marsh Harrier
Circus spilonotus
撮影日:2017年9月18日
撮影時間:13時22分53秒
シャッタースピード:1/320秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
チュウヒ オオソリハシシギ ソリハシシギ イカルチドリ
第319回 2017年9月30日