三列風切の外縁が白い
明らかな翼帯が2本見え翼帯の間と次列風切の基部が暗色(矢印のところ)
薄い頭央線
拡大写真;キマユムシクイ同定の根拠
漁師の世界では「頼まれた魚は捕れない」と言われるそうだ。期待されて狙った魚は獲れないという様な意味らしい。同じ事がバードウォッチングについても言えるなぁとつくづく思う。狙った野鳥は撮れない事が多く考えてもなかったものが撮れたりする。この日も他の野鳥たちを狙ってこの時季よく行くポイントへ行ったら狙った野鳥たちの出は今一つで思いがけない大物がゲット出来た。最初はエナガの群れにシジュウカラやコゲラが混ざっている混群が現れ何か混ざっているかなと思って観察していたらムシクイが見えたので咄嗟に撮影した。混群に混ざっていたというより元々茂みに潜んでいたところ混群に誘われて出て来たのかも知れない。撮影時はメボソムシクイっぽいなと思ったが後で画像を拡大して見て「あっ!」と驚いた。何と見まごうこと無きまさかのキマユムシクイではないか!やはり自分で発見した珍鳥は喜びもひとしおだ。キマユムシクイそのものは舳倉島で嫌と言うほど見ているからこの同定には自信が有る。激レアな珍鳥がひしめく舳倉島にあっては特に珍しい野鳥という訳ではないが大阪でとなると話は別で個人的には2012年早春の大阪南港野鳥園でのお祭り騒ぎで撮影して以来6年半ぶりだ(フォトギャラリー第79回参照)。キマユムシクイにはムシクイの中では比較的判りやすい特徴が有る。モノがモノだけにこれは本当にキマユムシクイか?という疑問に答えるため念のため同定の根拠を示しておくとまず1枚目と2枚目に明らかな翼帯が2本見える事、2本の翼帯の間と次列風切の基部が暗色な事、3枚目に辛うじて写っている様に三列風切の外縁が白い事など。特に最後の特徴(V字に見えている白線)は決定的でこの特徴はキマユムシクイと更に珍しいカラフトムシクイに特有の識別点だ。言わば証拠写真は証拠写真でも動かぬ証拠写真だ(下記拡大写真参照)。1枚目にかすかに見える頭央線が薄いのでカラフトムシクイではない。カラフトムシクイなら頭央線が明瞭なのでこれはキマユムシクイという結論だ。ここは3年前シマノジコ雌を撮影した正にその場所でその時の木から10歩と離れていない(フォトギャラリー第231回参照)。わざわざ遠方へ出掛けなくても大阪でも珍鳥と出会うチャンスは有る。特にこのポイントは不思議なパワースポットと言うしかない。とは言え見ての通り絵ヅラが良くないので翌日以降もキマユムシクイ1本狙いで見に行った。前述の大阪南港野鳥園ではかなり長期間滞在していた様だし数年前は大阪城で越冬した個体も居たらしいからここにもまだ居る可能性はある。しかし既に抜けてしまったのかその姿は二度と見られず「頼まれた魚」状態で今日に至っている。

エナガ:フォトギャラリー第266回他参照
シジュウカラ:フォトギャラリー第280回他参照
コゲラ:フォトギャラリー第292回他参照
メボソムシクイ:フォトギャラリー第234回他参照
類似種の識別:キマユムシクイとヤナギムシクイ参照
分類:スズメ目 ムシクイ科
全長:10.5cm
翼開長:不祥
分布:主に南西諸島で稀な旅鳥。
生息環境:林など。
食性:昆虫、蜘蛛。
フォトギャラリー:第382回他参照
撮影難易度:★★★★☆
キマユムシクイ
Yellow-browed Warbler
Phylloscopus inornatus
撮影日:2018年10月03日
撮影時間:11時31分49秒
シャッタースピード:1/500秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
撮影日:2018年10月03日
撮影時間:11時31分37秒
シャッタースピード:1/320秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
撮影日:2018年10月03日
撮影時間:11時31分34秒
シャッタースピード:1/400秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
キマユムシクイ キマユムシクイ同定の根拠
第410回 2018年10月15日