ジムグリ(幼体)
アオダイショウ
余録;
ヒバリを撮影した時ふと思った。バードウォッチングはスキーやゴルフなど他の趣味と比べると単なる趣味という枠の中にくくれない奥深さを備えている。比較の為に例を挙げたが僕にとってはスキーやゴルフも趣味の一つだから悪意を持たず客観的に比較出来る(最近は足が遠退いているが)。スキーは滑っている時は爽快で心身がリフレッシュ出来るが個人的に上達するという達成感の他には後に何も残らない(一時的にシュプールは残るが)。ゴルフも社交の場としては有益だがゴルフそのものはスコアの他には何も残らない(ロストボールは池の底とかに残っているが)。いずれの世界にもプロは存在するが趣味として見ると何かを残すのは難しい。しかも人間が作ったルールの中だけの世界だ。どちらの趣味も好きだから否定するつもりは無いが僕にとっては息抜き以上のものではない。因みに恥ずかしながらゴルフの自己ベストは93、雪国に6年間住んでいたことが有るのでスキーはカービングでなくてもパラレル・ウェーデルンくらいは滑れるが検定を受けたことは無い。関係無いけどボウリングの自己ベストは198。これらのレジャーに対し野鳥を含めた野生界は誰かが用意した訳ではなく自然界が作った深遠なルールに支配されていて未だ人知の及ばない世界だ。野鳥の生態には未解明の部分が多くアマチュアカメラマンであっても新たな知見を得る可能性が有る。最近述べた生物多様性とも関連する話だが野鳥種の中には既に人間の役に立っているものも居る(フォトギャラリー第364回参照)。無音で飛ぶ能力を備えたフクロウの初列風切羽のセレーション(ギザギザ構造)は500系新幹線のパンタグラフに応用され騒音の低減に役立っているし水中に突入するカワセミの嘴は先頭形状のデザインに生かされているという(フォトギャラリー第56回参照)。いずれどこかの野鳥ファンの新発見が世の中の役に立つ日が来るかも知れない。また野鳥を撮影するカメラマンはアマチュアと言えどもシャッターを切った瞬間に知的財産を生産していると考える事も出来、得られた画像はずっと残る。たかがヒバリの画像と言えどもこの画像を自由に扱う正当な権利を持っているのは世界中で僕一人なのだ。
カメラやレンズにこだわり出すとキリが無いが僕の場合さほど高価な機材は使っていないしゴルフなどと比べるとランニングコストが安い。近場へ歩いて行くぶんにはリフト代やらプレーフィーを取られることも無い。ポーズを取ってくれている野鳥たちに撮影交渉をする必要もギャラを払う必要も無い。
1週間後イカルを撮影したのは見ての通り林の中だ。この趣味はトレッキングや森林浴を兼ねていて健康にも良い。森林浴には樹木が発散するフィトンチッドという物質が関係している。これは植物が細菌やカビから身を守る為の防御物質で殺菌作用が有り、吸引すると人体内のナチュラルキラー細胞が活性化し免疫機能が向上するという。また歩くという行動は脳細胞の働きを高め認知症予防に効果が期待出来ることも分かって来ているのだとか。
この日飛んだノスリは初列風切が換羽中だ。ノスリは大阪ではごく少数が繁殖しているに過ぎず過去の個人的な記録を紐解くと10月から3月に集中しており冬鳥の傾向が強いと思われる。去年5月26日撮影の在庫画像(2枚目)が繁殖個体と思われる唯一の画像で(こちらも初列風切などが換羽中)、今回撮影(1枚目)の4月26日というのは繁殖個体かどうかは微妙な時季だ。

フクロウ:フォトギャラリー第291回他参照
カワセミ:フォトギャラリー第357回他参照
初歩のバードウォッチング:季節移動参照
分類:タカ目 タカ科
全長:雄52.0cm 雌57.0cm
翼開長:122.0~137.0cm
分布:北海道~四国で留鳥。その他で冬鳥。
生息環境:平地~亜高山の林。
食性:小型哺乳類など。
フォトギャラリー:第361回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
ノスリ
Common Buzzard
Buteo buteo
撮影日:2017年5月26日
撮影時間:12時18分52秒
シャッタースピード:1/1000秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
撮影日:2018年4月26日
撮影時間:09時32分58秒
シャッタースピード:1/1600秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:スズメ目 アトリ科
全長:23.0cm
翼開長:33.0cm
分布:九州以北で留鳥または漂鳥。
生息環境:平地~山地の林など。
食性:草木の種子など。
フォトギャラリー:第334回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
イカル
Japanese Grosbeak
Eophona personata
撮影日:2018年4月26日
撮影時間:09時20分09秒
シャッタースピード:1/1250秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:スズメ目 ヒバリ科
全長:17.0.cm
翼開長:32.0cm
分布:東北以北で夏鳥、南西諸島で冬鳥、その他で留鳥または漂鳥。
生息環境:農耕地、草原など。
食性:種子、昆虫、蜘蛛など。
フォトギャラリー:第356回参照
撮影難易度:★★☆☆☆
ヒバリ
Eurasian Skylark
Alauda arvensis
撮影日:2018年4月19日
撮影時間:時分秒
シャッタースピード:1/1250秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:京都府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
ヒバリ イカル ノスリ アオダイショウ ジムグリ
第371回 2018年5月3日