第一趾(後趾)が有る
拡大写真;ダイゼン同定の根拠
②腋羽が黒い(下もダイゼン)
①腋羽が黒い(動画から切り取った画像)
余録;ダイゼン同定の根拠
今回は前回と同日の大阪南港野鳥園で見られた野鳥たち。この日はダイゼンが展望塔足元の石の上に乗ってくれた(本種1枚目・2枚目)。その色味からムナグロだろうという意見が強く僕もなかなか確証が得られなかったが羽を広げた瞬間ムナグロとの識別点の腋羽が黒いのが見えてダイゼンとの確信を得た(下記余録①参照)。しかも至近距離だったので小さくてなかなか見えない第一趾もどうにか撮れた(下記拡大写真参照)。第一趾は非常に小さいので(多分数ミリ)余程条件が揃う幸運でも無ければ永久に撮れないだろうと思っていたが今回奇跡的なチャンスに恵まれた。しかも現場では手応えが無く帰宅後撮影データを血まなこになって探したらたった1枚これが見つかった。チドリ科でこれが有るのはダイゼンとケリ、タゲリだけ。他のチドリはムナグロも含め第一趾が無い三趾足だ。動かぬ証拠とはこの事だ。この後一旦ロストしてから再び足元に来た個体(本種3枚目)も同一個体かどうかが不明なので辛抱強く観察していたら腋羽が見えてダイゼンと同定出来た(下記余録②参照)。ムナグロの様な色味なのは幼鳥だからと思われる。雰囲気だけでムナグロと判断していたらそのままになるところだった。誰かがこうだと言えば益々そうだと思い込んで見てしまう。最近よく似た色味のムナグロが居たので余計に話をややこしくした様だ(フォトギャラリー第578回参照)。とかく先入観が人心を惑わす。ところで同じチドリ科の中で何故ダイゼン、ケリ、タゲリだけに第一趾が有るのだろうか。初めにチドリ科共通の祖先の第一趾が退化してからダイゼンなどが分化したのならダイゼンにも無い筈だ。つまりチドリ科の祖先には第一趾が有ったはずでありムナグロやダイゼンに分化した後にダイゼン、ケリ、タゲリ以外のチドリの第一趾が個々に退化したはずだ。つまりこれはよく似た環境に居る者はよく似た形態に進化する収斂進化の一種と思われる(フォトギャラリー第438回参照)。と言う事はダイゼンの第一趾も退化傾向にあるとも考えられる。現に第一趾の無い個体も居ると言われるし有っても接地しない痕跡程度の小さな趾でありもはや不要のものだろうからだ。
コアオアシシギも居たが小さいうえに近くまで来てくれず何とかこの画像だ。同定の限界ぎりぎりだ。周りに写り込んでいるのはアオアシシギで、こうして並んでくれなければもっと識別が困難だっただろう。都合良くアオアシシギが近くに居ない時はアカアシシギなど他のシギを指標(モノサシ)にするというのも手だ。例えばアカアシシギより小さければアオアシシギのはずは無いと判る訳だ。
チュウシャクシギも数羽居たが姿を見せても何故かすぐに葦原の死角に入ってしまいシャッターチャンスは少なかった。しかし今回のメンバーの中では際立って大型なので近くに来た時はそれなりの迫力が有った。
最後のアカアシシギは最近ここに居着いている個体で、怪我しているらしくずっと足を引きずって歩いている。どこで怪我したのか分からないがそれでも生き残っているのだから野鳥の生命力は凄いなぁと感心する。
ところでシギたちは警戒時よく首を上下に振る動作をする。以前レンジャーに聞いた話ではこれは物を立体視する為であり対象物との距離感を正確に測る為だとの事だ。顔の両側に眼が付いているから通常は立体視が出来ないが首を上下させる事により片方の眼だけで立体視に近い効果が得られる理屈だ。両目が前を向いている猛禽類などが首を前に向けたまま横にスライドさせる動作も同様で、特に遠くに有る物を単に両目で見るより更に正確に立体視する事が出来ると考えられる。
ムナグロ:フォトギャラリー第578回他参照
ケリ:フォトギャラリー第567回他参照
タゲリ:フォトギャラリー第445回他参照
アオアシシギ:フォトギャラリー第574回他参照
初歩のバードウォッチング:足(脚)の形参照
類似種の識別:アオアシシギとコアオアシシギ・ダイゼンとムナグロ参照
YouTube動画:ダイゼンⅢ・コアオアシシギ参照
分類:チドリ目 シギ科
全長:28.0cm
翼開長:50.5cm
分布:全国で旅鳥。北海道で夏鳥。
生息環境:湿地、水田、干潟など。
食性:甲殻類、貝類、昆虫など。
レッドリスト:
(VU)
フォトギャラリー:
第577回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
アカアシシギ
Common Redshank
Tringa totanus
撮影日:2020年9月3日
撮影時間:14時02分22秒
シャッタースピード:1/250秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
撮影日:2020年9月3日
撮影時間:14時01分44秒
シャッタースピード:1/250秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:チドリ目 シギ科
全長:42.0cm
翼開長:76.0cm~89.0cm
分布:全国で旅鳥。
生息環境:海岸、干潟、農耕地など。
食性:カニ、カエル、昆虫など。
フォトギャラリー:
第476回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
チュウシャクシギ
Whimbrel
Numenius phaeopus
撮影日:2020年9月3日
撮影時間:12時52分12秒
シャッタースピード:1/400秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:チドリ目 シギ科
全長:24.0cm
翼開長:55.0~59.0cm
分布:全国で旅鳥。
生息環境:水田、河川、干潟など。
食性:幼虫、甲殻類、魚類など。
フォトギャラリー:
第400回他参照
撮影難易度:★★★☆☆
コアオアシシギ(上中央、中手前、下中央)
Marsh Sandpiper
Tringa stagnatilis
撮影日:2020年9月3日
撮影時間:11時03分52秒
シャッタースピード:1/500秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
撮影日:2020年9月3日
撮影時間:11時02分57秒
シャッタースピード:1/250秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
撮影日:2020年9月3日
撮影時間:11時00分25秒
シャッタースピード:1/500秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:チドリ目 チドリ科
全長:29.0cm
翼開長:59.0cm
分布:全国で旅鳥または冬鳥。
生息環境:干潟、河口など。
食性:ゴカイ、甲殻類、昆虫など。
フォトギャラリー:
第574回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
ダイゼン(幼鳥と思われる)
Grey Plover
Pluvialis squatarola
撮影日:2020年9月3日
撮影時間:12時15分57秒
シャッタースピード:1/400秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
撮影日:2020年9月3日
撮影時間:11時26分22秒
シャッタースピード:1/320秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
撮影日:2020年9月3日
撮影時間:11時20分43秒
シャッタースピード:1/500秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
ダイゼン コアオアシシギ チュウシャクシギ アカアシシギ ダイゼン同定の根拠
第584回 2020年9月19日