大阪でも2日間あればこれだけの野鳥が撮影可能だ。
アメリカヒドリは独立した種であり、ヒドリガモの亜種ではない。異種間で交雑した雑種には繁殖能力が無い事により種が保たれているが、カモ科においては異種間雑種にも繁殖能力が有る事が知られている。それに加えてアメリカヒドリは北米の他、かなりの数がアジアにも分布しており他種との交雑個体が多く、過去に何度か惑わされた事が有る。腋羽が白ければ純血で、ハイブリッドならくすんでいるそうだ。この写真では脇羽が見えないので決定的な判断は出来ないが、プロの見立てによればこの個体は「いい感じ」だそうだ。河川敷を歩いていて偶然ヒドリガモの小群の中に発見した。後日、同一と思われる個体を再度撮影し脇羽が白っぽいのを確認したので、100パーセントの確証は無いものの、ほぼ純粋なアメリカヒドリに間違いなかろうと判断した。
同じ日、キクイタダキはシジュウカラやエナガの混群の中に居た。去年の暮れには撮影のチャンスを生かし切れなかったが、今回は完璧に菊を捉えた。何とも不思議な紋様だ。ここ半年ほど内陸の公園などでも頻繁に観察出来ているので今後も撮影のチャンスは有るだろう。キクイタダキは他種と混群になっている事が多い様なので、シジュウカラなどの群れを見つけたら、ひときわ小さい小鳥がホバリングしながら虫をフライングキャッチなどしていないか注意して見ておいた方が良い。
翌日は大阪南港野鳥園でハイタカとハイイロチュウヒを見た。ハイイロチュウヒは、この日サービス良く、数分間にわたって飛び回ってくれた。雌もしくは幼鳥だ。
ハイタカの方はほんの一瞬姿を見せただけで、いつもの事ながらシャッターチャンスはわずか数秒しか無かった。目の前を横切った一瞬を捉えたが、この時たまたま横に座っていた人はミラーレスを構えていて、同じチャンスを逃していた。そもそも最初から飛び姿を諦めている様子だった。少しミラーレスのファインダーを覗かせてもらったが、ファインダー内にモニター映像を映す方式なので、一眼レフの様に光学的にダイレクトなファインダー像ではなくて、微妙にタイムラグが有り、一瞬のシャッターチャンスには向かないと感じた。シビアな野鳥撮影のジャンルでは、今後の改良により、このタイムラグを限りなくゼロに近付けなければ、ミラーアップによるブラックアウトが無いというメリットを生かし切れないだろう。鳥の飛び姿を諦めてしまったら、多くのシャッターチャンスを逃してしまう事になる。今回は特に動きの激しい被写体が多かったので、いつも以上に一眼レフのメリットを強く感じた。

類似種の識別:アメリカヒドリとヒドリガモ参照
初歩のバードウォッチング:撮影参照
分類:タカ目 タカ科
全長:雄32.0cm 雌39.0cm
翼開長:60.0~79.0cm
分布:本州以北で留鳥または冬鳥。
生息環境:森林、農耕地。
食性:鳥類、小型哺乳類など。
レッドリスト:
準絶滅危惧(NT)
フォトギャラリー:第30回第43回第70回参照
撮影難易度:★★★★☆

ハイタカ
Eurasian Sparrowhawk
Accipiter nisus
撮影日:2013年1月5日
撮影時間:13時25分44秒
シャッタースピード:1/160秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:200
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:タカ目 タカ科
全長:雄43.0cm 雌53.5cm
翼開長:98.5cm~123.5cm
分布:全国で冬鳥。
生息環境:草原、農耕地、河川など。
食性:両生類、鳥類、小型哺乳類など。
フォトギャラリー:第37回第57回第76回第93回参照
撮影難易度:★★★★☆
ハイイロチュウヒ
Hen Harrier
Circus cyaneus
撮影日:2013年1月5日
撮影時間:12時49分26秒
シャッタースピード:1/125秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:200
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:スズメ目 ウグイス科
全長:10.0cm
翼開長:14.9cm
分布:九州以北で留鳥または漂鳥。
生息環境:平地~山地の針葉樹林など。
食性:昆虫、蜘蛛など。
フォトギャラリー:第95回参照
撮影難易度:★★★☆☆
キクイタダキ
Goldcrest
Regulus regulus
撮影日:2013年1月4日
撮影時間:11時49分32秒
シャッタースピード:1/200秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:200
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:カモ目 カモ科
全長:48.0cm
翼開長:82.0cm
分布:全国で稀な冬鳥。
生息環境:湖沼、河川、湿地、水田、干潟など。
食性:種子、青草など。
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★★☆
アメリカヒドリ(雄)
American Wigeon
Anas americana
撮影日:2013年1月4日
撮影時間:11時01分05秒
シャッタースピード:1/80秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:200
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
アメリカヒドリ キクイタダキ ハイイロチュウヒ ハイタカ
第102回 2013年2月20日