今季の舳倉島ではトケン類(※)が良く飛び回っていた。彼らは高い木の上の方に止まっていて声はすれどなかなか姿が見えないから飛び物を狙うに限る。とは言えこの時カッコウは上空を飛んでいた訳ではなく突如目の前を横切ったので駄目もとで闇雲にシャッターを切ったらたまたま撮れていた。その時はハイタカか何かだと思ったが後から画像を見たらトケンだった。ホトトギスなどとは下尾筒や体下面の横斑で識別する。図鑑によればカッコウは下尾筒に黒い横斑が有るが細くて小さく少なく見える。腹の横斑は11から13本。初列風切の横斑が密に有る。ツツドリは下尾筒に黒い横斑が最もはっきり有る。腹の横斑は9から11本。初列風切の横斑はカッコウに似る。ホトトギスは下尾筒に横斑がわずかしか無くほとんど見えない。腹の横斑は約11本。初列風切の横斑はカッコウほど多くない。今回はカッコウもホトトギスも横着してレンジャーに同定してもらった。ホトトギスも撮影時はタカが飛んでいるみたいに見えた。
なおカッコウ科は托卵する事が知られているが世界的には130種のうち托卵するのは4割ほどの種に過ぎない。日本に普通に渡来するものは全て托卵性でありカッコウはモズ、アカモズ、ホオジロ、アオジ、オオヨシキリなどに、ツツドリはセンダイムシクイなどに、ジュウイチはコルリ、オオルリ、コマドリなどに、ホトトギスはウグイスなどに托卵する。舳倉島には彼らの好物の毛虫が多いらしく渡りの中継地になっているものと思われる。
(※)トケン:カッコウ科の俗称。ホトトギスを漢字で「杜鵑」などと表記するのでこれを音読みしたもの。
ハイタカ:フォトギャラリー第270回他参照
ホオジロ:フォトギャラリー第16回参照
アオジ:フォトギャラリー第281回他参照
オオヨシキリ:フォトギャラリー第79回参照
センダイムシクイ:フォトギャラリー第289回他参照
コルリ:フォトギャラリー第185回他参照
オオルリ:フォトギャラリー第288回他参照
コマドリ:フォトギャラリー第287回他参照
ウグイス:フォトギャラリー第288回他参照
初歩のバードウォッチング:色彩・斑紋参照
舳倉島MAP参照
分類:カッコウ目 カッコウ科
全長:28.0cm
翼開長:46.0cm
分布:全国で夏鳥。
生息環境:平地~山地の林など。
食性:幼虫など。
フォトギャラリー:
第243回他参照
撮影難易度:★★★☆☆
ホトトギス
Lesser Cuckoo
Cuculus poliocephalus
撮影日:2017年5月14日
撮影時間:13時05分22秒
シャッタースピード:1/1250秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
分類:カッコウ目 カッコウ科
全長:35.0cm
翼開長:57.0~64.0cm
分布:九州以北で夏鳥。
生息環境:山地の林など。
食性:幼虫など。
フォトギャラリー:
第200回他参照
撮影難易度:★★★☆☆
カッコウ
Common Cuckoo
Cuculus canorus
撮影日:2017年5月17日
撮影時間:12時38分30秒
シャッタースピード:1/2000秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
カッコウ ホトトギス
第297回 2017年6月3日