去年の暮頃から撮り始めた「大阪の野鳥」も、早いもので1年が経とうとしている。思えばオオタカに始まりオオタカで締めた様な1年間だった。ひたすらオオタカを追い求めた結果、登場する野鳥はどうしても山地に生息するものに限られた。だが季節もほぼ一巡した事だし、最近は平地の河川などにも足を向ける様にしている。その結果、ここ1ヶ月程の間にサギ科、シギ科、チドリ科などの野鳥を撮影する事が出来た。ところが驚いた事に、ここにもオオタカが居たのである。信じ難い事だが人口密集地の大阪平野にも、こういった猛禽類が生息しているのだ。
この1週間前にも同一と思われる個体を撮影したが、その時は距離があったのでハイイロチュウヒの雌かと思った。たまたまカラスの群れからモビング(擬似攻撃)を受けていたが、カラスの騒ぐ声に気が留まらず迂闊にも気付かずに歩いていたら、はるか前方にいた人が上空を見上げていたので異変に気付き、ハッとして見上げたらちょうど僕の真上付近にいた。危うく見逃すところだったが、様々な偶然に助けられた。カラスが騒いでいるのを聞いて上空を見上げるとは、きっとあの御仁も野鳥ファンに違いない。それはさておき、今回はピンボケで手ブレしたとは言えアップで撮影出来て、オオタカの幼鳥と判明した。
さて、先日予想外の山地で目撃したミサゴだが、今回は想定通り平地の河川で観察出来た。河川敷に降りて捕らえて来た魚を食べたりカラスに横取りされたり、距離はあったが長時間にわたって面白い生態を見せてくれた。最も接近したところを撮影したら、どうにか絵になった。付近にはカワウの大群もいたが、ミサゴが魚しか捕食しない事を知っているのか、少しも逃げる気配を見せなかった。ミサゴは翼が長く最も美しいタカと言う人もいるが、こうして他のタカと比べて見ると際立って翼の長い事が分かる。
これらの2羽は同じ河川敷で撮ったものだ。こうして掲載してみると動物園の様に猛禽類がいっぱい飛び回っている様な印象を持たれるかも知れないが、自然界のスケールは動物園よりも遥かに大きく行動半径も広いから、空間に対する存在比率は極めて疎である。ミサゴの行動半径は20キロにも達すると言われる程だ。このミサゴはオオタカを1回目に撮影した同じ日に撮影したが、各々のタカ同士の距離は何キロも離れていたし、オオタカは2度とも一瞬で飛び去ってしまった。居るかどうかも分からない野鳥を探して何キロも歩き、何時間も待った結果の一瞬なのであって、普通に空を見上げたからと言ってそう簡単にタカと出会える訳ではない。ただ、それでも僕の感覚的には猛禽類のラッシュ状態というイメージだ。何しろここは都会の真っ只中なのだから充分驚くに値する。
分類:タカ目 タカ科
全長:雄54.0cm 雌64.0cm
翼開長:155.0~175.0cm
分布:北海道から沖縄で留鳥。
生息環境:河川、海岸、湖岸。
食性:魚類。
レッドリスト:
準絶滅危惧(NT)
フォトギャラリー:第22回参照
イラストギャラリー:第2号参照
撮影難易度:★★★★☆
ミサゴ
Osprey
Pandion haliaetus
撮影日:2009年10月28日
撮影時間:15時21分19秒
シャッタースピード:1/2000秒
絞り値:F11.2
撮影モード:マニュアル
焦点距離:600mm(換算900mm)
ISO感度:1600
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon ED AF NIKKOR 70-300mm1:4-5.6D
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:タカ目 タカ科
全長:雄50.0cm 雌58.5cm
翼開長:105.0~130.0cm
分布:四国の一部、本州、北海道、九州で繁殖。留鳥。
生息環境:森林。都市植林。
食性:鳥類、両生類、小型哺乳類など。
レッドリスト:
準絶滅危惧(NT)
フォトギャラリー:第1回第12回第15回第24回第30回第32回参照
撮影難易度:★★★★☆
オオタカ(幼鳥)
Northern Goshawk
Accipiter gentilis
撮影日:2009年11月4日
撮影時間:12時13分09秒
シャッタースピード:1/1000秒
絞り値:F11.2
撮影モード:マニュアル
焦点距離:600mm(換算900mm)
ISO感度:1600
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon ED AF NIKKOR 70-300mm1:4-5.6D
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
オオタカ ミサゴ
第33回 2009年11月11日