帰りの船から往路では見られなかったオオミズナギドリが見られた。オオミズナギドリは日本の野鳥中最長寿の記録を保持している。2012年に保護されたオオミズナギドリが1975年に日本で標識された個体だった事が分かり、少なくとも36年8ヶ月生きた事が判明し、標識されたのが繁殖地であった事からその時点で4歳以上だったはずだから(孵化してから繁殖地に戻るのが早くて4年後とされる)足すと40歳以上と推定されたと言う。野鳥は自然界では長生き出来ないというのが常識みたいになっているが海鳥はおしなべて長生きとされる。
そのあと往路でも見られた常連のアカエリヒレアシシギがいくつかの小群に分かれて飛んでいた(画像は割愛)。
今季はいきなり2日間も足止めを食らってもうこのまま舳倉島には渡れず仕舞いになってしまうのではないかとさえ思えたが起きた事に何とか対処出来たし舳倉島では自分で見つけた野鳥たちが多く撮れたと自負している。

サシバ:フォトギャラリー第471回他参照
ハヤブサ:フォトギャラリー第474回他参照
ハイタカ:フォトギャラリー第474回他参照
アカエリヒレアシシギ:フォトギャラリー第471回他参照
初歩のバードウォッチング:バードウォッチングの心得色彩・斑紋参照

フォトギャラリー・レイアウト編
分類:ミズナギドリ目 ミズナギドリ科
全長:49.0cm
翼開長:120.0cm
分布:全国で漂鳥。
生息環境:海上、沿岸、沖合など。
食性:魚類、イカなど。
フォトギャラリー:第383回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
オオミズナギドリ
Streaked Shearwater
Calonectris leucomelas
撮影日:2019年5月12日
撮影時間:15時18分02秒
シャッタースピード:1/1600秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:400
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
帰りの船の時間にはまだ早かったが舳倉島港近くに戻ったら上空を大きな鳥が横切った。島での撮影を締めたのはハチクマだった。初列風切の翼先が黒くないので成鳥(幼鳥は黒く潰れる)、テールバンドが細く本数が多いので雌(雄はテールバンドが2本で太く次列風切などの後縁の横帯も太い)、タイプとしては暗色型と淡色型の間の中間型と思われる。初日のサシバに始まりハヤブサ、ツミ雌雄、ハイタカ、そしてハチクマと今回の舳倉島は猛禽が多かった。サシバと同様ハチクマも舳倉島では初めて見た。
分類:タカ目 タカ科
全長:雄57.0cm 雌61.0cm
翼開長:121~135cm
分布:北海道~九州で夏鳥。
生息環境:山地の森林。
食性:蜂などの昆虫、爬虫類、両生類、鳥類。
レッドリスト:準絶滅危惧(NT)
フォトギャラリー:第406回他参照
撮影難易度:★★★☆☆
ハチクマ(中間型雌成鳥と思われる)
Honey Buzzard
Pernis ptilorhynchus
撮影日:2019年5月12日
撮影時間:10時08分48秒
シャッタースピード:1/4000秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
そのあとカラフトムジセッカの現場へ行ってみたら愛想良くいろんなポーズを取ってくれた。モデルみたいに一つのポーズでひとしきり撮影するとまたポーズを変えてじっとしていてくれるというパターンを繰り返すサービスの良さだった。この他にもいろんなポーズが有るが枚数が多いので泣く泣く3枚に絞った。結局舳倉島に居た3日間ともカラフトムジセッカが撮れた。
判らないなりに一応識別点を確認しておこう。これらの画像を図鑑の記載と比較して判った事は眉斑の前方ではバフ色で太くぼやけ気味、後方では白っぽく細くて明瞭。体下面は汚白色でから下尾筒はバフ色味を帯び2枚目の画像でわずかに見えている様に下尾筒は黄色味が強い。足は明るめの肉褐色。
分類:スズメ目 ムシクイ科
全長:13.0cm
翼開長:不詳
分布:北海道から九州で少ない旅鳥または冬鳥。
生息環境:林、草地の藪など。
食性:昆虫、蜘蛛など。
フォトギャラリー:第473回参照
撮影難易度:★★★★☆
カラフトムジセッカ
Radde’s Warbler
Phylloscopus shwarzi
撮影日:2019年5月12日
撮影時間:08時48分14秒
シャッタースピード:1/3200秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
撮影日:2019年5月12日
撮影時間:08時44分46秒
シャッタースピード:1/2500秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
撮影日:2019年5月12日
撮影時間:08時43分57秒
シャッタースピード:1/3200秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
気配のする方を見ていると枝が揺れて黒っぽい鳥がうごめいているのが垣間見えた。隙間を探して目を凝らすと白いが見えた。しばらく我慢していると少しづつ全身が見えて来て乾坤一擲ようやくその姿を捉える事が出来た。単にマミジロという鳥を撮るだけなら路床に出て来る事も有るらしいからそういうチャンスを気長に待てばもっと楽に撮れるだろう。しかし僕は藪の中のマミジロが撮りたかった。なぜならそれがマミジロの習性だからだ。だから枝が被っていても「これこそマミジロ」と言えなくもない(枝など被らないに越したことは無いが)。ここに写っている青い実を食べている様だった。今回は長時間粘ってしまったが余り執拗に粘るのは実は野鳥にとって好ましくない。野鳥をしつこく追いかけまわさないという個人的なモットーに照らして(今回は追いかけた訳ではないが)粘り過ぎたかなと反省。
分類:スズメ目 ヒタキ科
全長:23.0cm
翼開長:37.5cm
分布:北海道から本州中部で夏鳥。
生息環境::平地~山地の林など。
食性:ミミズ、幼虫、木の実など。
フォトギャラリー:初登場(携帯電話待受画面サイズを除く)
撮影難易度:★★★★☆
マミジロ(雄)
Siberian Ground Thrush
Zoothera sibirica
撮影日:2019年5月12日
撮影時間:07時59分52秒
シャッタースピード:1/250秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
撮影日:2019年5月12日
撮影時間:07時59分50秒
シャッタースピード:1/320秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
撮影日:2019年5月12日
撮影時間:07時53分05秒
シャッタースピード:1/320秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
島内をひとしきり探鳥したあと松林に戻ったがマミジロは出て来ず上空をツミが飛んだ。こちらも遠かったので証拠写真。前日に飛んだ雌だろうか。
じっとマミジロを待っていると噂を聞きつけた人がやって来た(噂を広めた張本人は僕だが)。立ち位置の確保が難しい狭い空間で何とか2人でカメラを構えていると藪の奥で気配がした。
分類:タカ目 タカ科
全長:雄27.0cm 雌30.0cm
翼開長:51.0~63.0cm
分布:全国で漂鳥または夏鳥。
生息環境:平地~山地の林、農耕地など。
食性:鳥類、小型哺乳類、昆虫など。
フォトギャラリー:第474回他参照
撮影難易度:★★★☆☆
ツミ(雌)
Japanese Lesser Sparrowhawk
Accipiter gularis
撮影日:2019年5月12日
撮影時間:07時39分26秒
シャッタースピード:1/2000秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
ちゃっかり便乗して視線の先を見ると地元ではお馴染みの冬鳥ミヤマホオジロの雄が1羽だけ見えた。撮影条件に恵まれずこの画質だ。地元では2ヶ月前に見たばかりだが個人的に舳倉島で見るのは6年ぶりなので掲載。
分類:スズメ目 ホオジロ科
全長:16.0cm
翼開長:21.0cm
分布:全国で冬鳥。
生息地:山地の林など。
食性:昆虫、蜘蛛、草木の種子。
フォトギャラリー:第448回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
ミヤマホオジロ(雄)
Yellow-throated Bunting
Emberiza elegans
撮影日:2019年5月12日
撮影時間:06時02分03秒
シャッタースピード:1/2500秒
絞り値:F5.6
撮影モード:絞り優先AE
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
前日にマミジロを見つけてしまった僕は舳倉島最終日となったこの日の夜明け前3時半に起き出し暗い内から探鳥に出て目撃現場の松林へ急いだ。過去には大阪南港野鳥園で雌だけは撮影した事は有るが個人的に雄とは縁が無い。今年も同じく大阪南港野鳥園に入っているが見に行っても「狙うとダメ」の法則でフラれてしまい、こうなったら自分で見つけてやると誓ったばかりだ。
やがて夜が明けたが藪の奥で気配はするもののマミジロはなかなか出て来ず油断していると急に藪の中から飛び出して数十メートル飛んでまた藪の中に飛び込むという行動を2度ほどとった。飛びものは撮ったことは撮ったがとてもじゃないが鑑賞に堪えるレベルではないので掲載は没。
限られた時間の中でどのポイントにどのくらいの時間を投資するかは悩みどころだ。一旦マミジロを諦め松林を抜けて島の西側の海岸付近へ向かっていると誰かが何かを見つけていた。
第475回 2019年6月11日